Don Trahan(ドン・トラハン)の短いバック・スウィングの勧めやHale Irwin(ヘイル・アーウィン)の賞金王の倹約打法などを紹介していた当人としては、本当はまだそれらを継続・実践しているべきだったのですが、いつの間にか「距離が欲しい」という欲から「120%打法」になっていました。しかし、矢野さんのコンパクト・スウィング実践篇を読ませて頂いて、更正の道(!)を歩む決意をいたしました。
Liselotte Neumann(リゼロッテ・ノイマン)のトップに、私は最近の課題であるコックを付け加えました。確かにショットが安定し、大振りしていた時より飛ぶことも珍しくありません。矢野さんのノイマン評は、「小さな親切、大きなお世話」にならって云えば「小さなバック、大きなフォロー」だと思います。これはスウィングの際の呪文として使えます。
ここ数日「コンパクト・スウィング」を実践していて、おかげで大・中のショットは安定したのですが、反面寄せワンが減り3パットが多発し、スコアがまとまりませんでした。ショットがいいので、グリーンとその周辺でダラけた結果でしょう。
今日、パットに関して悟りを開きました。勾配を見て曲がりを計算し、目標のスポットを設定し、アドレスしたらもう何も考えないのです。「上りだから強く」とか、「弱めに」とか、「しっかり打つ」とか、こういうことは一切考えない。多くのスポーツ心理学者が云うように、「身体は目から入った情報をもとに最適のストロークを実行出来る。余計な考えが、その最適のストロークを妨害する」のです。
何も考えないというのも、実はそう簡単ではありません。「無」、「空」を実現するわけで、これは禅の世界です。Zen and Art of ...という書名の本が一杯ありますが、それらは「秘伝」、「秘法」とでもいうような意味で使われています。'Zen and Art of Putting'という書名は既に見かけたような気もしますが、いずれにしても今日の発見は文字通り'Zen and Art of Putting'というタイトルがふさわしい気がします。
(September 24, 1998)
'Getting Set for Golf'
by Carl Lohren with Al Barkow (Viking Penguin, 1995, $18.95)
「『推進力=モーション+何も考えない』である。アドレスに入ってから、操縦士と副操縦士の着陸準備のように細々と項目をチェックするのは、脳に過負荷状態をもたらし、身体が凍結し、自然の勢いを失い、活動性を失う。分析という行為が麻痺をもたらしてしまう。
我々はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がショットに際し(特にパット)、クラブを引き抜くまでに相当時間をかけることを知っている。彼が何をやっているかというと、アクションを起こす前に全ての想念を捨て去っているのである。(What he is doing is draining his mind of all thought before beginning the action.)あなたがしなければならないのは、これである」
'Dave Stockton's Putt to Win'
by Dave Stockton with Al Barkow (Simon & Schuster, Inc., 1996, $22.00)
「誰でも知っているように、Jack Nicklausはパットする前に永遠に近いほど長い間立っている。彼のパッティングは偉大である。にもかかわらず、私はゴルファーが彼の真似をしない方がいいと考える。Jack Nicklausはストローク開始前に、全ての想念を捨て去るのである。(Jack is draining his mind of all thought before he begins his stroke.)それはそれで結構。あなたの場合、ラインについてだけ集中し、ホールインするボールのイメージが見えたなら、もう既にストロークに影響する想念は捨て去られているわけだ。Jack Nicklausのように長く立っていれば、考えなくてもいいことをワンサと考える時間が出来てしまう。Jackの真似はしなさんな。練習で作り上げたリズムと手順で通しなさい」
(November 25, 1998)
ある男が打ちっぱなしでがっくりしていた。打てども、打てどもトップばかり。ボールは20フィートほど転がる道中で、みみずを殺すのが精一杯だった。ついに頭へ来た男は、近くにいたレッスン・プロにこう云った、
「次の一打がちゃんと打てなかったら、おれは池に飛び込んで溺死するつもりだ!」
プロが彼を見やって云った、「そんなこと出来ないと思うよ」
「どうして?」男が尋ねた。プロが云った、
「そんな長い間、あんたがヘッドアップしないでいられるわけがない」
FTV Homepage で見つけたゴルフ・ジョークの一つです。私の頁では紹介しにくい艶笑ジョークが一杯あります。
(September 30, 1998)
'How Faldo Got His Eyes on Track'
by Dr. Craig Farnsworth with Scott Smith ('Golf Digest' 1996, No. 7)
「ミディアム・サイズの紙コップを床に置き、約1m離れたところに立つ。片方の目を片手で覆い、もう一方の手でコインをコップに投げ入れる。目を変えて、繰り返す。正確度が増したら、距離を延ばす。ショートしたりオーヴァーしたりするのは、実際のパッティング・グリーンでの傾向を反映する」
易しそうですが、私の場合10個もコインを使って、入るのはせいぜい4個ぐらいです。なお、紙コップだけだと触っただけでも倒れてしまうので、マグ・カップを土台にし、そこへ紙コップを差しています。
(October 03, 1998)
'Peblle Beach settles the score'
by Michael Bamberger ('Golf Digest,' February 1996)
AT & T Pebble Beach National Pro-Amというのがあります。1997年だとTiger Woods(タイガー・ウッズ)に追い上げられながらも、Mark O'Meara(マーク・オメラ)が逃げ切ったトーナメントとして有名。今年はエル・ニーニョの影響で最終ラウンドが六ヶ月遅れで数週間前に行なわれ、Phil Mickelson(フィル・ミッケルソン)が優勝しました。このトーナメントは、プロと$3,500の参加費用を払ったアマチュアが組み合わさってプレイしますが、プロ・アマのチーム優勝と、プロだけの順位による優勝と二通りの結果になります。
1995年のこと。アメリカのゴルフ界の元締めUSGA (U.S. Golf Association)のハンディキャップ係が、ゴルフ雑誌をめくっていて不思議なトーナメント結果に気づきました。あるプロは、71、75、79というスコアでプロのみのジャンルでは54ホール目でカットという腑甲斐ない成績だったのに、プロ・アマのチームとしては(ベター・ボール方式で)63、65、64で、楽々カットラインを克服、最終的には59をマークして堂々優勝しているのです。アマチュアがプロに近い働きをしなければ、こういう結果にはなりません。あるいは、ハンディキャップの間違いか…。
AT & Tのトーナメント・オフィスに照会して、このアマチュアMasashi Yamada(日本人!)の登録Handicap Indexが15だったことが判明。USGAは大々的に調査を開始し、Mr. Yamadaは千葉にあるゴルフ場の持ち主で、15というハンデを認証したクラブ・プロはMr. Yamadaの従業員にあたること、他のゴルフ場ではシングル・ハンデであり、シニア・アマとしてはトップ・クラスで活躍していること等が明らかになります。Mr. Yamadaは優勝を取り消され、このトーナメントからは永久追放処分となります。
実はMr. Yamadaのことなんかどうでもいいのです。USGAがMr. Yamadaに疑問を抱いた根拠が重要なのです。「プロが79叩いた際にベター・ボールが64となるには、ハンデ15のアマが79で廻った計算になる。1,000ラウンドに一回といえど、ハンデ15のプレイヤーが79で廻ることはありそうにないことだ。"A 15-handicapper is not likely to shoot 79 even once in 1,000 rounds."」…と、こう云ってるんです。
私のHandicap Indexは16.8ですから、なおさら79で廻ることは“ありそうにない”ことになります。そうだったんですか。知らなかったなあ。当サイトの「80を切る決意をしたダッファーの無鉄砲な日記」という説明は「80を切るというありそうにないことの実現を目指すアンリアリスティックなダッファーの滑稽な日記」に変更しなければならないようです。
(October 10, 1998)
'Confession of a HookerMy Lifelong Love Affair with Golf'
by Bob Hope (Doubleday, 1985)
「Tommy Bolt(トミー・ボルト)は活火山のような気性の持ち主として知られている。彼はマッチ棒のようにクラブを折ったものである(コース外では優しい人間なのだが)。あるプロ・アマ・トーナメント、135ヤードの18番ホールで彼はキャディーにどのクラブを使うべきか聞いた。キャディーの答えは2番アイアンであった。Boltは信じられないという顔で、「135ヤードのショットに2番アイアンだってえ?」キャディーが答えた、「残っているクラブはそれだけなんですよ、Boltさん」。
上のはBob Hope(ボブ・ホープ)のことですからまあジョークなんでしょうが、以下は友人のMike(マイク)の体験談。
「若い頃友達とニュー・オーリンズ近辺までプロのトーナメントを見に出掛けて行った。Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)、Dow Finsterwald(ダウ・フィンスターワルド)とTommy Boltが一緒に廻っていた。あるティー・グラウンドでスコア・カードにサインして貰おうとしたら、Tommy Boltが『駄目だ、駄目だ』と邪険に振り払った。彼は'Thunder Bolt'(雷親父)と綽名される、怒りっぽい性格だった。彼等がティーショットを打ち終った後、Arnold PalmerとDow Finsterwaldがやって来てサインしてくれた。Tommy Boltもやって来たが、私の方から「あんたのはいらない」と断った。Tommy Boltは呆気にとられて何が何やら分らないという風だった。Arnold Palmerは私にウィンクして、『わははは!』と笑いながら去って行った。それ以来、私はPalmerの大ファンになった」
(November 30, 1998)
'The Rookie'
Interview to Se Ri Pak ('Golf Digest Woman,' December 1998)
Se Ri Pak(朴セリ)は'Golf Digest Woman'のWoman of the Year '98に選ばれました。Se Riはインタヴューの中で、かなり赤裸々に自分を語っています。父親の特訓がかなり過酷なものだったこと、優勝するのは父親と母親のためであること、現在の私生活の不満、しかしNo. 1になるまでは止めないという決意など。以下は彼女が語るゴルフの“秘訣”。
「身体が強靭であることは重要だが、ゴルフは強靭さを競うゲームではない。プロ・アマの日に私より強靭な男性達とプレイするが、私のドライヴの方が彼等より飛ぶ。理由は私がいいテンポでスウィングするから。ゴルフ・スウィングの秘訣はテンポとリズム。
LPGA最小スコア記録の61で廻った時に何を考えていたかというと、完璧なテンポ、完璧なリズム。スウィングが完璧でもテンポが良くなければ、何の足しにもならない。プレイする時は多くのことは考えない。目の前のショットだけに専念して("Just one shot at a time")、それ以上考えない。いったん自分のテンポが蘇ったら、どのショットもピンに近寄って行く」
次はPGA選手権優勝者Steve Elkington(スティーヴ・エルキントン)の言葉。
'Five Fundamentals'
by Steve Elkington with Curt Sampson (Ballantine Books, 1998, $27.00)
「もしあなたのゴルフに色んな問題点があったとしても、悪いスウィングにリズムを加えれば錆の浮いた自動車にタッチアップ・ペイントを塗る程度には役に立つ。
私のリズムとテンポはリラックスした身体と柔軟なグリップによって作り出されるように考えられているが、セットアップやヒットする時は両腕と上半身の筋肉を引き締めている。私のスウィングがスムーズでシンプルなように見えたとしても、実際は複雑なものであり、当然ながらそんなものは持って生まれたものではない。
テンポは生来の個人的なもので、これを変えようとしても無駄だ。リズムは違う。これはビートであり、ビートはタイミングをとる重要な要素だ。これは習得が可能だ。
リズミックなスウィングに不可欠なのは重いクラブである。ゴルフの秘訣の一つは、いまクラブヘッドがどこにあるかを感じることである。これは軽いクラブでは困難。金槌と羽根のどっちでスウィングしたいか、考えてみてほしい。私の5番アイアンは約440gだが、最近の典型的5番アイアンだと私のより28〜57gほど軽い。PGAツァーの中でも私のクラブは最も重い方だ。そして私のリズムとテンポはベストと云われている。この二つに関連があるのは明白である」
(December 05, 1998)
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