公開：September 9, 1999 at the Venice Film Festival
監督：Antonio Banderas
出演：Melanie Griffith、 David Morse、Lucas Blackほか
範疇：原作もの／ドラマ／コメディ／人種問題／公民権運動

私の評価 ：☆☆

【Part 1】

'The Mask of Zorro' 『マスク・オブ・ゾロ』などに主演した俳優Antonio Banderas（アントニオ・バンデラス）の監督デビュー作。

不思議な映画です。1960年代のアラバマ州の田舎町で始まる物語が二つに分れて進行し（それぞれは全く関連が無い）、最後にまた一つに合体します。

一つは暴力的で愛情のかけらも見せない夫を殺し、その首だけを携帯してカリフォーニアへ行き、TV女優になる夢を叶えようとする40歳の女性Melanie Griffith（メラニイ・グリフィス）の破天荒な物語（生首は画面に出ませんから、御安心下さい）。こちらはブラック・ユーモアをベースにしたコメディで、賭博では大儲け、TVデビューもとんとん拍子という、いわば漫画チックな世界。

もう一つは彼女の甥で13歳になる男の子Lucas Black（ルーカス・ブラック）の視点から見た、公民権運動の達成を目指す黒人達の活動です。既に人種差別は無いことになっているのですが、どっこいここは"Deep South"と呼ばれる南部で最も旧弊な州の一つです（他はジョージア州、ミシシッピ州、ルイジアナ州）。子供達が市営のプールに入ろうとすると「ここは白人専用だ」と追い出されます。黒人少年達数十人がプール前で座り込みをした時に、シェリフの一人がリーダーの黒人少年を殺してしまいます。Lucas Blackはこのシェリフの犯罪を目撃し、次第に黒人達との触れ合いを深めて行きます。こちらの筋は極めて真面目で深刻に描かれます。

なぜAntonio Banderasが監督第一作としてこの題材を選んだのか、詳細は不明です。彼はスペイン生まれで、彼の妻で女優のMelanie Griffithはニューヨーク生まれ。どちらも南部とは関係ありません。妻を主演にする為の題材に過ぎないのでしょうか？

少年役のLucas Blackはアラバマ州生まれなので、南部訛りが活き活きしています。彼は'Sling Blade'『スリング・ブレイド』で重要な役を演じ、'Ghosts of Mississippi'『ゴースト・オブ・ミシシッピー』にもAlec Boldwin（アレック・ボールドウィン）の長男役で出ていましたし、『クレイジー・イン・アラバマ』の翌年には'All the Pretty Horses'（邦題未定）でも重要な役を演じています。あちらは馬泥棒を企て、発砲して人を殺めてしまうという暗い少年役でしたが、こちらでは純真で正義感に燃える少年を好演しています。

他に、少年の伯父さん役で、'Proof of Life'『プルーフ・オブ・ライフ』にも出たDavid Morse、判事役でRod Steiger（ロッド・スタイガー）、ハリウッドのエージェント役でRobert Wagner（ロバート・ワグナー）などが出演しています。

(February 15, 2001)

【公民権運動関連】

・Crisis at Central High『アーカンソー物語』 (1981)
・For Us, the Living（未公開）(1983)
・Eyes on the Prize（未公開）(1987)
・The Long Walk Home『ロング・ウォーク・ホーム』 (1990)
・Separate But Equal『裁かれた壁〜アメリカ・平等への闘い』(1990)
・The Ernest Green Story（未公開）(1993)
・The Vernon Johns Story『怒りを我らに』 (1994)
・4 Little Girls（未公開）(1997)
・Ruby Bridges（未公開）(1998)
・Selma, Lord, Selma（未公開）(1999)
・Freedom Song『フリーダム・ソング』(2000)
・Boycott『ボイコット／キング牧師の闘い』(2001)
・The Rosa Parks Story『ローザ・パークス物語』(2002)
・Sins of the Father（未公開）(2002)
・Sins of the Father『父と罪　重き告発』(2002)

・公民権運動・史跡めぐり

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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