'Home on the Range'
by Doug MacDonald (Golf in the 80's, 1996, $15.95)
レッスン・プロが執筆した本。“練習だけの本”の筈なのですが、スウィングの解説にも結構な頁を割いています。誰しも“ゴルフの教科書”を作りたくなっちゃうものなのでしょうか。
【練習日の練習】
その日の目標を立てておく。
ストレッチングを行なう。
先ずパットの練習をする。続いて10個のボールでチップ・ショット。10個だと成功率が計算し易い。次にチッピング、バンカー・ショットを30球ずつ。これらはフルスウィングのミニチュア版なので、自然にフルスウィングに移行出来る。
フルスウィング:一球毎に素振りを含めたプレショット・ルーティンを実行すること。素振りにはスローモーションを含めるといい。ターゲットを設定してアライメントが正しいかどうか確認する。
(レインジ・ボールは新品のボールに較べ、半クラブ〜ワン・クラブ飛距離が短いと思うこと)
間をおかずに連続して打つと、ミスがパーマネントに定着する恐れがある。一球に30秒はかけること。45個入りの篭なら30分〜45分。更に、20分〜30分打ったら休憩を入れる。
【ラウンド前の練習】
一番小さな練習ボールの篭を買う。
ストレッチング。
先ずパットの練習でグリーンの早さを掴む。次にチップ、ピッチの練習をする。
フルスウィング:ラウンド前のswing thoughts(スウィング・キイ)を定める。
目標はウォームアップであって、オーヴァーホールではないことを忘れないように。
先ずウェッジ(あるいは9番アイアン)を使う。1/2か3/4のスウィングで始め、5〜10球の間にフルスウィングまで行なう。偶数か奇数のどちらかのクラブを選んで、同じようにウッドまで通して練習する。
最後に、また1/2スウィングのウェッジ(あるいは9番アイアン)に戻って終る。
ラウンドで使う集中力とエネルギーを温存しておくこと。
練習を必ずショート・アイアンの1/2か3/4のスウィングで始めるというのは、とてもいいアイデアです。いきなりフル・スウィングだと、いつもの距離が出ないことに苛立ったりして(身体が温まっていないのだから、当然ですが)、結構な数の無駄球を打つことになります。コンパクト・スウィングでスタートすると、力まないスウィングからじわじわと通常のスウィングに移行出来ます。コンパクト・スウィングの方が距離も方向性もいい事実を発見するかも知れません。いいことづくめです。
【おことわり】画像はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示させて頂いています。
(April 12, 1999)
'The Complete Golfer'
by Tom Dorsel, Ph,D. (Allyn and Bacon, 1996, $19.00)
「理想的にはNo.9からダイレクトにNo.10に向かうべきである。OUTでいいプレイを進めて来て、エネルギーもアドレナリンも満ちている。なのに、昼飯どきだからといってジャンク・フードが必要か?次の3ホールでしっぺ返しを喰らうことは目に見えている。
ゴルフはピクニックではない。スポーツである。他のスポーツでプレイの間に食事をするものがあるだろうか?何か飲物を買うのはいい。しかし、ゲームの焦点を失わないように、素早くすること。チャンピオンのための飲物は水である。果物があるなら、それでエネルギーを補給しなさい。食事はラウンドの後で、成功を祝いながら摂りなさい」
【参考】
・「80を切る栄養学」(tips_5.html)
・「80を切る食事」(tips_61.html)
・「ゴルフのための食事」(tips_117.html)
・「朝のゴルフ・午後のゴルフ」(tips_69.html)
・「コンペ前夜」(tips_108.html)
・「ランチ・ブレイク」(tips_17.html)
・「エネルギー補給マニュアル」(tips_45.html)
・「エナージィ・ドリンクの飲み方」(tips_121.html)
【おことわり】画像はhttps://png.pngtree.com/にリンクして表示させて頂いています。
(April 14, 1999、増補May 25, 2015)
前夜、友人で外科医のMike(マイク)からE-mailで、「明日は休みを取ってゴルフすることにしたい。一緒に行こう」と云って来ました。彼はユーモアのセンスのある紳士で、ゴルフも若い頃はシングル級でした。今もかなり飛ばしますが、仕事が忙しいせいで年に数回しかプレイ出来ず、スコアは40前後です。私は彼を尊敬しているし、あちらは私のコンピュータの知識に一目置いているという間柄。私は「最近はプロ並みのショットをするから驚かないように。それでいて、時折初心者のようなミスも冒すけど、それも驚かないように:-)」と返事しました。
ボギー、パー、ボギーという出だしで、「こりゃ昨日の方が良かったな」と思いました。いずれにしても、私の心境は「Mikeにはみっともないダフリやチョロだけは見せたくない」というもので、一打、一打、慎重に集中して打つことを心掛けました。No.4 (186 yard) パー4でチップ・イン、バーディ。パー、ダボ、パー、ボギーと続いて、No.9 (453 yard) パー5でもバーディー。バーディがラウンドで二つというのは初めてです。
Mikeが「39かい?」と聞くので「数えてないんだ」と答えると、Mikeもこっちの心理状態を理解したようで沈黙。
昼食も抜きでインに移りました。Mikeはジャンク・フードを食べたくなかったし、私は好調を持続したかったからです。
パー、パー、ボギー、パー。その後の二ホールはバーディ・パット失敗のパー。No.16 (371 yard) パー4で又もチップ・イン、バーディ。ワン・ラウンドで三個のバーディは凄い(自分でも呆れる。Mikeもハイ・ファイヴをくれながら呆れ返っていました)。後はボギー、パー。
恐る恐る計算したら、紛れも無く78。「それは突然やって来ます」というお話でしたが、確かにその通りですね。今日の私は間違いなく"The Zone"に入っていたと思います。プロのような凄いものではありませんが、アマチュア・バージョンの"The Zone"。クラブ選択も的確で、ティー・ショットは殆ど失敗が無く、フック撃退後のフェアウェイ・ウッドはグリーン方向へまっしぐらに飛びました。チップ・インと寄せワンを合計すると、“変則ロブ”は9個のアップ&ダウンを成功させました。合計パット数26というのも新記録。
アンケートで「筆者が80を切れると思う」と投票して下さった皆さんに御礼申し上げます。皆様の応援のお蔭です。また、「思わない」と投票された8名の方にも御礼申し上げます。皆さんの判断を早期に覆したいというのも一つの強い動機でしたので、皆さんも本日の快挙には蔭ながら一役買っていたわけです。「どうでもいい」を選んだ皆さんには、当然ですが御礼など云いません:-)。
Mikeが不調で私の方が出来がいいというのは初めてでした。「ポジティヴに考えなきゃ駄目だよ」と、彼を励ましならのラウンド。Mikeも必死で立ち直ろうと頑張ったものの、花婿の付添人という感じで"Beauty!"、"Beautiful!"を連発する役に終始。終って「今日はあんたのゴルフを楽しんだよ」と云ってくれました。懸命に一打毎に集中するのも大変でしたが、しかし、出来がいいと疲れませんね:-)。
Date: April 22, 1999
Weather: Cloudy, occasionally sunny
Wind: 15-20 mph
Golf course: Ponta Creek (NAS Meridian, Mississippi)
Yardage: 6,215 yards
Par: 72
Course Rating (White tee): 69.9
Slope (White tee): 120
OUT | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 小計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
パー | 4 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 | 3 | 5 | 36 |
パット数 | 2 | 2 | 2 | 0 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 | 14 |
打数 | 5 | 5 | 5 | 2 | 4 | 6 | 4 | 4 | 4 | 39 |
IN | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 小計 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
パー | 4 | 5 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 5 | 3 | 36 | 72 |
パット数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | 2 | 0 | 2 | 1 | 12 | 26 |
打数 | 4 | 5 | 5 | 4 | 4 | 5 | 3 | 6 | 3 | 39 | 78 |
Attested by: Mike Nicholson, D.O.
私の4/22のバイオリズムを福田太志氏作・Mac用『バイオリズムVer3.1.2』で見てみましょう。中央の縦の白線が4/22です。青い曲線が身体波で、底辺から上昇途中です。緑色は知性波で、丁度身体波と重なっています。ピンク色は感情波ですが、これはほぼ底辺近くにあります。
私の勝手な解釈ですが、身体波と知性波のバランスが取れていた日で、感情波が欲張ったり口惜しがったりしない理想的な日だったと読めます。
もう一つメモしておく必要がある事柄ですが、この日私は眼鏡をかけていませんでした。乱視ですが普通は眼鏡無しで暮していて、車の運転とゴルフの時だけ眼鏡をかけます。ロスト・ボールになるのが心配だからです。この日も眼鏡をかけるつもりだったのですが、眼鏡をカミさんの車に置き忘れたまま乗って行かれちゃいました。プレーイング・パートナーのMike(マイク)に「今日はボクのボールの行方を良く見ててね」と頼んだら、「何だ、今日は盲目のゴルファーとプレイするのか」と笑っていました。
実際にはほとんどフェアウェイを歩いていましたから、ボールが見えなくなるということはありませんでした。私のいいショットが続出するので、Mikeは「先が見えないから、ヘッドアップしてもしょうがないので、それでいいスウィングするんだろう」と僻んでいました。
本当は眼鏡をしない方がパッティングにいいことは承知です。歪みが無いので、ラインが正確に読めます。Hale Irwin(ヘイル・アーウィン)は昔眼鏡をかけて活躍していましたが、一頃鳴かず飛ばずになった後、眼鏡無しになって賞金王として復活しました。レーザー治療が理想ですが、少なくともコンタクト・レンズにはしたいところです。しかし、ゴルフのためにコンタクトを誂えるほどの財力はありません。昨日の結果で、無理に眼鏡をかけなくてもいいようだという気もします。外すだけで済むなら無料:-)。
心掛けた点としては、ドライヴァーからミドル・アイアンまで、二回ずつ「右手を離す素振り」をして、下半身先行と大きなスウィング・アークの土台を作りました。「変則ロブ」では長く高いフォロー・スルーが大事なので、その高さを身体に覚え込ませるようにしてからヒットしました。
私個人の努力以外に、プレイ環境も随分助けてくれたと思います。先ず、一人でプレイしていたら、ここまで集中出来なかったでしょう。Mikeという、他人の目を意識したからこそ可能だったのだと思います。そのMikeですが、気の置けない、いい人柄なので、常時リラックスしていられました。また、我々の前後に全く人影がないという理想的なラウンドでもありました。
当然ですが、ラッキーでした。ワン・ラウンドにチップ・インが二回というのはラッキー以外のなにものでもありません。プロはそれを狙うでしょうが、私はピン傍に付けたかっただけで、入れようとは思いませんでした。でも、Mark O'Meara(マーク・オメラ、British Open '98優勝)にしても、Lee Janzen(リー・ジャンセン、U.S. Open優勝)にしても幸運が味方したからこその勝利で、幸運も“芸のうち”だと思います。
今後ですが、チップ・イン・バーディーが毎回期待出来るわけもないのでどうしたらいいのでしょうか。二つのチップ・イン無しとすると、スコアを減らせるのは一つの3パットと一つのダボだけです。これが無くなると、もうパーフェクトに近くなってしまい、実現は至難の技です。ま、それよりも常に40前後で廻ることの方が先決ですかね。そうでしょうね。
(April 22, 23, 1999、改訂January 04, 2017)
P3で御紹介した"Peak Performance Psychology"のDr. Rosa(ドクター・ローザ)ですが、彼自身のサイトにいくつかの論文がアップされています。以下は自動車の運転を覚えるのとゴルフに熟達することをオーヴァラップして分析した記事です。
レヴェル1:
自動車運転を初めて習う時は、誰しもギア、アクセル、ブレーキなどの操作をいちいち頭で考えてから行動に移す。運転しながらラジオを聞いたり、ガムを噛むなどはとても無理。否応なく自己の無能力が意識されるレヴェル。
レヴェル2:
意識的能力のレヴェル。意識して自分を技術面で指導し、レヴェル1より少ないとは云え、意識して基礎と機械的な動きに気を配らなくてはならない。この段階で、基礎の習得、マスル・メモリが統括する機械的な動きには自信が出て来る。ゴルファーで云えば90台で廻る状態。次第にスウィングのあれこれについて、あまり考えなくてよくなる。
レヴェル3:
無意識の能力のレヴェル。意識的に自分を指導することは最小あるいはゼロになり、マスル・メモリが前面で活躍。
自動車運転で云えば、運転しながらラジオを聞き、話し、食べ、飲み、ガムを噛み、さらに何かに心を奪われていてもちゃんと運転出来る状態。ゴルファーとしては、Tom Watson(トム・ワトソン)の域には及ばないが、ロー・ハンデかスクラッチまで進歩している。
レヴェル4:
無意識の名人のレヴェル。心理的自己指導はもう無い。ターゲットを見、ボールを見、スウィングを解き放つことは、意識した思考がほとんどゼロで実行される。マスル・メモリが完全に先頭に立ち、身体は「無意識」によって誘導される。
これはクラブ・プロからツァー・プロの領域。運が良ければこの'The Zone'と呼ばれる高いレヴェルを体験出来る。
ネガティヴな想念ではなく、「平静でリラックスしよう」、「フェアウェイの真ん中をターゲットに」など望みのアクション、ポジティヴなゴールが処方箋となる。この処方箋は、レストランで食事をオーダーする方法と同じ。ウェイトレスに我々が食べたくない物をズラズラ並べ立てるのではなく、食べたい物を端的にオーダーする。ゴルフでも同じ。我々が望むものをメンタルにオーダーすることにより、望んだ成果を達成し、ゴルフも進歩するようになる。
(April 22, 1999)
'Putt Like The Pros'
by Dave Pelz with Nick Mastroni (HarperPernnial, 1991, $13.50)
Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)はNASAに勤めていた経歴を活かし、“科学的パッティング”とかを売り物にしています。The Golf Channel(ゴルフ・チャネル)の講座でも巧みに宣伝を織り交ぜますが、この本も自作の練習用具の説明が一杯登場し、「金出してカタログ買ったんじゃねんだぞ!」という気にさせられます。
NASA勤務のゴルフ気違いが脱サラでショート・ゲームのインストラクターになったと思い込んでいたのですが、これは誤解でした。大学対抗トーナメントでJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)と対戦し、22戦全敗だったそうです。Dave Pelzは打倒Nicklausに燃え、「パットが決め手だ」というコーチの助言で懸命に練習。ところが、いい結果になるどころか、より悪くなったという最悪の事態で、またも敗退。プロになる夢を捨て、専攻した物理学の関連でNASAに行ったとか。
NASAに15年勤務した間、ジュニア・ゴルファー達のコーチとして、パッティングに関する様々な調査をしたり指導用パターを開発。指導用パターのビジネス展開を推進するためにNASAを辞めたのだそうです。すぐ順風満帆とはいかなったようですが、最終的に結果オーライでショート・ゲームの第一人者に…。雑誌で読んだのですが、本当にショート・ゲーム専門で、18ホール廻るのは年に数回だけらしいです。
(May 28, 1998)
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