Golf Tips Vol. 20

レフトハンド・ロー・グリップの効用

'Try the "Left Cross"'
by Beverly Fergusson with Nick Mastroni ('Senior Golfer,' April, 1999)

“レフトハンド・ロー・グリップ”とは、パッティングの際の通称“クロスハンデッド・グリップ”のことです。Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)が「どこもクロスしてないのに“クロスハンデッド・グリップ”と称するのはおかしい。正しくは“レフトハンド・ロー”だ」と云っていました。で、今後はDave Pelzの主張に従います。

Philips Invitational '99(フィリップス招待、福嶋晃子が優勝したトーナメント)の中継で、CBS TVの解説者が「LPGAツァー・プロの40%が“レフトハンド・ロー”を採用している」と断言していました。この数字も凄いですね。

「レフトハンド・ロー・グリップの効用:

1) 肩が水平になる
  左腕を延ばしてパターと一直線になるようにアドレスすると、両肩が水平になる。これはパターが地面と平行に動くのでボールとのしっかりした接触が得られ、理想的転がりをもたらす。通常のグリップではフル・スウィング同様、右肩が左より低い位置になる。これはバック・ストロークでパターを引き摺るような動きになり易く、スタート時にボールをハネ上げる結果になり易い。

2) 左手首が折れない
  ストローク全体を通じて左手首を折らずに通すことが出来る。しっかりした手首の動きが、正確で理想的な転がりを生むことは既に証明されている。

3) スクウェアにラインアップし易い
  伝統的グリップだと肩のラインがややオープンになり、前腕部がターゲットの左を指す。これだとラインに乗せるには、ボールをプッシュしなければならない。レフトハンド・ローでは問題無くラインと平行にセットアップ出来る。

 

  レフトハンド・ローはまた、しっかりした左手首によりパターを地面すれすれに低く、ラインに沿って出すことが出来る。

レフトハンド・ローは短いパット、中距離のパットでボールをラインに乗せるのに威力を発揮する。長いパット、特に遅いグリーンの場合、左手と左手首が固いために長いフォロースルーが取れず、ホールまでボールが届かないという問題が起るかも知れない。こういう場合、両肩を若干オープンにすると左腕が少し自由になるので効果的なストロークが可能になり、長い長いパットを寄せることが出来る」

(May 23, 1999)


続々・ストックトンの技法

'Make More Putts'
by Dave Stockton with Nick Mastroni ('Senior Golfer,' February 1999)

18のTipsが紹介されていますが、その大半は彼の本'Putt to Win'からこれ迄抜き書きした項目(ストックトンの技法続・ストックトンの技法)と同じものです。ここではいくつかの新しいパッティングTipsだけを紹介します。

「アマチュアの大半は強くパットし過ぎる。ホールに到達すれば十分なので、それ以上勇敢である必要は無い。練習方法として、ホールの向こう16 inches(41cm)にティーを刺し、丁度ホールに転げ込む強さでパットする。ティーを越えてはいけない。相当な数のパットを沈められる筈だ。

ボール・ポジションは左足のかかとから2〜3 inches(5〜8 cm)内側がお薦めだ。この位置なら十分にコントロールしつつバックとフォローを均等の長さでスウィングが可能。あまりに前に持って行くと、バック・スウィングが長くなり、ヒットした後突如動きが止まるようなスウィングになる。

ロング・パットでは姿勢を高くする。ラインが良く見えるし、安定して着実にヒット出来る。背中を伸ばし、足はショート・パットよりやや近づける。

上手な人のパットはスムーズに転がる。下手な人のはバウンドする。これはインパクトの時点で過度に手とクラブヘッドが先行して、フェースのロフトが無に等しくなって起る。どんなパターにもロフトはある。それを活かすには、両手をボールの位置でアドレスする。この場合、フォーワード・プレスしてもまだ十分ロフトがあるので、ボールはスムーズに転がる。

常に同じタイプのボールを使うこと。スリー・ピース、バラタ、ハード・カヴァー・2ピースなどと、ころころ変えたのではフィーリングも転がる距離も異なってしまう。ブレイク(迂回)の度合いも変わってくる。自分のゲームに合うボールを見つけたら、そのタイプにこだわること」

(May 24, 1999)


[Putting line]ラインを見る

普通は「ラインを読む」のですが、私の場合は「ラインを見る」です。図のAはボールの背後からカップに向かって立った位置。既に斜面の下方(この図では左側)から、このグリーンの勾配がボールに与える重力を認識した後とします。Aからストレートにカップに届く強さで打てば、先ほどの重力によってボールはカップの遥か下A'に転がると予想出来ます。プロですと、ここでいきなり図のBの近辺に移動し、多少の調整をしてからパットするでしょう。

実はA-A'(黒線)からB-B'(赤線)までの間には無数のラインが想定出来ます。私はAからBまでの間を3ステップぐらいに分け、A'がB'に近づくまでA→Bと小刻みに移動します。「ボールのスピードが遅くなるほど、勾配の影響を受け易い」ので、この図の場合ですと相当なブレイク(迂回巾)を見込まなくてはなりません。パットは鋭角に曲がったりしませんから(裏口からポトンと落ちる場合は別)、スムーズな曲線を描く筈です。

重力に対抗するブレイクを考えた時点で、既にパットの強さは決まっています。後はボールの前後に目印を見つけて、ボールがそこを通過するようにパットするだけです。

A地点からB地点への移動にかかる時間はたった3〜5秒程度のものです。しかし、A地点からB地点へ蟹の横這いのように移動するのは、あまり格好いいものではありません(だからプロもやらないのでしょう)。しかし、“考える”より、実際にボールが転がるラインを“見る”方が簡単です。格好を取るか、いい結果を取るか。私はカニになりたい。

(June 07, 1999)



3×4(スリー・バイ・フォー) System

'Dave Pelz's Short Game Bible'
by Dave Pelz with James A. Frank (Broadway Books, 1999, $30.00)

Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)が自信を持って「ショート・ゲーム・バイブル」と命名した本だけのことはあります。例によって自分のゴルフ・スクールと練習道具の宣伝を織り交ぜているとか、協力者である息子への長い献辞があるなどは気に入りませんが、完璧なショート・ゲームを目指す独特のメソッドと綿密な調査・テストに基づくいくつかの発見など、その辺には転がっていないユニークな内容が含まれています。

[Bible]

彼の前歴は既に「ペルツの暗い過去」で御紹介しました。この本にはトーナメント・プロ達との興味深い出会いが書かれています。Dave Pelzは物理学を専攻しNASAに15年勤務しただけあって、ゴルフの秘密を科学的に解明しようとします。彼が23年以上も前にゴルフを仕事と定めた時も、先ずトーナメントでツァー・プロ達のプレイに随いて歩き、詳細なデータを取るところから始めました(以下の話は、彼が巨漢であることを知っていないと面白みが半減します)。

「その日一番のスタートはルーキー三人組だった。Jim Simons(ジム・サイモンズ)、Andy North(アンディ・ノース)、Tom Kite(トム・カイト)という、いずれも無名の若者達。私は雨の中、レインコートを着て傘を差し、大きなノートを携えていた。プレイしている三人以外には誰もいなかった。私はロープの外側で三人のボールを追いかけ、距離を測定しノートに記録し続けた。グリーン周辺では三つのボールを確認するため右のバンカー、左のラフと走り廻った。

後で知ったことだが、No.3辺りから「おい、あのデカい太っちょを見ろよ。一体何をやってると思う?」と三人は訝っていたそうだ。No.6になって、三人組は遂にJim Simonsを代表として送り届けて来た。「失礼ですが、何をやってるんですか?」私は彼のゲームを研究して、彼の目覚ましい点と弱点を見極めようとしているんだと答えた。「面白い。で、何か分りましたか?」「まだあなたが使っていないクラブが7本あるので、まだ何とも云えない。しかし、何か見つけられると思う」「Pelzさん、私の弱点を見つけたらいつでも連絡して下さい」そう云ってJim Simonsが名刺をくれ、AndyとTomをも紹介してくれた。以後、私は機会ある毎に、この三人をフォローした」(Jim Simonsは現在はゴルフ界から引退、Andy Northは後にU.S. Openに二回優勝、Tom Kiteは後にU.S. Openその他多数に優勝)

Dave Pelzの初期の発見は“ブラジャー効果”というもの。ロング・アイアン、ミドル・アイアン、ショート・アイアンによるボールの行方をグリーン周辺でマッピングすると、ブラジャーを広げた形のようにピンの左右に固まる。プロの場合、距離測定がしっかりしているし、それに見合うクラブを選択すればいいので、オーヴァーしたりショートしたりはせず、単純に左右にぶれるだけ。これがグリーンから40〜60ヤードだとどうなるか。ブラジャーが縦になって、今度は方向は正確なるも距離が前後にぶれる。つまり、フル・スウィングしないショート・ゲームではプロでも距離の加減が難しいという事実が判明した。

そこから導き出されたのが“Dave Pelz式3×4(スリー・バイ・フォー)システム”。ショート・ゲームのスウィングを三つの大きさに分ける。1) テイクアウェイで手のトップが時計の文字盤なら7:30になる、2) 同じく9:00になる、3) 同じく10:30になる…の三つ。ピッチング・ウェッジ(PW:50゜前後)の例だと、7:30で50ヤード、9:00で75ヤード、10:30で100ヤード…と一本のクラブが三通りに使える。

同様にサンド・ウェッジ(SW:55゜前後)、ロブ・ウェッジ(LW:60゜前後)、エクストラ・ロブ・ウェッジ(XW:64゜前後)を加えてそれぞれ三通りに使うとすると、次のような飛距離になる。

XW LW SW PW
7:30 28 35 43 50 (yards)
9:30 42 53 64 75 (yards)
10:30 55 70 85 100 (yards)

つまり、4本のウェッジを各三通りに使い、計12通りの距離を精確にヒットするというのが“3×4システム”の由来であり、売りです。上のヤーデージはあくまでも一例なので、自分の飛距離を測定しなければなりません。その三通りのヤーデージを覚えきれない場合は、「28・42・55」というようなラベルをクラブ・シャフトに貼ります(ルール違反ではないそうです)。

Dave Pelzも書いていますが、7:30のスウィングが一番難しい。短か過ぎるのです。トップで“間”を置いて、いいリズムを作らないととても振れません。

Dave Pelzは何人ものプロを説得して、このシステムを導入させようとしますが、4本のウェッジを増やすためにはロング・アイアン他を減らさなくてはならず、相当な抵抗に出会います。全く抵抗無しだったのはTim Kiteただ一人だったそうです。

3×4システムを採用したとしても、Dave Pelz式スウィングの基礎である“技巧的ショット”の要素も伴っていなくてはなりません。

a) ウィーク・グリップ(二つのVがどちらも鼻を指す)。
b) コック以外には手を殺す("dead hands")。
c) ボール・ポジション
 ・チップは右かかとの前
 ・ピッチは両かかとの真ん中
 ・バンカーショットでは左かかとの前
d) スムーズに身体全体で振る。
e) フォロー・スルーはバック・スウィングの50%増し。

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(June 14, 1999)


[rubberband] スウィート・スポットでパットする

Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)は色んな練習用具の開発に精出していて、当然スウィート・スポットでのパットを強制する道具もあります。'Teacher Clips'と称する凹状のもので、パター・フェースに貼り付けます。スウィート・スポットで打った場合のみ真っ直ぐ進み、それ以外は飛んでもない方向に撥ねてしまうというもの。しかし、そんなものを買わなくてもいい方法を見つけました。

'The Art and Science of Putting'
by Rik DeGunther (Masters Press, 1996, $14.95)

パターのスウィート・スポットを挟む二ヶ所に輪ゴムをはめる。これだけ。効果は'Teacher Clips'と同じ。しかも、タダ。万歳。


(June 23, 1999)


練習無しでパット

'No Practice Stroke'
by editors of 'Golf Digest' ('Golf Digest' January, 1999)

「パットする前に常にラインを視覚化するのはいいことである。しかし、折角視覚化しても、実際のストロークまでに間があいてしまってはイメージが薄れてしまう。心の中の視覚化に反応して身体は既に準備OKなのだから、練習ストローク無しでパットすべきである。プレーイング・パートナー達も迅速なプレイを喜ぶに決まっている」

(June 23, 1999)

飛距離の最適化

'Mind Over golf'
by Dr. Dick Coop with Bill Fields (Macmillan, 1993, $12.95)

「何がなんでも避けなくてはならないのは、筋肉を緊張させるような文句を使うこと(固い筋肉は短いショットをもたらす)。『ぶっ叩くぞ!』という代わりに『絹のような、あるいはオイルのようなスウィングをしたい』と考える。絹あるいはオイルのスウィングは、力一杯のスウィングよりクラブヘッド・スピードが上がる。

飛距離を最大にするより、飛距離を最適化することを考える。どのショットにおいても、適度な正確さを伴った最大飛距離を見出す必要がある。これがあなたの最適の飛距離である。

ほとんどのツァー・プレイヤーは、通常彼等のティー・ショットにおいて、最大の力の85%でスウィングする。これは彼等に最適の飛距離をもたらす。パー5の場合には、100%の力でスウィングするプロもいる。しかし、面白いことに、こうしたフル・パワーの努力は85%スウィングほど飛ばないものだ。どうしてかと云うと、目一杯叩こうという意識がフリーなスウィングを妨げ、クラブヘッドのスピードを遅らせ、スウィート・スポットでヒット出来なくなったりするからである。

あなたも経験がある筈だ。池の手前に刻むような場合、あなたのスウィングは"effortless"で、通常のショットより遠くへ飛び、本来避けたかった池に飛び込んだりする。このタイプの"effortless"な努力が、あなたの最適の飛距離をもたらすスウィングに必要なものなのだ」

(July 01, 1999)


フックの諸相

 

'Understanding Your Hooks and Slices'
by the editors of 'Golf Tips' ('The Best of Golf Tips')

(1) プッシュ・フック
軌道:ターゲット・ラインの右へ出て、半ばから左旋回しターゲットの左へ大きく曲がる
クラブの進路:過度にインからアウト
クラブ・フェース:インパクトで過度にクローズ
処方箋:前腕部を返さないスウィングを練習する。

(2) ストレート・フック
軌道:ターゲット・ラインに沿ってスタートするが、半ばから左旋回しターゲットの左へ曲がる
クラブの進路:スクウェア
クラブ・フェース:インパクトでクローズ
処方箋:手がクラブヘッドに先行するインパクト、腕を返さないスウィングを練習する。

(3) プル・フック
軌道:ターゲット・ラインの左へ出て、更に左へ曲がる
クラブの進路:過度にアウトからイン
クラブ・フェース:インパクトで過度にクローズ
処方箋:これは、ダウン・スウィングの途中で右半身の回転が止まったのに、右肩が無理に回転しようとする際に起る。右半身がボールに向かって回転し、右膝とベルト・バックルがターゲットを指すフィニッシュを目指す。

 

(4) プル
軌道:ターゲット・ラインの左へ出て、そのまま左に直進する
クラブの進路:過度にアウトからイン
クラブ・フェース:インパクトでスクウェア
処方箋:ダウン・スウィングでのタイミングが問題。トップでダウン・スウィングをスタートする前に、クラブの方向転換のための時間を与える。

(July 02, 1999)


スライスの諸相

 

'Understanding Your Hooks and Slices'
by the editors of 'Golf Tips' ('The Best of Golf Tips')

(1) プッシュ・スライス
軌道:ターゲット・ラインの右へ出て、半ばから右旋回しターゲットの右へ大きく曲がる
クラブの進路:過度にインからアウト
クラブ・フェース:オープン
処方箋:スウィングの間、首の骨を意識し、それを不動の軸にする。これがボールの後ろに留まりつつクラブヘッドをリリースする助けとなる。

(2) ストレート・スライス
軌道:ターゲット・ラインに沿ってスタートするが、半ばから右へ曲がる
クラブの進路:スクウェア
クラブ・フェース:インパクトでオープン
処方箋:グリップが強過ぎてクラブのトゥが返らないのが原因。腕と手首をリラックスさせ、クラブのトゥが急速にターゲットに向かって行くように練習する。

(3) プル・スライス
軌道:ターゲット・ラインの左へ出て、半ばから右旋回しターゲット・ラインの右へ大きく曲がる
クラブの進路:過度にアウトからイン
クラブ・フェース:インパクトでオープン
処方箋:これは、プルは右サイドに留まったスウィングの際に起る。チキン・ウィングにもなり易い。体重移動を改善し、チキン・ウィングを防止すること。

 

(4) プッシュ
軌道:ターゲット・ラインの右へ出て、そのまま右に直進する
クラブの進路:過度にインからアウト
クラブ・フェース:インパクトでスクウェア
クラブの進路:過度にインからアウト

(July 05, 1999)


正しいグリップ・チェック

'A Good Grip Needs a Square Clubface'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine' March 1995)

「柱にクラブフェースをあてがうとか、床のタイルの継ぎ目にクラブのリーディング・エッジを沿わせるとか、とにかくスクウェアな基準にクラブをセットする。手をそえて、通常のグリップを作る。

そのままクラブを持ち上げ、水平から45゜ほどの角度を作る(ヘッドは頭の高さを越えているはず)。この位置で、リーディング・エッジがシャフトに沿ってストレートになっているか、グリップのナックルの数、Vの字の方向などをチェックする」

この45゜というのは、トップでコックした際のクラブの標準的角度だと思われます。トップで作られたこの形がそのまま下りて来るので、この45゜のチェックは重要です。このTipは、いつの間にかフック・グリップ、スライス・グリップになっていたというようなミスの発見にも役立ちます。

(July 06, 1999)


[Senior Golfer]手首の問題

上の「正しいグリップ・チェック」は他の雑誌や本にも登場しますので、結構ポピュラーな方法のようです。

ここで注意して頂きたいのは、「クラブを持ち上げ、水平から45゜ほどの角度を作る」際の手首の状態です。手の甲の方に折れ曲がっていて皺が寄っていませんか?これがコックした状態であるとすると、フレッド・カプルズの本で御紹介したようにFred Couplesがやっている"cupped left-wrist position"(外側へ折った手首)に他なりません。

'Senior Golfer' 5月号の表紙を御覧下さい。どうでしょう、この“模範的”トップも手首は若干外側に折れているように見えます。真っ直ぐ伸ばしていたら、クラブは写真のもっと下の方に写っている筈です。表紙にあるA、Bという文字は私が勝手に付け加えたものですが、私の場合は、手首を折らないとクラブがターゲットの遥か左を指します(A)。しなやかな身体で十分に肩を廻せばターゲットを指すのでしょうが、私には無理です。で、意識的にクラブをターゲット方向に調整すると、私の場合外側へ折れた手首にならざるを得ません。

'Top Billing'
by Don Trahan & Claude "Butch" Harmon ('Golf Magazine,' February 1996)

この時期の'Golf Magazine'は論争の的になっているテーマを選び、二人のスウィング・コーチに賛否両論を執筆させていました。真っ直ぐな手首(図右)を支持するのは「短いバック・スウィングの勧め」のDon Trahan(ドン・トラハン)で、「手首を折るとダウン・スウィングでそれを戻す動きが必要になり、スウィングが複雑になる。手首が真っ直ぐなら、単純に身体を巻き戻すだけでよい」と主張します。

[Two wrists]

Tigerのスウィング・コーチ"Butch" Harmon(ブッチ・ハーモン)は「多くのツァー・プレイヤーがFred Couples(フレッド・カプルズ)やJohn Daly(ジョン・デイリイ)に倣ってストロング・グリップを採用している。これは手首が外側に折れるトップ(図左)へと導かれ、クラブが寝ることを防止する。同時にクラブ・フェースがややオープンになり(トゥが地面を指す)、コントロールされたフェードをもたらす(ダウン・スウィングでのクラブのリリースが少し早ければ、ソフトなドローになる)。上手いプレイヤー達は、ダックフックの心配無しに手首をムチのように使うことが出来る。だからこそ、Ben Hogan(ベン・ホーガン)もこの手首を採用したのだろう」

'Total Shotmaking'
by Fred Couples with John Andrisani (HarperPerenial, 1995, $15.00)

Fred Couplesの場合は、手首を折るだけでなくクラブがターゲットの遥か右('Senior Golfer'表紙のBの文字辺り)を指します。これはフライング・エルボウに起因するものだそうですが、Fred Couplesによれば、「1) スウィング・アークを大きくし、パワーが得られる、2) インサイドからダウン・スウィングをスタート出来るので、スクウェアで正確にヒット出来る」というメリットがあるそうです。

(July 06, 1999)


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