'The Nicklaus Way'
by John Andrisani (HarperCollins, 2003, $19.95)
「現在のJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のスウィング・コーチJim Flick(ジム・フリック)が発見した、Jack Nicklausの秘密の一つ。Jack Nicklausがアドレス時に数回頭を往復させる理由は、四つの中間目標を見るためだそうだ。一つ目はボールのターゲット方向約7cm先、二つ目はその先約4〜5m、三つ目はフェアウェイの30〜40ヤード付近、そして四つ目はボール後方約7cm辺り。最後の目標はクラブをスクウェアに引くガイドである。
以下は私(著者John Andrisani)が発見した秘密。当人はこのことについて語ったことはないが、アドレスにおけるJack Nicklausの秘密の一つは、ボールの後方に7cmほど離してクラブをセットすることだ。私はこれこそ、彼のスムーズでストレートなバックスウィングの秘訣であると信じている。
アドレス時のもう一つの秘密。Jack Nicklausは彼の本やヴィデオで『クラブを芝から離して構える』と繰り返し述べているが、実際には彼は芝の上にそっとクラブを接触させている(空中に浮かしてはいない)。
Jack Nicklausのグリップにも秘密がある。彼の右手の人差し指と親指は接触していず、隙間が見られる。これは彼の絶頂期でさえ誰も言及せず、ずっと保たれて来た秘密である。これは右手の力が優勢となってフェースをクローズにさせることを防止するためのものであろう。
Jack Nicklausのティーアップの方法にも秘密がある。ロングアイアンを打つ時、彼は半インチ(1.25cm)の高さにティーアップする。ショートアイアンでは芝の高さか1/4インチ(約6mm)の高さ。低いボールを打つ時は若干ティーを前傾させ、高いボールを打つ時や追い風でソフトに打つ時、またピンが難しい位置にある場合などには、彼はティーを後傾させる。これらは些末なことに思えるかも知れないが、彼の素晴らしいショットと素晴らしいスコアを支えて来た秘密なのだ。右ドッグレッグでは、Jack Nicklausはボールを低くティーアップし、アップライトなスウィングでフェードが打てるようにする。左ドッグレッグではドローを打つため、高くティーアップする」
(April 05, 2005)
「私(著者John Andrisani)はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が1986年のMastersでプレショット・ルーティーンに必要とした時間を計測した。彼の通常のルーティーンは13秒であり、それを超えた例(2秒超過)はたった一度きりだった。まさに時計仕掛けと云える。
プレショット・ルーティーンは、あなたが意図したスウィング・アクションのベストな再現を潜在意識に準備させるものだ。脳が、必要とされる身体の動きと適切な順序を認識すれば、何も意識しなくともスウィングは正しく自動的に流れるように実行される。プレショット・ルーティーンの間に、何かいつもと違うこと(いつもより回数の多いワッグルやグリップを握り直す動作など)が混じると、潜在意識は面食らい、スウィングは短絡し、ひどい結果が待つことになる。
Jack Nicklausは静止した状態からスムーズにバックスウィングを開始するのはほぼ不可能に近いことを悟り、既に他の名手たちがやっていたフォワードプレスを採用した。クラブをほんの少しターゲット方向に動かすのだ(その反動でバックスウィングを始める)。これは彼のバックスウィングをリズミカルにした。
Jack Nicklausは体重が右足に移動し、左踵が地面から離れようとした時がバックスイングの終点であることを知っている。彼の左踵はかなり浮き上がる。これは彼が腰の障害に見舞われず、いまだにフル捻転を実施出来る理由であろう。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)はべた足でスウィングするが、それこそ彼が腰の痛みに悩まされる原因だと私は確信している。しかし、意識的に左踵を上げようとしてはならない。それはスウェイを招いてバランスを崩し、スウィングのタイミングを台無しにしてしまう。
高名なインストラクターJohnny Myers(ジョニィ・マイヤーズ)が明らかにしたJack Nicklausの秘密。ダウンスウィングの開始にあたり、Jack Nicklausは左足を内側にスライドさせ、開いていた爪先がターゲットラインを指すように戻す。この動きは左脚を踏ん張らせ、手打ちになる恐れ無しに目一杯の速度でスウィングすることを可能にするのである」
(April 09, 2005)
'The Inside Path to Better Golf'
by Peter Kostis (NYT Special Services, Inc., 1982, $16.00)
著者Peter Kostis(ピーター・コスティス)はインストラクターであり、CBSゴルフ中継の解説者の一人でもあります。彼はパットの距離によってグリップを変えるべきだと説きます。
「図のようにカップから2m以内は緑色の安全圏であり、どのパットも成功を狙うべき領域である。2〜9mは黄色の要注意領域で、ここからもパットの成功は目指すものの、例え失敗してもタップ・インの距離が残るように心掛ける。9m以上は全て赤色の危険領域で、そこからのあなたの使命は緑色の圏内にボールを運ぶことだ。
・緑色の圏内では『ショートパット・グリップ』を使う。これは手首の余計な動きや、発作的な速いストロークを防ぐグリップである。パターは左手の生命線で握るため、掌の大半はパターの真下に廻される(パーム)。右手はフィンガーで握り、左手と同じように掌のほとんどはパターの真下に位置する。結果的に両手の甲は平行ではなく、パターを上端に連結した△(胸方向に広がる三角)の形になる。グリップ・プレッシャーはややきつめで(これが方向性をよくする)、両手を一体としてストロークする。
バック・ストロークは短くし、加速しながらフォワード・ストロークする。緑色の圏内では、よほどの急傾斜でない限り、原則としてカップの内側を狙う。あなたが考慮すべきなのは距離ではなく方向であり、正しいラインでボールをカップに到達させることだ。もし、かなり早いグリーンでプレイするのであれば、どの距離でもこのグリップを使う。
・黄色の領域でも『ショートパット・グリップ』を用いるが、両手が形成する△の角度をやや減らし(次項との中間)、距離に応じて手首の動きが加われるようにする。振り子式のリズミカルなストロークを行なう。フォワード・ストロークで加速するが、緑色圏内の短いパットのような強さにしないこと。
・赤色領域からのパットには、『ロングパット・グリップ』を用いる。左手の生命線でパターを握るのをやめ、手首や手を使うため左右ともフィンガー・グリップにする。両手は向かい合い、左右の手の甲はほぼ平行となる。グリップ・プレッシャーは軽め。長いストロークを行なうが、無理に加速せずパターの重みに任せてフォワード・ストロークする。チップ・ショットに近いストローク。カップを狙うような欲を捨て、距離に集中する。目標はボールを緑色の圏内につけることである。
20〜30mというような長いパットや遅いグリーンの場合、それはパットではなくチッピングであると考えること。グリップもパット用でなくスウィング用のグリップに変える。早めにコックし、チップ・ショットのようにボールめがけて振り下ろす。こうすると、方向も距離もうまくコントロール出来る」
(April 11, 2005)
「また珍奇な“発明”か!」とおっしゃるならば、その通り。しかし、これはパッティングのための“発明”なので、そう珍奇でもありません(パットでは何でも許されるからです)。Masters 2005のTiger Woods(タイガー・ウッズ)のパットは天才的とは云えませんでした。しかし、彼のパッティングを見ていて、私はあるヒントを得たのです。
Tigerのパッティングは、まるで両手首を紐で縛られてでもいるように両手が渾然一体となって動きます。「絶対に手首を使わない!」と決意したかのようです。パットを終えても、なかなか両手が離れないように見えたことすらありました。
どうすればあのような手首が構築出来るか?絨毯の上で試してみました。カップは狙わず、ボールに描いた線が一本となって転がることだけに集中しました。私の通常のグリップではTigerのようになりません。フル・スウィングで両手の一体化を目指すならインターロッキング・グリップというのが相場。しかし、これはパットですから「逆インターロッキング・グリップ」はどうかと思いました。
私は通常「レフトハンド・ロー」なので、これは急に変えたくない。で、左手の小指と右指の人差し指を絡めました。これが「逆インターロッキング・グリップ」。(「レフトハンド・ロー」でない人は普通のインターロッキング・グリップを試してみて下さい)
ボールが真っ直ぐ転がる率は格段に上がりました。普通なら、ここで「大発見!」と躍り上がるところですが、実は私は何度も騙されています。絨毯の上での目覚ましいテクニックは、コースの練習グリーンあるいは本当のグリーンに行くと役に立たなかったことが再三なのです。「少なくとも練習グリーンで成果が出るまでは、胸に仕舞っておこう」と思いました。
先日、「パットの距離によってグリップを使い分ける」をラウンドで試したのですが、緑色と黄色の領域でのグリップは私にはあまり効果的ではありませんでした。その後半の数ホールで「逆インターロッキング・グリップ」に切り換えたところ、これによって自分でも驚くような成功を納めました。結構遠い黄色領域からもねじ込みましたし…。
ポイントは、肩を動かす振り子式パッティングでないと効果がないということと、グリップが超しっかりするのでこれまでよりボールが走り過ぎることです。二割減のストロークがいいようです。
(April 15, 2005)
なぜ、いいショットが続かないのか?勿論、メンタルな要素もあるでしょう。しかし、メンタルであれフィジカルであれ、実際のスウィング動作が一打毎に変わるのが問題なのです。練習場では、リズムもテンポも、そしてトップの位置なども少しずつ修正出来、連続して打つことによっていいスウィングが定着します。ラウンドでは一打、一打の間に長いインターヴァルがあり、一定の打ち方が出来るとは限りません。
御存知のように、ダウンスウィングは非常に速い出来事であって、その途中において小手先で細工出来る時間の余裕はありません(Ben Hoganは別)。私の推論ですが、トップの状態が一定ならいいショットが続くのではないでしょうか。ロボットのように常に同じトップの状態が作れれば。
上の本の次のような記述に出会いました。著者Peter Kostis(ピーター・コスティス)は、インストラクターでありCBSゴルフ中継の解説者の一人。
「トップにおける正しいシャフト位置のチェックは、実はトップではなくバックスウィングの途中で行なうべきものだ。クラブヘッドが腰の高さになった時、シャフトはターゲット・ラインと平行でなくてはならない(図参照)。この状態からならクラブは正しいバックスウィングのトップへと向かう。勿論、両手と両腕の関係を維持し、適切に後ろへ引かれた場合であるが…」
同じ瞬間に着目する人は少なくありません。数年前Senior Tour(現Champions Tour)の賞金王だったBruce Freisher(ブルース・フライシャー)は上図の際に「グリップ・エンドをチェックしろ」と云います。
'The Scoring Zone'
by Bruce Freisher et al. (PGA TOUR Partners Club, 2000)
「この時にグリップ・エンドが両足を結ぶ線の左を差していれば、そのバックスウィングはアップライト過ぎる。もし、グリップ・エンドがターゲット・ライン(ボールとターゲットを結んだ線)の右を差していれば、バックスウィングはフラット過ぎる」
次はゴルフ中継リポーターのDavid Feherty(デイヴィッド・フェハティ)。「スライス撲滅法」という記事ですが、彼もバックスウィングが上図と同じ状態になった瞬間の写真を掲載し、次のように述べています。
'Death to Slices'
by David Feherty with Angus Murray ('Golf Magazine,' May 2005)
「この時、クラブは真っ直ぐ伸ばされていて、トゥが天を指していなければならない」
この図はまた、Masters 2005でTiger Woods(タイガー・ウッズ)とプレイオフを闘ったChris DiMarco(クリス・ディマーコ)のプレショット・ルーティーンをも想起させます。Chris DiMarcoもターゲット・ラインと平行にシャフトを引き、その時のフェースを確認します。「この時にフェースがクローズだと、私が恐れているプルかフックになってしまう」そうです。トゥが天を指していれば、フェースはスクウェアだということになります。
私自身、アイアンで上のようにターゲット・ラインと平行にクラブを引くようになって、かなり方向性が良くなりました。で、これはほとんど「マジック・コック」なんですね。「マジック・コック」の本文では「ターゲット・ラインの若干内側にクラブを引く」と説明されているのですが、挿絵では右の写真に似たようなものが示されていて、これはまさにターゲット・ラインに平行です。補足すると、「マジック・コック」とはバックスウィング開始前にコックの基礎を作ってしまうメソッドで、「左手首は折らずに、右手首だけを90°近く折る。その時、左手のナックル(指関節)は一つ、右手のナックルは二つ見えるように(註参照)。ドライヴァーだと、この時クラブ・フェースは全く見えないのが正しいコック」というもの。
【註】「マジック・コック」の著者が推奨するグリップは、アドレスした時に左手のナックルは二つ見え、右手の(親指と人差し指で出来る)Vは左手のVより右を差す(ややストロング)というものです。このグリップでない場合、上の「マジック・コック」点検法は多少変わって来ます。
最後にもう一つ。下記の本にもクラブを腰の高さに引いた瞬間の写真が掲載されています。筆者Mike McGetrick(マイク・マゲトリック)は中堅のインストラクターです。
'Better by Sarurday: Iron Play/ Long Game'
by Mike McGetrick et al. (Time4 Media, Inc., 2004, $15.00)
「多くのゴルファーは過度にインサイド(身体の後ろ)にクラブを引く。それはスウィング弧を狭くし、正しい肩の回転を妨げる。いいバックスウィングを行なうための重要なポイントは、バックスウィングの間、終始右前腕部を左腕よりも上に保つことだ。これは三つの効果がある。(1) 身体と腕を一体化し、最大限に拡張したスウィングを作り出す。(2) クラブが身体の後ろにくっつく弊害を防止し、正しいダウンスウィング軌道が得られる。(3) バックスウィングのトップでクラブフェースをスクウェアにする」
インストラクターMike McGetrick(マイク・マゲトリック)が「右前腕部を左腕よりも上に保つこと」と云うのは「マジック・コック」の「左手のナックルは一つ、右手のナックルは二つ」と同じことです。どちらも同じ結果になります。この通りにすれば《バックスウィングのトップでクラブフェースをスクウェアに出来る》のです。どうです?ついに標題通り「完全なるトップ」に結びつきました。パチパチパチ。というわけで、この腰の高さの時の状態が「完全なるトップ」を作れるかどうかの、非常に重要な分岐点であることが解明されたわけです。
腰の高さでシャフト、グリップ・エンド、腕の状態、フェース角度を確認する。これらは実行可能です。ですが、Peter Kostisが云う「両手と両腕の関係を維持し、適切に後ろへ引く」というのが難しい。われわれの手首はその時その時で色んな角度に廻ってしまいがちだからです。手と腕の位置関係を保つにはどうするか。
'One Move'です。「左肩でバックスウィングを開始せよ」というシンプルなセオリー。これなら手首が勝手な行動は出来ません。「マジック・コック」でシャフトをターゲット・ラインと平行にし、そこから'One Move'式に左肩主導でバックスウィングを続行したら、常に“完全なるトップ”が構築出来る筈です(理論的には)。
(April 19-21, 2005)
補足します。
写真を御覧下さい。普通の教科書、インストラクターですと、バックスウィングで両手は青線のように滑らかな半円を描くように動くと教える筈です。この場合、クラブシャフトがターゲット・ラインと平行になるのは両手がズボンのベルトを越えて以後でしょう(多分、両手は胸の横あたり)。Peter Kostis(ピーター・コスティス)は「両手が腰の高さで、シャフトをターゲット・ラインと平行にする」と云っていますが、私はもっと明解に「ベルトの下」と定義します。あのtipの神髄は写真の赤線の部分でありまして、アドレスした腕を赤線のように水平移動させ(上げない)、その最中にシャフトをターゲット・ラインと平行にする。すると、自然に「マジックコック」的コックが出来てしまうので、後はそのままトップへと緑線のように上げればよい…というものなのです。
やって頂ければ驚かれるように、これも「スクウェアに打つ特効薬」と云える非常に有益なメソッドです。しかも簡単至極。私の場合、ドライヴァーは別として、アイアンやアイアンウッド(ハイブリッド)では以前に増して正確にグリーンを狙えるようになりました。
【参照】
・「Chris DiMarcoの儀式」
・「マジック・コック」
・「'One Move'」
(April 29, 2005)
●ルーティーンを変えるな'The Best Golf Tips Ever'
by Nick Wright (Contemporary Books, 2003, $24.95)
「Nick Faldo(ニック・ファルド)のパッティングtip。プレッシャー下のパットを成功させようと、いつものルーティーンを変更するのはよくない。普段、ラインを一、二ヶ所からチェックする人が、『このパットは大事だから』と、あるホールでだけ全ての角度からラインを読んだりすべきではない。そんなことをすると、無用のプレッシャーを作り出すだけである。
(April 19, 2005)
私が勤めていた会社の一部門のコンペでは、プレイヤー個々に“馬名”が付けられていました。私の馬名は「トニィ・ザックリン」(英国のプロTony Jacklinのもじり。自分で命名)。最高に可笑しかったのは「シャンク・ニクラシ」。Jack Nicklausのもじり。シャンクへの怨念がよく出ています。
'Golf for Teachers and their Students'
by Stanley L. Shapiro (Stanley L. Shapiro, 2002, $19.95)
「シャンクという言葉は世界中のどこにでも存在するが、一様に『聞きたくない!』と毛嫌いされ、この言葉を発すると身に危険が迫る恐れすらあると云って過言でない。
シャンクはホーゼル(クラブヘッドの根元のシャフトを差し込む部分)でボールを打つ以外の何物でもない。シャンクにはショート・アイアンとロング・アイアンによって起る二種類がある。
【ショート・アイアンによるシャンク】
・バックスウィングでクラブが地面に対して過度に水平である場合
言葉を換えれば、あなたのスウィングが余りにもフラットな場合ということだ。これはショート・アイアンのシャンクの原因として最も一般的なものである。
これを直すのは簡単で、もっとクラブを急角度(縦の軌道)で振るだけである。クラブはダウンスウィングで落下するに任せること。クラブフェースの角度を操作しようとすると、グリップ・プレッシャーが強くなり、フェースがオープンになってしまう。『握手ドリル』(後述)を習得すること。
・セットアップ不良でシャンクが起る場合
1) ボールを過度にターゲット方向に置き、肩をオープンにした場合
このケースではスウィングはアウトサイド→インの軌跡を辿ることになり、プル、プル・スライス、プル・フックとなるのが普通であるが、ゴルファーがプル・フックを恐れてフェースをオープンのまま保持しようとするとシャンクとなる。体重を過度にターゲット方向に移した場合もフェースがオープンになり、ヒールかホーゼルで打つことになる。
体重を水平移動させないように。『握手ドリル』(後述)を習得すること。
2) アドレスで体重が爪先にかかっている場合
この場合もスウィングはアウトサイド→インの軌跡となる。オープンなクラブフェースがヒールかホーゼルでボールと接触する原因を作る。
これを直すには、バランスが取れた体重の配分を保つことである。
3) アドレスであまりにもボールに近く立った場合
このケースでは、ダウンスウィングで両手の通り道を空けるため、身体がオープンにならざるを得ない。それは両手をターゲットラインから逸らし、インパクトでヒールかホーゼルでボールに接触する原因となる。ホーゼルが接触すればシャンクである。
ショート・アイアンのボール位置はスタンス中央からややターゲット寄りである。そのボールに正しくアドレスすると、クラブのグリップエンドはややボールよりターゲット方向にある筈だ。そのまま両手を緩めてクラブが身体に倒れるに任せてみる。もし、グリップエンドが左のズボンのポケットの下端に当たれば、あなたのボールとの距離は正しい。もしポケットの下端より上に当たったら、ボールに近過ぎる。ポケット下端より下に当たるようなら、ボールから遠過ぎる。
・ダウンスウィングにおけるミス
クラブフェースをオープンなまま回転させるミスと、身体をボールの前方にスライドさせるミスの二つのケースがある。どちらもオープンなクラブフェースでボールに近づくが、極端な場合はホーゼルで打つことになる。多くの場合、ゴルファーが素早く手首を返すので、プルかフックとなる。
『握手ドリル』(後述)を習得すること。
【ロング・アイアンによるシャンク】
・ボールを空中に上げようと掬い上げる打ち方は、インパクトで両手を返しながら身体を持ち上げる動きである。これはクラブフェースをオープンにするため、ホーゼルで打つ原因を作る。これを防ぐには、身体の水平を保つことだ。ボール位置はスタンス前方だとしても、(アッパーではなく)ダウンブローに打つべきである。
・余りにもイン→アウトの軌道でスウィングすることも、インパクトでクラブフェースを大きくオープンにする。これが原因のシャンクは、上級者によく見られるものである。彼らはフックを恐れ腰の回転をストップしてしまうので、クラブフェースがオープンのインパクトを迎える。自然に身体を回転させれば、この原因は消滅する。
【握手ドリル】
ニュートラル・グリップで正しくアドレスする。あなたの右足から約1mターゲットライン後方に誰かが立っていると想像する。両手でクラブを握ったまま身体を回転し、後ろの人物とあなたの左手で握手する。そのままトップまで行き、ダウンスウィングでは重力がクラブヘッドと身体を動かすのに任せつつ、再度“握手”状態を通過しながらフィニッシュへと進む。この手順に従えば、インパクトでクラブフェースはターゲットラインにスクウェアとなり、スウィート・スポットでボールを打てるようになる」
この「後ろの人物と握手」も、「完全なるトップの研究」に出て来た「ターゲットラインと平行にクラブを引く」と全く同じです。全ての道はローマ…じゃなくて、あの図に通じています。「ターゲットラインと平行にクラブを引く」ことは、万病を予防するようです。
(April 23, 2005)
●手軽に飛距離を伸ばす新しいドライヴァーを買う必要もなく、逆手懸垂で一年間頑張ることもなく飛距離が伸びるとしたらどうでしょう?「そんなうまい話がある筈がない!」いえ、あるのです。
私のホームコースのNo.6 (375 yard) Par 4は難物です。グリーン右側を松の大木が覆っていて、そのすぐ向こうに小川があり、グリーンは砲台というタフなデザイン。ティー・ショットの当りが悪いとロング・アイアンの距離が残り、それをミスすれば大木を直撃するか、小川に転げ込む大惨事が待っています。二打目で安全にグリーンを攻めるには、ティー・ショットで目一杯距離を稼いでミドル・アイアンの距離を残さなくてはなりません。目一杯打つとどうなるか?プッシュして右の林の中の小川(ラテラル)、あるいはプルして左の林に入ってしまいダボは確実となります。なぜかこのホールではr7で打ってさえこうなのです。多分、ホールのレイアウトから来るプレッシャーのせいでしょう。
何度かこのホールでのプッシュが続いたので、昨日「鬼門のNo.6では、ドライヴァーを1インチ(2.5cm)短く持って打とう」と決意していました。何が何でもフェアウェイをキープし、刻んでボギーでも御の字という作戦です。その最初の試みは、一緒に廻っていたEd(エド)が「いい音だ。真芯で打った音だね」と賛嘆するようないい当りで、着地点に行ってみると、安心して二打目を打てるミドル・アイアンの距離が残っているだけ。私としてはこのホールにおける近来稀なティー・ショットとなり、二打目も無事にグリーン・エッジに運べました(結果はボギーでしたが、不満はありません)。
その後、フェアウェイが狭いホールでは全てドライヴァーを1インチ短く持つ方式で打ちましたが、距離は伸びこそすれ減ることはありませんでした。当然ながら、方向も正確。No.17 (515 yard) Par 5ではこのホール新記録(当社比)のロング・ドライヴさえ生まれました。まこと、"Less is more."です。
勿論、スウィングの素晴らしい人は普通にクラブを持つ方が飛ぶでしょう。それは間違いありません。しかし、私のように不安定なゴルファーの場合には、短く持って確実にスウィートスポットで打つ方が距離が出ることが分りました。この発見によってゴルフがますます楽しくなりました。
(May 03, 2005)
●パット前の最後の一瞥筆者Lynn Marriott(リン・マリオット)はスウェーデン出身のメンタル・コーチPia Nilsson(ピア・ニルソン)と組んで'GOLF54'というゴルフ・スクールをアリゾナ州に開設しています。
'See it, do it'
by Lynn Marriott with Dave Allen ('Golf Magazine,' May 2005)
「ストロークする前にカップを見る時は、方向ではなく距離に集中すること。長くゆっくり見る。素早い一瞥は駄目。距離感からストロークの正しい強さを感じ取るように。
狙いを確認する場合は首の軸を曲げるのではなく、ターゲット・ラインに沿うように首を廻すこと」
(May 06, 2005、改訂June 01, 2015)
●二つのプレーンこれはひょっとすると今世紀最大の発見かも知れません。今世紀に入ってたった五年で“今世紀最大の発見”という形容詞を使うのはどうかと思われるかも知れませんが、どうせあたしゃ今世紀半ばまでも生存出来ない命ですから、勝手なことを云ってしまうのです:-)。
'One plane vs. Two plane'
by Jim Hardy ('Golf Digest,' May 2005)
筆者Jim Hardy(ジム・ハーディ)は元PGAツァー・プロで、インストラクターでもありコース設計などのビジネスにも携わっています。彼はスウィング・プレーンには二種類あることを発見しました。この“研究論文”は単行本'The Plane Truth for Golfers'として出版されたものですが、その骨子が'Golf Digest'誌に抜粋で掲載されました。
写真は肩と左腕の角度だけに注目し、他の一切を無視して御覧下さい。
1) 写真左側のスウィングでは左腕の角度(赤線)は両肩を結ぶ線に一致しています。肩と腕は一つのプレーンで回転するので、Jim Hardyはこれを「1(ワン)プレーン」と呼びます。このタイプでは、両肩は前傾しつつ回転し、両腕は胸の周りを横切るように振られます。代表選手はBen Hogan(ベン・ホーガン)、Sam Snead(サム・スニード)、Ernie Els(アーニィ・エルス)、Michelle Wie(ミシェル・ウィ)などです。
2) 右のスィングの左腕(黄線)は両肩を結ぶ線より上になっています。これは肩と両腕が別々なプレーンで回転するので「2(トゥー)プレーン」と呼ばれます。このタイプでは両肩は水平に近い緩やかな前傾姿勢で回転し、クラブはほぼ縦に振られます。こちらの代表はTom Watson(トム・ワトスン)、Hale Irwin(ヘイル・アーウィン)、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)、David Toms(デヴィッド・トムズ)、Karrie Webb(カリィ・ウェブ)など。
簡単に云うと、両肩を結ぶ線と左腕が揃ったトップは「1プレーン」、左腕が両肩を結ぶ線より上であれば「2プレーン」です。「何だ、アップライトとフラットと同じじゃないか!」と思われるか、お立ち会い。ここまでは只の定義であって、その二つのプレーンを活かすにはどうするか?何をするとぶち壊しになるか?その研究結果がこの記事なんだよ、お立ち会い。
自分がどちらのプレーンであるかを知るには次のような方法があります。誰かにターゲット・ライン後方に立って貰い、クラブを両肩の前に当てて保持し、バックスウィングのトップの形を作ります。この時、クラブが「ボールと、その向こう1.2m以内のどこか一点」を指しているとすれば、あなたは「1プレーン」だそうです。1.2mを遥かに越えている場合は「2プレーン」。
Jim Hardyは「どちらがいい悪いという問題ではなく、ゴルファーがどちらを選択するかの問題である。しかし、二つのプレーンにはそれぞれに属すべき固有の要素があり、それらを混同してはならない」と指摘します。もし、これからどちらかを選ぶとすれば、Jim Hardyから次のようなアドヴァイスがあります。
・あなたが攻撃的で、強靭な胸郭、腹部、背、肩の持ち主なら、「1プレーン」が相応しい。
・身体と腕の強さには欠けるものの、柔軟で調和の取れた条件を備えていれば「2プレーン」を選択すべきである。ただし、水平な肩の回転と縦の腕のスウィングを同期させるためには、リズムとテンポおよびタイミングの感覚が要求されることを忘れないように。
私自身、双方をミックスしたようなスウィングをしていた部分があり、脂汗が滲む思いです。2004年のTiger Woods(タイガー・ウッズ)も背骨と身体の回転は「1プレーン」で、トップの左腕の位置は「2プレーン」だったそうです(それが不調だった原因?)。
Jim Hardyの記事を全て紹介するわけにはいきませんので、彼の「警告」に絞って整理してみました。
1プレーン | 2プレーン | ||
---|---|---|---|
アドレス | 足からやや遠目に離すべきである。近めに立つと両腕をアップライトに上げることを強制してしまう。 | 足に近く寄せるべきである。もし遠過ぎると、2プレーンにそぐわないフラットなスウィングになってしまう。 | 背骨は垂直から35〜45°前方に折られるべきである。背骨を右に傾けると不必要なスウィング巾を生んでしまう。 | 背骨は直立に近い。折るとしても垂直から20°以内とすべきである。屈み過ぎると両肩を過度にアップライトにしてしまう。 |
ワイド目のスタンスで、左足は35〜45°ターゲットに向けられるが、オープン・スタンスは不可。オープン・スタンスはダウンスウィングの開始で右腰を正しくない動きに向かわせる。 | 狭めのスタンスで、左足はターゲット・ラインに直角にする。広めのスタンスは2プレーン・スウィングが必要とする以上の身体の動きを強制してしまう。 | ||
左右平均に体重をかけるべきで、特にウッドでは絶対に左足に体重を寄せてはいけない。それは急激な角度のボールとのコンタクトを生じ、パワー・ロスに繋がる。 | 60%を右足に、40%を左足に。もし右足に60%以上の体重をかけると、特にショート・アイアンでトップやザックリを招く。 | ||
ニュートラルかストロング・グリップであるべきで、ウィーク・グリップは不可。 | ニュートラルかウィーク・グリップであるべきで、ストロング・グリップは不可。 | ||
バックスウィング | |||
45°以上回転させてはいけない。 | 無制限に回転させてよい。スウィング巾を広げるため、腰と頭は若干右に寄ってもよい。充分に腰を廻さないと、肩も廻らないことになる。 | ||
背骨を持ち上げたり、右に寄せたりしてはならない。 | アドレス時のままの角度を保つ。屈むとバックスウィングの弧を狭めてしまう。 | ||
トップ | |||
トップで間を置いてはいけない。間を置くことは、上半身が充分に捻転されていないことの証であり、それは爆発的なパワーに欠ける結果となる。 | |||
シャフトは右肩の後ろにあるべきだ。フェースがオープンだったり、両足を結ぶ線を越えたりしてはならない。 | トップでクラブがターゲットの左を指してはいけない。それは正しいプレーンでクラブを引き下ろす時の妨げとなる。 | ||
後方の足に体重を移してはいけない。それは余りにワイドで過度に浅いスウィング弧をもたらす。 | |||
ダウンスウィング | |||
腰だけを廻してはいけない(Ben Hoganは間違っていたのだ)。ダウンスウィング開始と同時に身体全体を廻すべきだ。 | 左腰の水平移動がダウンスウィングをリードする。両腕より腰の回転が早いと手打ちの原因となる。 | ||
左腕は胸についたままで、アクティヴな動きをしないこと。 | 両腕は早期に肩を離れ、クラブヘッドに縦の動きを与える。 | ||
右肘は腰の後方に接するぐらいに位置する。腰の前方だとクラブヘッドオープンにしやすいので避けること。 | 両腕はアクティヴで、身体のターンに遅れることはない。 |
本当はもっともっと詳しいのです。読みたい方は'Golf Digest'誌か単行本を取り寄せて下さい。
(May 09, 2005)
ボールを置いて下さい。家の中でもどこでも結構。物差しでボールの向こう1.2mのところに何か印をつけて下さい。写真のようにクラブを両肩に水平にまたがるように保持し、トップの形を作ります。この時、クラブの先端(地面に向いている方)がボールの向こう1.2m以内のどこかを指していれば、あなたは 「1プレーン」です。私のように1.2mを超えた彼方を指していれば「2プレーン」。
(May 10, 2005)
私は両手をダランと下げた状態でアドレスしますから、どちらかというとボールに近い立ち方(2プレーン)で、ポスチャーは屈み込まない感じ(2プレーン)。スタンスは狭めで(2プレーン)、体重も右6:左4ぐらい(2プレーン)。グリップもウィークです(2プレーン)。
バックスウィングは、これまで腰も肩も一緒に廻していましたし(2プレーン)、背骨の角度も変化させないようにしていました(2プレーン)。
トップの間(ま)は若干あり(2プレーン)、クラブは右肩の上でターゲット・ラインの左を指しています(1プレーン?)。体重移動は若干右へ(2プレーン)。
ダウンは左腰の水平移動がリードします(2プレーン)。左腕はアクティヴになることを避け(2プレーン)、右肘は腰の前方です(2プレーン)。
ほとんど「2プレーン」です。私のトップはコンパクトなのでクラブが水平になるところまで行きませんから、左を指していて当然でしょう。最近、飛距離を求めてスタンスを広くしようとしたり(1プレーン)、腰の回転を制限しよう(1プレーン)と試みていたところでした。「二つのプレーン」が正しいとすれば、私はこのような試みを中止し、ややアップライトなトップを作る必要があるわけです。
'Tour Tempo'はプロ、アマのヴィデオを分析し、最良のテンポは1:3であることを発見しました。この「二つのプレーン」も多くのスウィングを分析した結果と、長年の実験によって導き出されたものだと思われます。これはこれで勉強になるのですが、われわれが誤解してはいけない部分もあろうかと考えます。
'Tour Tempo'も「二つのプレーン」も「文法」みたいなものでしょう。何ら創造的なものではなく、多くのサンプルを分析し、最大公約数を示している点で文法に近いと云えます。文法通りでない話し方や書き方が、時により活き活きして感じられるのと同様、スウィングも「文法」通りでなくてもいいという考え方も可能です。1:2.5のテンポでもいいスウィングが出来るし、80を切ることだって出来るのですから。
(May 09, 2005)
アメリカに'Gravity Golf'(重力ゴルフ)というキャッチ・フレーズでゴルフを教えているインストラクターがいます。教材費が高くて手が出ないので(ヴィデオ4本組、$60.00)、その内容については窺い知れません。しかし、私は既に重力利用のゴルフについてよく理解しているので、そういうヴィデオが必要とは思いません。もう私が過去に何度も書いていることですが、ゴルフにおける重力の利用とは以下のようなものです。
・ある日、No.6でのこと。トップでクラブヘッドが“戻りたがっている”という瞬間を感じ取りました。クラブが戻りたがっているわけですから、それに便乗したダウン・スウィングがパワフルでない筈がありません。ヘッドの「グヮシッ」という音と共に、快い弾道のナイス・ショットが実現しました。これまで「トップの間(ま)」という表現をしていたのですが、単純に時間としての間(ま)を置くのではなくこのようにクラブの(重力による)戻りを待ち、それをプレイヤーが助けるというのが正しいようです。(2000年7月14日「クラブに仕事をさせる」 tips_41.html)
・ティー・ショットでもアプローチでも、はたまたパットでも、自分からダウン・スウィングを開始するのではなく、重力によってクラブが戻り始める動きを捉え、こちらはそれを補佐すると良い結果になることは経験で分っています。重力を感じ、クラブの動きを助けた場合、「トップの間(ま)」を含めたテンポはとてもスムーズに感じられます。これを利用しないテはありません。(2001年11月10日「今日のテーマ」 tips_61.html)
・最適のバックストロークのトップを作ったら、重力がパター・ヘッドをボール方向に呼び戻すまで待つ。自然にパターヘッドが下りかけたら、長めのフォロースルーが取れる程度に力を貸す。ブランコでも、戻って来た子供をすぐ押すとブランコの動きはぎくしゃくします。頂点から戻りかけたタイミングで押せば、真っ直ぐスムーズに動いて行きます。御存知ですよね?(2003年9月25日「地球にパットさせる」 tips_74.html)
長いこと、本や雑誌で重力に関する記事を見たことはなかったのですが、最近になってやっといくつか発見しました。次のは現在Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のコーチであるJim Flick(ジム・フリック)の本から。
'On Golf'
by Jim Flick with Glen Waggoner (Villard Books, 1997, $24.00)
「ある科学者がBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のスウィング映像をコンピュータに取り込み、彼のヘッドスピードを計算した。ヒッコリー・シャフトで260ヤード飛ばしたBobby Jonesのクラブヘッドスピードは、50.5 m/秒(113 mph)だった。
この数字は非常に興味深い。手に握ったゴルフ・ボールを離すと、“母なる自然”の一要素である重力がボールを落下させるが、その加速の度合いはBobby Jonesのヘッドスピードを僅かに下回る数値である。逆に云えば、Bobby Jonesは腕力でボールを強打していたわけではなく、重力がクラブを引っ張り下ろす力を僅かに加速していただけだったのだ。
立ち上がって両手を地面と平行になるように伸ばし、リラックスした状態で両手を落とす。次に、同じことをするが、今度は拳で何かを握りつぶすように力を篭め、その状態で両手を落とす。明らかに後者の落下速度は遅い。つまり、緊張はクラブヘッドスピードの最大の敵なのだ。両腕の緊張が緩和されればされるほど、重力はあなたのお友達になる。重力ただ一つがクラブヘッドスピードを生むものであることを忘れないように」
以下は 'Golf Magazine'の'Private Lessons'シリーズの一頁。
'Let the Putter Swing'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' April 2005)
「いったんパターを引いたら、重力にそれを引き継ぎ、重力がボールに向かってパターを加速させるのだと考えること。このスムーズなストロークの際、パターそれ自身が振り子運動をするのを感じ取るように。それは、あなたの腕や指をリラックスさせ続けてくれ、いいフィーリングと適切な距離のコントロールも与えてくれる」
結論:クラブ(パター)の戻りを待つのが重力を利用するスウィング(ストローク)の基本です。重力が働く前に先行してダウンスウィングを開始してしまうと、それは単に腕力を使っているに過ぎず、重力を利用した場合ほどパワーは得られません。重力がクラブを地面に引き戻す動きを待つのが「トップの間(ま)」ということになります。私は、この重力の働きを待つスウィング(ストローク)こそゴルフの神髄だと考えます。
(May 15, 2005)
'Golf Digest Tested'
by editors of 'Golf Digest' ('Golf Digest,' June 2005)
'Golf Digest'誌がGolf Ball Laboratories Inc.に依頼して、ロボットに10タイプのティーに載せたボールを打たせました。ティーには'Brush-T'とか'Rip Tips'などの新型も含まれています。
一番短い2 1/8インチ(5.4cm)ティーがキャリー計195.3ヤード、新型ティー(約2.5インチ=6.4cm)はキャリー218〜220ヤードでした。3インチ(7.6cm)の木のティーはキャリー221.2ヤード。最も飛んだボールで使われたティーは4インチ(10cm)で、キャリー計227ヤード。【註:写真は私の手持ちのものを並べただけ。4インチは実際には持っていないので写真を加工しました】
私が普段使っているのは2.5インチのティーです。3インチも試したことがあるのですが、やたら天ぷらが出るので使っていませんでした。4インチのティーなんて天ぷらどころか、ボールの下をクラブがくぐり抜け、ボールは元の同じ場所にストンと落ちそうです。
ところで、何故天ぷらになるか分りました。《上のロボットによるテストで最大飛距離が出たのは、常にティーを3インチ(7.6cm)ターゲット方向に移した場合だった》そうです。つまり、ドライヴァーがスウィング弧の底辺を過ぎ、上昇中の段階でボールを捉えた時ということです。上昇中であれば、ドライヴァーの上部(ホット・スポット)でボールを打てるので距離が出る道理であり、天ぷらにもならない理屈です。低めのティーと同じところをボール位置としていたのが間違いだったわけです。
私はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)式に、ボール後方10cmにドライヴァー・ヘッドをアドレスして打っています。ひょっとするとこれが最近の飛距離増に役立っているのかも知れませんが、ボールそのものを7〜8cmターゲット方向に寄せれば、もっといい結果が出るように思われます。
試してみました。現在、私のホームコースの練習場は正面の網が破けていて「ドライヴァー使用禁止」になっています。私はどうせその網には届かないので、こっそり3インチ(7.6cm)のティーを3インチだけターゲット方向に置いて何球か打ってみました。てんぷらにはなりませんが、左へ出ます。それ以上打つことは出来ないので、後は実際のラウンドで打つしかありません。
No.1〜No.3は順に、「大きく左へプルし隣りのホール」、「左ラフ」、「左の林」でした。No.5は「フェアウェイ左」。
要するに、ボールを左に置けばてんぷらにはならないが、スウィング弧がインサイドに引かれる地点なので当然クラブフェースはクローズになっています。左へ出て当然です。3インチ(7.6cm)でなく2インチ(5cm)ではどうか?これだと左へは出ないことが分りました。個人差があるでしょうが、私の場合は2インチ(5cm)ターゲット方向をボール位置にするのがいいようです。
で、肝心の飛距離はどうなのか?私はr7の錘(おもり)の設定を一番高い軌道にしたのですが、3インチ(7.6cm)ティーと相俟って発射角度は高くなるものの、これまでの飛距離と大差ない感じでした。クラブを短く持っても長く持っても同じ。後はヘッドスピードの問題になるのでしょうか。
(May 18, 2005)
筆者Bill Moretti(ビル・モレッティ)は中堅インストラクターとして活躍中。
'Better by Sarurday: Iron Play/ Long Game'
by Bill Moretti et al. (Time4 Media, Inc., 2004, $15.00)
「フェードを打つには、通常より1インチ(2.5cm)ボールに近く立ち、アップライトなスウィングを促す。
ドローを打つには、1インチ(2.5cm)ボールから離れて立ち、フラットなスィングを促す」
(May 20, 2005、増補June 01, 2015)
'The Inside Path to Better Golf'
by Peter Kostis (NYT Special Services, Inc., 1982, $16.00)
Peter Kostis(ピーター・コスティス)は、インストラクターでありCBSゴルフ中継の解説者の一人でもあります。
「私の生徒たちが知りたがることの一つに、『完璧なティー・ショットの後、ティーはどに飛ぶべきか?後ろ?前?』というものがある。答えは…どこでもない!何故なら、ドライヴァーは上昇気味の軌道でボールを打つものなので、上手いゴルファーのショットではティーは概ねそのままの位置に残っているものなのだ」
(May 24, 2005)
ある日一緒にラウンドしたDick(ディック、60歳)は最初のホールで、パッティング・ラインの後方に立ち、パター・フェースをラインと直角にし、パターを動かさないようにしながらアドレス位置に廻り込んでアドレスするという技を使いました。
私は実はこの方法を雑誌で読んで知っていましたので、彼がどの程度成功するか好奇心で見守っていました。ところが、彼はその後ほとんどその方式を使わないので、私は痺れを切らして尋ねました。「あれは雑誌か何かで読んだ方法?」「最近の'Golf Digest'に出てたんだ」「Tom Watson(トム・ワトスン)でしょう。どうして毎ホールでやらないの?」「忘れちゃうんだ」なあんだ。状況に応じてやったりやらなかったりするわけじゃなかったんだ。
'Watson's Shortcuts'
by Tom Watson with Nick Seitz ('Golf Digest,' May 2005)
「アマチュアがパットをミスする原因は、単純にパターヘッドが目標を向いていないからということが多い。特にショートパットにおいて、そう断言出来る。目をターゲット・ラインと平行にして正確に狙うというのは、大変難しい。だから、Sam Snead(サム・スニード)はクロッケー・スタイルで、ターゲット・ライン後方に立ってパターを押すという方法を考え出した。これは正確に狙えるいい方法だったが、USGAはこのメソッドを『ラインをまたいでパットするのは違法』として禁止してしまった」
そして、Tom WatsonはまさしくDickがやったように《ターゲット・ライン後方でフェースをラインと直角にし、パターを動かさないようにしながらアドレス位置に廻り込む》という方式を推奨しています。「これは奇妙に見えるかも知れないが、理に適った方法だ」とのこと。
Sam Sneadはクロッケー・スタイルのパッティングが禁止された後、「じゃあ、ラインをまたがなければいいだろう」と、パターはクロッケー・スタイルにセットしつつも、スタンスはラインの左側に足を揃えるという手法を編み出しました。これは"sidesaddle"(サイドサドル=女性の乗馬用に、両脚を同方向に垂らせるように作られた鞍)と云われました。
'Try Snead's sidesaddle'
by Johnny Miller ('Golf Digest,' June 2005)
「サイドサドルは素晴らしい方法なのに、どのツァーでも誰一人使っていない。これは驚きだ。サイドサドルは完璧なストレートなバック・ストローク、ストレートなフォワード・ストロークを繰り返せる。必ずフェースをスクウェアに出来るし、手首の捻れも起らない。簡単にラインも見通せる。これを復活させる人が出現したら、多くの模倣者が列をなすだろう」
(May 26, 2005)
著者Jim Flick(ジム・フリック)はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の現コーチ。
'On Golf'
by Jim Flick with Glen Waggoner (Villard Books, 1997, $24.00)
「パットの上手い人ほど、No.1ティーに向かう前の練習グリーンでカップを狙ったりしない。彼らはただタッチとテンポを呼び戻すために何回かボールを転がすだけだ。
彼らは、もしカップを狙ってミスした場合に忍び寄って来る「今日は駄目かも」というネガティヴな想念を避けたいのだ。また、もしバンバン入ってしまった時に、『オッケー!今日は完璧だぜ』的態度となってコースでのパットがいい加減になることにも用心しているのだ。
もう一つ、誰でも知っているように、ゴルフの神様はゴルファー一人につき一定数の6mパットの成功を許して下さる。そのいくつかを練習グリーンで使い果たしてしまわないように…と考えるのは、誰しも同じなのである」
(May 26, 2005)
私の手元に、プロのスウィングの連続写真を沢山掲載した本が二冊あります。
☆'Lessons from the Golf Greats'
by David Leadbetter (HarperCollins, 1995, $29.95)
★'Lessons from Golf's Greatest Swings'
editors of 'Golf Digest' (NYT Magazine group, 1996, $4.95)
どちらも古いのですが、出版当時世界を代表していたプロたちが選ばれているのは間違いありません。彼らのスウィングのトップが「1プレーン」か「2プレーン」かチェックしてみました。なお、連続写真には撮影日時が付記されていません。出版年のかなり以前に撮影された可能性もあるわけです。☆と★はそれぞれの本を示します。二冊の本に登場してプレーンが異なるプロもいます。その場合、(*)という印をつけました。
・1プレーン Paul Azinger ☆★ Seve Ballesteros ☆ Laura Davies ☆(*) Nick Faldo ☆★ Raymond Floyd ☆ David Frost ☆ Tom Kite ☆★ Nancy Lopez ☆ Ian Woosnam ☆ Nick Price ★(*) Phil Mickelson ★(*) Greg Norman ★(*) Jose Maria Olazabal ☆★ Gary Player ★ |
・2プレーン John Daly ☆ Hale Irwin ☆ Bernhard Langer ☆ Phil Mickelson ☆(*) Colin Montgomerie ☆ Greg Norman ☆(*) Nick Price ☆(*) Payne Stewart ☆ Lee Trevino ☆ Tom Watson ☆ Laura Davies ★(*) Corey Pavin ★ Jack Nicklaus ☆★ Fred Couples ☆★ Davis Love III ☆★ Ernie Els ☆★ Tiger Woods ★ |
あくまでも十年前の写真を元にしていますから、現在の彼らがどっちであるかは最近のTV中継を見るしかありません。
(May 31, 2005)
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