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公開:1981
監督:Lamont Johnson
地域:アーカンソー州
出演:Joanne Woodward、Charles Durning、Henderson Forsythe、Calvin Levels、William Russほか
範疇:TV映画/原作もの/実話の映画化/ドラマ/人種差別/高校の人種統合
私の評価 :☆
【Part 1】
1957年にアーカンソー州の州都Little Rock(リトル・ロック)で起きた実際の事件のドラマ化。「教育機関における人種差別は違憲」という最高裁判決を受け、白人専用だったセントラル・ハイスクールに9人の黒人生徒が転入することになります。黒人生徒たちの立場から描いた'The Ernest Green Story'(1993)は既に紹介しましたが、これは彼等を受け入れた学校側の物語です。英語教師で、セントラル・ハイの副校長のポジションにあったElyzabeth Huckaby(エリザベス・ハッカビー)が公刊した当時の日記を元に脚本が書かれました。モデルの人物たちから了解が得られなかったのか、ごく一部の人物が仮名になっています。
1957年9月3日朝、Joanne Woodward(ジョアン・ウッドワード)演ずる副校長兼英語教師Elyzabeth Huckabyが車でセントラル・ハイに向う。学校前は知事命令で配備された州兵で固められていて、教師の身分証明書を見せないと入れない。お掃除やキャフェテリアの炊事係の黒人は閉め出されてしまう始末。授業を始めるが、学校前に集まった人種統合反対の白人の群衆のシュプレヒコールがうるさくて、生徒達は集中出来ない。
翌9月4日、黒人生徒たちの初登校日。黒人女生徒Caroline Fuller(キャロライン・フラー、実在人物のElizabeth Eckfordがモデル)が一人で登校して来るが州兵に阻まれる。Caroline Fullerは別の入口を探す。群衆が彼女に悪態を吐きながらついて歩く。女子生徒Betty(ベティ)は授業にも出ないでCaroline Fullerを罵りながら歩いていた。学校に入れずバス停のベンチで途方に暮れているCaroline Fullerを、親切な白人の老婦人がバスに乗せる。
女子生徒指導主任でもあるElyzabeth Huckabyは数人の生徒たちと面接する。一人の女子は「親が転校させたがっている」と云い、Caroline Fullerを罵って歩いたBettyは「自分は正しいことをした」と反省の色がない。
9月25日、アイゼンハワー大統領は州兵を自分の支配下におき、さらに空挺部隊1,000人余をセントラル・ハイに投入。この日から空挺部隊が黒人生徒たちの登・下校をエスコートし、学校内でも黒人生徒たちの護衛にあたることになる。Elyzabeth Huckabyは英語の授業を諦め、生活指導に専念する決意をする。
しかし、「爆弾を仕掛けた」という電話はしょっちゅうで、白人の男女生徒たちによる黒人生徒たちへの迫害も増える一方だった…。
セントラル・ハイスクールは、1927年の開校当時、全米建築家協会が「アメリカで最も美しい高校」に選んだ学校でしたが、この映画が撮影されたのは24年後なので、かなり古ぼけた感じになっています。
騒動が世界中に広まると、セントラル・ハイには山のような手紙が舞い込みます。そのほとんどは人種統合に反対の手紙だったようですが、学校の努力を励ますものも混じっていました。外国から届いた激励として、「日本、スウェーデン、メキシコから」と紹介されるのが嬉しい。
Joanne Woodwardは初老の教師兼生活指導係の役を、非常に自然に演じていて素晴らしい。若い頃の彼女は、いかにも芝居をしているという感じがありましたが、ここでは上手く見せようとか綺麗に見せようという欲が見られません。
校長を演ずるのは、刑事や悪玉などでよく出て来るCharles Durning(チャールズ・ダーニング)。最近では'O Brother, Where Art Thou?'『オー・ブラザー!』(2000)の知事が印象的でした。ここでは難しい役を神妙に演じています。見せ場がないのが残念ですが、なかなか好感の持てる演技です。
ただ、学校側で登場する人間は少なく、その誰もが黒人生徒の受け入れに熱心です。セントラル・ハイ側がそんなに単純な状況だったとは思えません。それはPart 2で触れたいと思います。
(September 27, 2002)
【参考文献】
'A Life is More Than a Moment'
by Will Counts et al. (Indiana University Press, 1999, $29.95)
'Warriors Don't Cry'
by Melba Pattillo Beals (Washington Square Press, 1964, $14.00)
【公民権運動関連】
・For Us, the Living(未公開)(1983)
・Eyes on the Prize(未公開)(1987)
・The Long Walk Home『ロング・ウォーク・ホーム』 (1990)
・Separate But Equal『裁かれた壁〜アメリカ・平等への闘い』(1990)
・The Ernest Green Story(未公開)(1993)
・The Vernon Johns Story『怒りを我らに』 (1994)
・4 Little Girls(未公開)(1997)
・Ruby Bridges(未公開)(1998)
・Selma, Lord, Selma(未公開)(1999)
・Crazy in Alabama『クレイジー・イン・アラバマ』 (1999)
・Freedom Song『フリーダム・ソング』(2000)
・Boycott『ボイコット/キング牧師の闘い』(2001)
・The Rosa Parks Story『ローザ・パークス物語』(2002)
・Sins of the Father『父と罪 重き告発』(2002)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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