1996年の新年の抱負は「禁煙」、1997年は「90を切る」で、両方とも何とか実現したのです。で、1998年は「80を切る」なのですが、考えてみれば無茶苦茶な話。何でも新年の抱負に設定すればいいというものではない。一寸一生懸命やれば誰だって90は切れる。しかし、80を切るというのは相当難しい。これが新年の抱負で実現出来る位なら、「宝くじを当てる」、「早漏を克服する」、「体重を50Kg減らす」、「不良息子を更正させる」…何だって不可能なことは無いということになってしまう。
しかし、です。私はアメリカ南部(ミシシッピ州)の片田舎のMeridian(メリディアン)という人口約四万の市に住んでいるのですが、日本から頂く手紙に「又30台でラウンドした」とか、「ホールインワンを出してしまい」とか、やたら刺激的な文句が目に付く昨今なのです。運動神経がいい人たちだから、まあこちらとは違うのですが、ほぼ同じ頃にゴルフを始めたという経緯を考えると大いに癪に触る。で、1998年の二月には集中してラウンドし、なんと13回もプレイしてしまいました。月イチ・ゴルファーにとっては一年分、あまりチャンスに恵まれない人にとっては十年分ぐらいを一ケ月でやってしまったことになる。これはこちらのゴルフ料金が安く、当人が失業状態で時間もあるから可能なのですけど。集中した結果どうだったかというと、これが全く成果無し。仕舞いには100をオーヴァーするという無残な結果になったため、続く三月はコースには出ないという自宅謹慎の刑を自らに課したのであった。
この自宅謹慎処分は有効だった(と思う)。何冊かのいい書物に出会ったし、いくつか参考になるヴィデオも観ることが出来た。ついでに、このホームページを開設するアイデアも得た。私は不定期で日本の友人達に向けニューズレターを発行しているのですが、ゴルファーの読者はそう多くないので書きたいことがあってもあまり分量を増やせない。ホームページなら関心のある人しか来ないのだから存分に書ける。「存分に書ける」と云っても公開するものである以上、読者の参考になることに的を絞りたい。当人がシングルじゃないので偉そうな講釈は止めるし(引用はします)、誰もプレイ出来ない当地のゴルフ場の詳細を描写するのも避けたい。観たり、読んだり、聞いたりして、しかも実践的に役に立っていることを書き留めておく“スクラップブック”といった感じにしたい。出来れば1998年中に“新年の抱負”を達成し(一度でいいのだ)、この日記公開から足を洗いたいと思うのだが…。
(April 01, 1998、改訂January 02, 2019)
●Ben Hogan(ベン・ホーガン)のグリップ私がゴルフを始めた頃は'Big 3 Golf'とか称してArnold Palmer(アーノルド・パーマー)、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)、 Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)が世界のトップでした。で、教科書として選んだのもJack Nicklausの本。Ben Horgan(ベン・ホーガン)の本もパラパラとめくったことはありましたが、既に過去の人であり、講釈も古臭いように感じられて敬遠していました。
1998年の三月、私が「Tommy Armour(トミィ・アーマー)が主張するトップで一呼吸置くスウィングは効果的」と云ったのに対し、友人のMikeが「Ben Horganはスウィングは連続したものであり、途中で停止するものではないと云っている」と反論して来た。Horganがどう云っているのか知った上で再反駁するつもりで、'Five Lessons: The Modern Fundamentals of Golf'『モダン・ゴルフ』 by Ben Horgan (Golf Digest, 1957, $21.00)を購入。
これが例によってグリップの講釈から始まるわけ。ヘボでもゴルフ歴だけは長いのだから、今さらグリップなんて…と思いますわねえ。ところが今回は違った。Horganの説明に即して握ると、指がクラブに糊付けされたようにフィットし、これなら飛ぶだろうという気にさせられちゃう。逸る気持ちを抑え、最後まで読み終りました。世界のプロ達もこれで育ち、世界のティーチング・プロ達もいまだに推薦しているHorganの本だという先入観もあるが、理に叶った説明と無駄の無い構成、画家Anthony Ravielli(アンソニィ・ラヴィエリ)による素晴らしいイラスト等が相まって、「これぞバイブル」と納得させられたのでした。Horganはスウィングのトップで一時停止することについては何も触れていないので、私としては当分Ben Horgan + Tommy Armourのミックス路線で行くことにしています。
Ben Horganの説明だと、「左の人指し指一本で十分クラブを保持出来る一点がある。そこが左手のグリップの基本」。これは半分パーム・グリップ、半分フィンガー・グリップです。これまでの私のグリップは指の付け根で握っていた。「右は中指と薬指二本だけでクラブを保持出来る一点がある。そこが右手のグリップの基本」。
「今さらグリップなんて…」と思っていたのですが、これが大間違い。このグリップで出直したら飛ぶわ、飛ぶわ。自分でも信じられない距離が出るようになりました(それ迄が飛ばな過ぎだったという説もある:-))。堂々とフライング・エルボーを取り入れたりもしたので、グリップ一つで飛ぶようになったとは云い切れませんが、私にとってはグリップの見直しが一番印象に残っています。
最近、グリップの重要性を図らずも自分で証明してしまいました。Horgan流にした二回目のラウンドがやたらフックしたのです。家に帰ってHorganの本を読み直したら原因が分りました。右手は掌と指の付け根でクラブを握ることになっているのですが、その日私が勘違いして「指の付け根」ではなく関節寄りでクラブを握っていたのでした。ホンの数ミリの違いなのに、ストレートが立派なフックに変化してしまったのです。
【参考】「(レッド)ベター・グリップ」(tips_57.html)
(April 17, 1998、改訂January 02, 2019)
'Faults and Fixes'
by David Leadbetter with John Huggan (HarperPerennial, 1993, $19.95)
80項目にわたって素人の起こしやすいミスとその対処方法を述べた本。イラストがユニークで(ときには漫画のようにユーモラス)、説明も簡明。通して読むというより、『家庭の医学』のように“救急医療”のために手元に置いておく本。
David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)はNick Price(ニック・プライス)、Greg Norman(グレッグ・ノーマン)などのスウィング・コーチで、1998年に日本にもゴルフ・スクールを開設したほど。商売が上手い点では"The world's No. 1 golf coach"であることは認めますが、そんなに凄い人なんですかねえ。The Golf Channelのレッスン番組の常連でもありますが、この人のレッスンで勉強になったものって皆無。あの品の無い喋りが邪魔です。そこへ行くと本の場合は喋り口調は関係無いので、淡々と読めます。
「ぎくしゃくしたスウィング〜リズムの欠如」という項では、「練習で'One-and-two'と大きな声で唱える。'One'はバックスウィング、'and'はトップでダウンスウィングに移行する合図、'two'はボールを経てフィニッシュまでの動き。歌をうたうように実行すると、いいリズムが身につく。目を閉じて練習し、クラブヘッドが加速する具合を感じ取るように。コースに出たら同じリズムを作り出して、いかに正確度が増したかを確認しなさい」。
(April 20, 1998、改訂January 02, 2019)
'Lessons from the Golf Greats'
by David Leadbetter (HarperCollins, 1995, $29.95)
25人のトッププロ(うち二人は女性)のスウィングの分解写真を素材にして、アマチュアが学べる点について解説した本。1995年発行なのでTiger Woods(タイガー・ウッズ)、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)、Karrie Webb(カリィ・ウェブ)などは登場しません。
構成は先ずプロの紹介が一頁、向かい側にトーナメントにおけるプロの写真(これがいずれも素晴らしい)。分解写真は見開き頁に二種類で、ターゲットラインの後ろからと正面から。各八齣ずつ。David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)が齣ごとに解説します。次の二頁を使って、各プロの特色を自分のものにする練習方法が説明されます。
「リコッキング」というのは耳慣れない言葉ですが、LeadbetterがFred Couples(フレッド・カプルズ)の項の説明で使っています。トップで普通にコックした後、ダウンスウィングで再度コックする動きを指しています(Fred Couplesのアニメーション参照)。分解写真をよく見ると、Fred Couplesだけでなくほとんどのプロがこれをやっています。トップで左腕とクラブが作る角度(普通は90゜)がダウンスウィングになるともっと鋭角になっているのです。だからあんな垂直に下りてくるような角度になるんですね。教科書通りの90゜だと絶対にああはなりません。
(April 20, 1998、改訂January 02, 2019)
'Little Red Book'
by Harvey Penick with Bud Shrake (Simon & Schuster, 1992, $20.00)
Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)はスウィング・コーチとしてTom Kite(トム・カイト、U.S.オープン優勝)、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー、マスターズ二回優勝)を初めとする男女スター・プレイヤーを数多く育てた人。“生徒”の間で、「あの赤いノート」と存在だけ知られていて誰も読んだことのなかった伝説的な秘密のメモ帖がこの原本で、刊行後ベストセラーの記録を更新し続けています。
Harvey Penickの名文句は数々ありますが、'Take Dead Aim'(デッドに狙え)はその一つ。「フェアウェイの真ん中」、「グリーンのどこか」というような漠然としたターゲットでなく、「芝の色が変わっているあそこ」、「ピンの影のあそこ」とかごく小さく絞ったターゲットを設定しろということです。これと「次の一打がいま自分の生涯の最大の出来事と思え」と合体すると、集中力が最高になるわけです。うまく行くと本当にそこへ飛びます。
もう一つ、'Stay Behind the Ball'(【インパクトまでは】頭をボールの後ろに留めよ)というのも有名。彼は「頭を動かしたらハエ叩きでハエを殺すことも出来ない」と云っています。頭の位置がターゲット方向にスライドするというのは、トンカチを打つ時に肱を下げるのと同じでスウィングの振幅が小さくなり、衝撃も軽くなってしまうということです。
なお、フォロースルーまで頭を残すスウィングはもう相当古いようで、Ben Crenshow、Tom Kiteともフィニッシュでの頭は左膝の上方に納まります。
【参照】「『デッドに狙え』の真意」(tips_168.html)
【おことわり】画像はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/iにリンクして表示させて頂いています。
(April 21, 1998、追補August 16, 2018、改訂January 02, 2019)
'Harvey Penick's Little Red Video'
(MasterGrip, Inc., 1993, 42 minutes, $14.95)
Harvey Penickの'Little Red Book'を下敷きにしたヴィデオ。少年の頃からの教え子Tom Kite(トム・カイト)、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)が実技を披露します。グリップからスウィングの基礎、練習方法、バンカー・ショット、アプローチ、パッティング…と、全て網羅されています。「基本を教えてくれるヴィデオを一本だけ」という場合はこれがいいかも知れません。
'The Slow-Motion Drill'(スローモーション・ドリル)というのが珍しく、しかも役に立ちます。バックスウィングからフォロースルーまで、スロー再生ヴィデオのような動きでやってみるのです。目はあくまでもボールがあると想定した位置。ダウンスウィングではボールまで1/3のところで止め、またトップに戻る。これを四回繰り返して、最後にフォロースルーまで行く(スローのままで)。ちゃんと理解出来ていない部分のアクションをチェック出来、可能な限りコックをほどかないスウィングを身体に覚え込ませるのにも最適です。やってみると、これは想像以上に大変な運動で、激しくないクセに大汗をかきます。また、クラブも要らないのでどこででも出来ます。「練習する暇が無い」という理屈は成立しなくなります。
パッティングの実演は当然“名人”と云われたBen Crenshaw。まるで腕に固定された義手のように、パターは最初から最後まで腕と一体化して直線を保っています。私が何度も繰り返し観るのはこのパットの部分です。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(April 21, 1998)
'The Case for the Shorter Backswing'
by Don Trahan ('Senior Golfer' 1998, No. 2)
筆者のDon Trahan(ドン・トラハン)は全米レッスン・プロ協会の理事だそうで、彼が生物力学専攻の大学院生の協力を得て、24人のアマ・ゴルファー(ハンデ平均17.4)を雇って研究した成果の発表。本来は'Senior Golfer'(シニアPGAツァーのオフィシャル・マガジン)じゃなくて、どこへ発表してもいいネタですが、“短いバック・スウィング”は身体の固いシニアには福音ですから、絶好の場所と云えましょう。
彼は、被験者達にクラブが地面と平行になる普通のトップ(270゜)とクラブが垂直になるトップ(180゜)の二つのスウィングで同じ数だけボールを打つことを要請し、その結果(距離と方向)をまとめました。要請通りならバック・スウィングは90゜短くなる筈ですが、実際に被験者達が短縮出来た巾は平均34゜だったそうです。
「34゜というと12%短いわけで、クラブヘッドのスピードも同じ割合で落ちると思うでしょう。大間違い。短いスウィングはスピードが平均1%以下落ちただけだった。勿論長いバック・スウィングはクラブヘッドのスピードが速くなるが、それはダウン・スウィングの初めだけであって、徐々に減速し、インパクトでは短いスウィングと同じスピードになってしまう。
重力がスウィングの重要な要素である。バック・スウィングで180゜まではクラブは“上がって”行くが、そこを越えると逆方向に“下がって”行ってしまう。ダウン・スウィングでこれを引っ張り上げるのは重力に逆らう動作になる」
これは理論的には正しいと思いますね。振り子の原理がスウィングの要(かなめ)だとすれば、もし振り子が180゜を越えたらコントロールは不可能です。
「パワーがバックスウィングの長さに比例するというのは“神話”である。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は近年スウィングを小さくしたにもかかわらず、依然ロンゲスト・ヒッターの一人ではないか」
(April 27, 1998)
'The 75 Percent Solution'
by Hale Irwin ('Senior Golfer' 1998, No. 2)
Hale Irwin(ヘイル・アーウィン)はTiger Woods(タイガー・ウッズ)より稼いだ1997年の賞金王です(専属契約金やCM出演料などの雑収入は賞金ではありません。念の為)。1998年のシニア・トーナメントのトップでもあります。彼がシニアに勧める打法とは…。
「ダウンスウィングはボールに60cmぐらい近づくまではごくゆっくりと。これが適切な体重移動を可能にし、クラブヘッドも身体の動きを追いかける(意図しなくても速くなる)。インパクトのスピードはコントロール出来ないが、振り抜くイメージを持つこと。“ボールに当てる”意識だとヘッドが減速してしまい、距離も落ちる」
「特にアイアンで有効だが、75%のスウィング(スリー・クォーター・スウィング)でコントロール度を増す。クラブを数インチ短く持つのもいい。常に緊急用のエネルギーを温存しておく意識。この75%打法はフル・スウィングと距離においてひけを取らず、ミスしたフル・スウィングより遠く、ずっと真っ直ぐ飛ぶ筈だ」
(April 27, 1998)
Ben Crenshaw's 'The Art of Putting'
(HPG Home Video, Inc., 1986, 45 minutes, $19.99)
'Little Red Video'でのパッティング・スタイルが良かったので、更にグリーンの読み方でも聞けるかと思ったのですが、そういう高度な話は出て来ません。ヴィデオでも説明し切れないのかも知れません。
Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)の伸ばした腕とパターの一体化したパッティングがよく解ります。手首のスナップでパットするのに較べてシンプルそのもの。スムーズで無駄の無い、危険も少ない動きに見えます。バックスウィングは長めですが、ボールを打った後のフォロースルーは短めなので、結構ピシッと打ってるんでしょうね。
彼のパッティング・スタイルが教科書と違うのは、ボールは目の下ではなくやや身体から離れている(スウィングにフリーさを与えるため)、またボールが左足寄りになるようにアドレス(転がりを出すため)…の二点。
'Little Red Video'があればこのヴィデオは不要ですが、一つおまけが入っています。Bobby Jones(ボビー・ジョーンズ)がパッティング指導をする短編映画が採録されているのです。青木 功などがやる、ボールの前にパターを置き、ついでボールの後ろにセット…という二段階アドレスはBobby Jonesもやっていたのですね(Ben Horganもやってましたが)。このパートが一番見ものでした。しかし、あれはどういう効果があるのでしょう?ボールに触っちゃって、一打足すことになるのが恐い。
(April 29, 1998)
'Getting Up and Down'
by Tom Watson with Nick Seitz (Random House, 1983, $14.00)
'Up and Down'とは「ボールをグリーンに上げてカップに落とす」ということで、要するに「寄せワン」を目指すテクニックの紹介です。Tom Watson(トム・ワトスン)は教科書的な方ではなく、一寸クセがあります。
「足でグリーンを読む」という記事が印象的でした。グリーンの傾斜を足で感じるということと、ボールの背後から、ホールの側から、そして脇からと足を使ってラインを読むことを指しています。私はグリーンの固さ、柔らかさも足で感じられると思います。
先日、この言葉の重みを実感しました。慣れ親しんだグリーンなのでボール側からだけラインを読んでパットしたところ、読みとは逆の方へ切れたのです。唖然としてしまいました。“慣れ親しんだグリーン”ではありますが、実はカップは珍しい位置に切ってあり、カップの背後から見ると私の観察が誤りであることは一目瞭然でした。足を使わない怠け者には厳密にペナルティが課されるわけです。
【参考】「盲目ゴルファーは足でラインを読む」(tips_193.html)
(April 29, 1998、追補August 16, 2018)
'Tension Free Golf'
by Dean Reinmuth (Triumph Books, Chicago, 1995, $19.95)
Dean Reinmuth(ディーン・ラインマス)は'The Golf Channel'(ゴルフ・チャネル)のレギュラー講師の一人。初心者向けのとても解り易い説明をします。Bob Toski(ボブ・トスキ)の弟子として二人で何度も来日したこともあって、すごい日本贔屓です。
『テンション抜きのゴルフ』という書名と彼のTVのイメージで、やさしい内容を期待したのですが、一寸気負ったのか結構小難しく書かれた本です。次の部分はTV講座にも登場した彼のお得意の理論。
「固くてぎくしゃくしたスウィングを、リラックスしたスムーズなスウィングに置き換えるには、クラブヘッドの動きを感じ取ることが大切。
1)先ず、人指し指と親指だけで5番アイアンの末端を軽くつまむ。振り子のように揺らし、重力が作用するままに任せながらヘッドの動きのリズムを感じ取る。
2)右手だけでクラブを振る。クラブが自ら落下するのに任せる。前のステップのリズムを模倣するように努める。手とクラブヘッドが左肩の高さまで達するように振る。左手だけで同様のことをする。
3)両手でクラブを振る。重力が主たる役割で、あなたは補佐するだけ」
重力に仕事をさせ人間が手伝うというのは、最大のパワーにつながりそうです。「トップでクラブヘッドが下り始めるのを待つ」というのがいいのであれば、やはり“トップの間(ま)”があるべきだという気がします。オーヴァー・スウィング(トップでクラブが水平以下に垂れ下がる)はダウン・スウィングの初めが重力に逆らうことになるので、パワーを失う原因になると思われます。(John Dalyはどうなのだという疑問はあるが:-))
(June 03, 1998)
'The Golf Channel'(ゴルフ・チャネル)の講座でインストラクターDean Reinmuth(ディーン・ラインマス)が教えてくれたtip。
バンカーでは足元を確立するため足をもぞもぞさせて砂にめり込ませます。いつも同じようにやっていいかというと、これが大違い。つま先上りのライの場合は踵よりつま先を多くめり込ませないと、そっくり返るようなバランスの悪い状態になる。云われてみればその通りで、いつも無造作にやってちゃいけないのですね。
(June 03, 1998)
'Scrambling Golf: How to Get Out of Trouble and Into the Cup'
by George Peper (Prentice-Hall, Inc., 1977)
George Peper(ジョージ・ペパー)は攻撃的なパッティングを推奨します。
「ティー・ショットや第二打に失敗してもリカヴァリーが可能。同伴者と同じ打数でグリーンに到達し得る。しかし、一旦グリーンに上がったら、ミスは掛け値無しに余分な一打を意味し、リカヴァリーは望めない。
あなたが選択すべき途はホールに向かって攻撃することである。しっかり打たれたボールをホールのド真ん中へ入れる。よく、最後の一転がりがホールに届くように打てと云われるが、これでは不足である。あと二、三回転分の強さが必要だ。ボールがホールを覗き込むようにして停止するのを回避するには、ただホールに“落ちる”のでなく、“転げ込む”ようなパッティングでなくてはならない。攻撃的パッティングのメリット、以下の通り。
1. 大胆さはしっかりしたストロークにつながる。
2. しっかりしたストロークは自信につながる。絶えずショートすると不安が増殖し、自分のストロークが信頼出来なくなる。
3. 大胆に打つと切れ巾(ブレイク)が少なくなる。
4. 大胆に、真っ直ぐ打つことは、あまり切れない2〜3フィート(60センチ〜1メートル)のパットのいい練習になる。
5. これは本来言及すべきことでないが、カップをオーヴァーした戻りのセカンド・パットは比較的容易である。
6. ショートした場合のミスの原因は推測し難いが、ホールの距離まで到達したものは何故ミスしたか診断し易くなり、治療も可能になる」
(June 14, 1998、改訂January 02, 2019)
PGAツアー初のMr.59であるAl Geiberger(アル・ガイバーガー)のパッティングtip。
'Reverse the Pressure'
by Al Geiberger with Nick Mastroni ('Senior Golfer,' June 1997)
「誰でも右手だけでまあまあのパットが出来る。左手だけでも同じ。しかし、両手でパットすると両手が互いに政権抗争を始めて(大抵は右手がでしゃばる)、調和のとれたストロークにならない」
で、Al Geiberger(アル・ガイバーガー)の“新発見”による新理論の登場。両手の指全体を曲げ、双方を組み合わせて軽いテンションで引っ張りっこします(写真参照)。両方の力が拮抗していなくてはなりません。そのままパットのストロークを模して、両手を左右に振ります。両手は独立した動きを封じられているので、左右の動きは肩と腕主体によるものです。
上の拮抗した両手の状態をパットの際に作り出します。Al Geibergerは、左手で軽く引っ張り、右手でそれに対抗するというプロセスで実行しているそうです。そのままパットに移行すれば、肩と両手、両腕は一体となった理想的な動きになるわけです。
Al Geibergerの注意としては、「両手が対称になるようにグリップすること、両手と両腕、肩で作られる三角形を崩さないこと」だそうです。
(June 15, 1998)
倹約打法でHale Irwin(ヘイル・アーウィン)が、“トップの間(ま)”賛否両論でTom Watson(トム・ワトスン)が、それぞれ「ダウン・スウィングはのろのろと始めよ」と述べていますが、年代的に原典だと思われるBobby Jones(ボビー・ジョーンズ)の記事を見つけました。
'Secrets of the Master'
by Bobby Jones edited by Sidney L. Matthew (Sleeping Bear Press, 1996, $22.00)
「“ゆっくりしたバック・スウィング”("slow back")というのはよく聞かれる言葉だが、それだけでは不十分。バック・スウィングで衝動を抑えられる人は沢山いるが、そういう人々もトップに達するやいなや制御不能の興奮状態でボールに襲いかかる。ダウン・スウィングはのろのろと始めなくてはならない。それが、スウィングのバランスとタイミングを損なわずに徐々にスピードを増す秘訣である」
ここでBobby Jonesは"slow"(ゆっくり)ではなく"Leisurely"(のろのろした、急がない、気の長い)が相応しいと、わざわざ言葉を選んでいます。「何故なら、苦しいまでにゆっくりしたスウィングになるだろうから」だそうです。「覚えておきなさい。トップからボールまでの間には、スピードを増すに十分の距離と時間があるということを」
(June 18, 1998)
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