'The Inside Path to Better Golf'
by Peter Kostis with Larry Dennis (NYT Special Services, Inc., 1982, $16.00)
筆者のPeter Kostis(ピーター・コスティス)は、元PGAツァー・プロで、現在はゴルフ・スクール共同経営者兼CBS-TVゴルフ中継のリポーター。
「あなたのゴルフ生活においては、ボールと同じ地面に両足を置き、ボールを先に打ち、次いで地面を打つというショットがほとんどだった。それが、突然、ボールの数インチ後ろを打てと云われる。これはゴルフに入門して以来避けなければならないことの一つであった。また、インストラクターたちはクラブフェースを右に向け、身体を左に向け、左にスウィングせよなどと云う。
世界一シンプルな解決法をお教えしよう。ボールが芝の上にある場合、あなたの両足の底辺はボールの底辺と同じ水平線上に位置している(図A)。これだとボールを先に、地面を後に打てる。バンカーに入った場合、“スウィングの中心を下げる”のだ。ボールの下を打たねばならないのだから、両足をボールの底辺より下に位置させねばならない。これが“スウィングの中心を下げる”という意味だ(図B)。
クラブを短く持ってはならない。“スウィングの中心を下げ”たことによってスウィング弧が下降し、自然に伸ばされた両腕によって必然的にボールの後ろの砂を打つことが出来る。
ボールの何インチ後ろを打たねばならないとかいうのは神話である。思ったより大雑把でいいのだ。ボールの後ろの2〜6インチ(5〜15 cm)のどこかしらで、十分満足出来る結果が得られる。
クラブフェースはボールをヒットしないのだから、フェースの向きは方向に関係しない。方向はスウィングの軌道によって決定する。【編者註:単純にターゲットに向かって振ればよい】
ボールはクラブが砂に進入した角度と同じ角度で出て行く。Vの字のように、鋭角的な進入角度であれば、ボールは高く短く飛ぶ。Uの字のように浅い進入角度であれば、ボールは低く出て長く転がる」
【参考】
・「メンタルなバンカー攻略法」(Tips_157.html)
・「バンカー・ショットの秘伝」(tips_116.html)
・「バンカーで二番目に重要なポイント」(Tips_157.html)
・「バンカー脱出の4ステップ」(Tips_157.html)
・「グリーンサイド・バンカー・ショットの秘訣」(Tips_157.html)
(November 04, 2003、増補June 02, 2015)
面白いデータを入手しました。私のゴル友J.B.(ジェイ・ビー)が、十数年前にフロリダのあるゴルフ・スクールに入学した時のテキストです。以下のデータはCompusportという会社が調べた結果です。
'Instruction Notebook'
by Grand Cypress Academy of Golf (1989)
「パッティング・ストロークには二つの重要な要素がある。
先ず、一定の時間である(一定のテンポではない)。パット名人たちはストローク時間を一定にすることが最も効果的なパット法であると知っていた。
理想的なパッティング・ストロークは、その距離の如何にかかわらず、ストロークの初めからボールとの接触するまでの時間は同じである。全ての距離で同一時間ということは、長いパットのテンポは短いパットより速いということだ。
タイミングというものは個々のプレイヤーによって異なる。しかし、重要なことは個々のプレイヤーにとっても、パットの長さがどうであれ所要時間は同一であり、差があったとしてもほんの数秒でしかないという事実である。
・Greg Norman(グレッグ・ノーマン)の場合
距離 Backstroke →Forward stroke | Subtotal | Follow through 1.2m .62 sec .30 sec .92 sec .70 sec 2.4m .63 sec .29 sec .92 sec .75 sec 4.9m .63 sec .30 sec .93 sec .74 sec 9.8m .63 sec .30 sec .93 sec .73 sec ----------------------------------------------------------------------------------- Average .63 sec .30 sec .93 sec .73 sec
・Tom Kite(トム・カイト)の場合
距離 Backstroke →Forward stroke | Subtotal | Follow through 1.2m .62 sec .29 sec .91 sec .53 sec 2.4m .62 sec .28 sec .90 sec .52 sec 4.9m .65 sec .27 sec .92 sec .49 sec 9.8m .62 sec .29 sec .91 sec .49 sec ------------------------------------------------------------------------------------ Average .63 sec .30 sec .91 sec .51 sec
PGAツァー・プロ十数人について調べた結果も、(個々のタイミングの違いはあるが)ボールと接触するまでの所要時間は一定している。彼らの平均バックストロークは .67 sec、平均フォワードストロークは .27 secである。フォワードストロークのテンポはバックストロークの二倍速い。それはボールとの接触までの加速の度合いを意味している。
もう一つの重要な要素は、バックストロークとフォロースルーの関係である。上と同一のPGAツァー・プロについて彼らのバックストロークとフォロースルーの距離(編者註:時間ではない)を調べた結果、バックストロークのほぼ二倍のフォロースルーを行っていることが分った。
『バックストロークとフォロースルーの長さを同じにせよ』という古い言い伝えは間違いである。パット名人たちはバックストロークの二倍のフォロースルーを実行している。急速なフォワードストロークの時間と合わせ、名人たちはボールとの接触前後に十分な加速を行っている。
パッティング・ストロークには三つの要素が絡む。距離、テンポ、所要時間である。最初の二つは常に変わるが、所要時間は同一である。所要時間が同じである以上、テンポが変わらざるを得ない。4.6 mのパットのテンポは1 mのパットのテンポよりずっと速くストロークされなければならない」
(November 07, 2003、改訂May 31, 2015)
'How to Play Consistent Golf'
by Tom Kite and Larry Dennis (Pocket Books, 1990, $14.00)
現チャンピンズ・ツァー・プロのTom Kite(トム・カイト)は語る:
「270ヤードのティー・ショットをして、数ホール後、全く同じ条件の下で同じ努力をしたのに250ヤードしか飛ばないことがある。両者の違いは、一方をソリッドに打ったが他方はそうでなかったためだ。
パットでも同じことだ。20ヤードもの差ではないが、2.5cm〜5cm(長いパットでは1m〜2m)の差にはなり得る。いくらラインを正しく読み、正しい軌道でストロークしたとしても、ソリッドにボールを捉えない限り必要な距離を転がらず、ラインからも外れてしまう。
唯一スウィート・スポットでパットすることが、考えた通りの距離とラインでボールをホールに送り届けられる方法である」
【参考】
・「スウィート・スポットでパットする」(tips_20.html)
・「絨毯上のパッティング」(tips_60.html)
(November 24, 2003)
最近の私の傾向として、「ピン傍で止めるより、入れてしまおう!」と大胆にチップインを目指す余り、寄せがピンをオーヴァーする難点があります。OKの範囲ならまだしも、長い問題の距離が残ると厄介。しかし、先日、何度もそのような長いパットを沈めることが出来ました。
あしたのためのメモ:撫でるのでもなく、弾(はじ)くのでもなく、打つのでもないが、パットはしっかりストロークすべきである。“しっかり”というと曖昧だが、要するにパターでボールをしっかり捉える。コツンと接触してもそこでパターを止めず、そのままボール押すようにカップへと長く送り出す。一見ショートしたように見えるボールが、ごろごろごろごろ転がってカップインする。
長いフォローを実現する方法はただ一つ:短いバックストローク。人間の脳(潜在意識)は長いバックストロークには「あ、いけね。これだとオーヴァーする!」と筋肉にパターの急停止を命じ、短いバックストロークには「これじゃ足りない!」と長いフォローを命じます。
上り坂では当然上のようにしますが、下り坂でも同じ。この場合、バックストロークをより小さくするだけで、やはりコツンとストロークし長いフォローを出します。
よく考えれば、この長いフォローも「ライフル効果」ですね。ライフル銃は長い銃身の中の螺旋で弾丸を回転させてブレをなくし、正確な狙撃を可能にします。長いフォローはその銃身に当たるものです。コツンと打ってヘッドを止めるのはピストルの撃ち方です。近いターゲットにはよくても、遠めの狙撃には向きません。
これまで、こういうよく転がるパットはプロがプレイするいいコースだけのものだと思っていました。そうではなかった。しっかり、きちんとストロークされたボールは意志を持ったように長く真っ直ぐカップ目指して転がるのでした。
(November 24, 2003)
'Hit your Best Drives ever'
by Todd Anderson with Lorin Anderson ('Golf Magazine,' September 2003)
「アマチュア・ゴルファーの大半は、アドレスにかける時間の80%をボールを見つめることに費やし、残り20%でターゲットを見る。プロは全く逆である。
ボールを見据える時間が長いと、ターゲットを目指す感覚が薄れ、目標が歪んでしまう。それに加えて、じっと数秒立ち尽くすことはあなたの筋肉を強張らせ、強張った筋肉はリラックスした状態に較べてゆっくりとしか動かない。
テンションはまたクラブをリリース(解き放つ)するのを妨げる。これが、びくびくしているゴルファーがプッシュする理由である。
ゆったりし続けるには、腕を上下に揺すったり、ワッグルしたり、両足をぴくぴくさせることだ。ターゲットを一瞥し、直ちにスウィング!」
(December 07, 2003)
'The Quiet Eye'
by Dr. Joan N. Vickers ('Golf Digest,' January 2004)
Dr. Joann N. Vickers(ジョアン・N・ヴィッカーズ博士)はカナダのカルガリー大学の視神経系心理学研究所において、同僚のリサーチャーたちと共にパットの上手いゴルファー、下手なゴルファーを集め、二つの超小型カメラを搭載した軽量ヘルメットを被って貰って、彼らがパットの際、どこを、どんな風に、どのように時間をかけて見るのかを調査しました。以下はフラットでストレートなラインの例(もし、ブレイクがある場合はターゲットはボールが曲がるポイントとなり、カップではなくなります)。
「パットの上手いゴルファーはボール後部(パターが接触する部分)を見つめる。ボールのてっぺんを見る人もいるが、ボール後部を見て成功する率が高い。
パットするには、脳は1000億のニューロン(神経細胞)を統御しなくてはならない。この神経系ネットワークは凝視することによって情報を得て、両手・両腕・身体によるストロークをコントロールする。
上手なゴルファーはカップの一部(例えば縁の芝の一本)をターゲットとして選び出す。カップ全体ではない。見る対象は2〜3ミリの範囲のターゲットである。厳しく鋭く焦点を合わせる。
上手な人は一回の凝視に2〜3秒費やす。下手な人は1〜2秒である。
下手なゴルファーはボールのあちこち、カップとその周囲のあちこちを忙しく見回す。焦点は一点に定まっていない。
上手なゴルファーは終始同じ場所(=ボール後部)を凝視する。バックスウィングの間、フォワード・スウィング、そしてボールを打って1/2秒経った後まで、ボールがあった場所を凝視し続ける。
上手なゴルファーがパットを成功させる時、1パットにつき約8秒をかけ(目の速い移動、瞬きなども含む)、平均10回の凝視をする。彼らが失敗する時は、約10秒の所要時間で、凝視回数が増える。
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は云う:『早くパットの結果を見たいという欲求は、私の頭を動かし、ボールとのいい加減な接触をもたらす』
【静かな凝視でパットする方法】
・カップのどこか一点を選び出す。
・その一点を2秒間みつめながら、ボールが転げ込む様子を視覚化する。
・カップから途切れることなくボール後部へとゆっくり目を戻す。
・ボール後部を凝視し、その点とターゲットを結ぶ線を視覚化する。
・ボール後部に目を据え、バックストローク、フォワードストローク、そしてボールが接触を終えるまで目を離さない。
以下のようなルーティーンを持つゴルファーへの警告:ホールを数秒見つめ、1/2秒かけてカップとボールを往復、これらを二回繰り返す。その後、ボール後部に焦点を合わせてストロークし、計2〜3秒を費やす。こういうこちこちに様式化されたルーティーンは、脳に最適化された情報を送るという要素が欠けている」
これを実行してみると、効果抜群であることが判ります。現在発売中の本誌には、図解を含め、さらに有益な情報が掲載されています。御一読をお薦めします。
結果を見たいが故に頭を動かすのは誰にもある欠点です。その瞬間フェースが開いたり、それを察知して急激にクローズにしたり…というミスを誘発します。私の友人で元シングルのMike(マイク)は、「パターが左爪先を通過するまで目を動かさない」というtipを教えてくれました。「カップインの音がするまで頭を残す」という有名なものよりは実行しやすいtipです。
【参考】「ボールの残像を見よ」(tips_171.html)
(December 10, 2003、追補July 31, 2016)
新しいアイアン・セットにもやっと馴染んで来ました。まだ、確固としたクラブ別飛距離が掴めていないのが難ですが、方向に関しては心配要りません。グラファイトだからと、スウィングまでほわんという感じで打つと失敗で、ビシッと打たなくてはちゃんと飛ばないことが判りました。
本日はAプレイヤーのBilly-Ray(ビリィ・レイ)他二人とのラウンド。Billy-Rayが3バーディ、私が2バーディと頑張ったものの、ボギーも3つでトーナメントはタイに終わりました。
この日、私は非常にいい転がりのパットをしたものの、ほとんどボール一つ右に切れたり蹴られたりで32パットでした。ラウンドが終わってからBilly-Rayが「あんたは頭を動かしてたよ」というのです。頭を動かしてたから右へ切れたんですね。しかし、分ってたんならラウンド中に云ってくれりゃいいものを。同じチームで、一蓮托生なんですから。
で、ラウンドが終わってからパットの練習に精出しました。打ってから三つ数え、それからカップを見るというのを習慣にしようと思っています。ハンフリー・ボガートの映画に『三つ数えろ』(原題:The Big Sleep、1946)というのがありました。ストロークの前に「三つ数えろ」と唱えるつもり。
(December 15, 2003)
最近、「三つ数えろ」という方法を考案しました。パットしてから三つ数え、それからカップを見ることを習慣にしたわけです。ハンフリー・ボガートの映画に『三つ数えろ』(原題:The Big Sleep、1946)というのがありましたが、それに倣ってストロークの前に「三つ数えろ」と念じます。
先日のラウンドでは、この「三つ数えろ」は素晴らしい威力を発揮しました。パット総数28でしたから、30を越えることが多かった最近としてはマシな方です。あまりアプローチ・ショットが寄らなかった日でしたので、このパット数は寄せの助けが少ない、純粋のパット数と云えます。
しかし、「三つ数えろ」には問題点がありました。バーディ・チャンスなどでテンションが高まった時に実行するのが難しい。特に、1.5〜2mなどという短いパットで難しい。何しろ、目の隅にカップが見えているので、三つ数えるなどという悠長なことをしていられない。すぐ結果を見たくなってしまう。このラウンドでは、2〜3mの易しいパットで二度ほど右に押し出してしまいました。そのせいで78という結果となり、1パットの重みを痛感した次第です。
で、次なる策を熟考。指命は、ストロークが完了した後までボールがあった場所に頭を向けていることです。「ストロークが完了した後」というのは、実は「三つ数える」ほど長くなくていい筈。打ち終わったあと一瞬でもいいわけです。“一瞬”の“瞬”は「まばたきをする」という意味です。それからヒントを得た《ボールを打った後、まばたきを一つする》というメソッドを新考案。「まばたき一つ」は時間的に短いですが、しかし練習ではちゃんとルックアップ・アクションを防止してくれました。
二つの方法を比較してみると、「三つ数えろ」の方がゆっくりとスムーズなストロークを導くようです。「どうせ三つも数えるんだから急いでも仕方がない」と、脳が観念するせいでしょうか?その方が好ましいとすれば、短いパットの時だけ「まばたき一つ」メソッドに切り替えるのがいいのかも知れません。
「まばたき一つ」は、考案したばかりでラウンドで実践したわけではありませんが、本番でもうまく行くことを願っています。
この項のタイトルは2004年3月日本公開予定の映画に由来しています。
(December 20, 2003、改訂May 31, 2015)
'Beware of the Pendulum'
by Dick Harmon ('Golf Magazine,' February 1998)
筆者のDick Harmon(ディック・ハーモン)は“ブッチ”の実弟の一人で、某ゴルフ・クラブ所属のインストラクター。
「振り子式パッティングはよろしい。しかし、ゴルファーの中にはやり過ぎの人が見受けられる。
短いパットではバックストロークも短いため、ストレートな後退、ストレートな前進が実施出来る。しかし、長い距離の場合にもラインに沿ってストレートにパターを動かすのは不自然である。パターの軌道は弧を描くのが自然であり、そうしていない人には深刻なトラブルが予測される。
先ず、長いストロークの際にストレートな後退、ストレートな前進を行おうとすると、グリップに緊張が生じる。ラインに完璧にスクウェアに保とうとすると、それは両手、両腕の作業になり、バックストロークでフェースをクローズにし、フォワード・ストロークでフェースをオープンにしてしまう。
第二の問題点は、ターゲットラインに沿って過度に長く保とうとすると、それはパターヘッドを上昇を招く。目的はボールを転がすことにあるのだから、パターヘッドは終始極めて低く保持されるべきである。
パターが下降気味でボールをとらえれば、ボールは一瞬芝にめり込み、ついでポンと弾んでから転がる。これは意図したラインに向かわない。
逆に、パターが上昇気味の時にボールと接触すれば、スウィート・スポットで打つことが出来ないため、常にショートする結果になる。
【練習法】
消しゴム付きのゴルフ用鉛筆を用意する。それを練習グリーンで斜めに寝るような角度で埋め込む。消しゴム部分がスウィートスポットに当たるようにセットし、それをボールに見立ててストロークする。
もし、あなたが上昇気味にボールをとらえれば、鉛筆は地面から弾けてしまう。過度に下降気味のストロークであれば、消しゴムとの完璧な接触が得られず鉛筆の上辺を打つことになる。パターが理想的に低く水平に動けば、鉛筆は深く芝に埋まって行く」
(December 20, 2003、改訂January 07, 2019)
Nick Faldo(ニック・ファルド)とそのコーチDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)によるバンカーtip。
'Length of follow-through controls distance'
by Nick Faldo and David Leadbetter ('Total Golf,' Time-Life Inc., 1998)
「バンカー・ショットの秘訣は加速にある。それを実現するのはフォロー・スルーである。バックスウィングではない。短い距離には短いフォロー、長い距離には長いフォローだ。(Nick Faldo)
バックスウィングの長さを一定にすることによって、スムーズなリズムを構築出来る。多くのアマチュアがやる短く粗っぽいバックスウィングは不正確そのものである。クラブヘッドは加速されるべきであり、加速の程度が距離をコントロールする。(David Leadbetter)」
【参考】「バンカー・ショットの距離調節・完全版」(2018年8月20日)
(December 22, 2003、改訂May 31, 2015、増補August 21, 2018)
パッティングに限っては定石というものが存在しないことになっています。ルールの範囲内で、個人の勝手な選択が許されます。パターの形状、シャフトの長さ、ボール位置、ストロークの方法…どれをとってもフル・スウィングのように「こうするのが一番」という定石は存在しません。要するに、ボールがカップに入ればどうやってもいいのです。で、プロ・アマを問わず、奇妙奇天烈なグリップ、妙ちきりんなポスチャー、変てこなストローク等が登場します。
私にとってはプッシュするパッティングが悩みの種でした。「三つ数えろ」を実行しても、なお右へ逸れるパットが続出します。
右へ出るというのは、フル・スウィングでは右手のパワーが強すぎる場合に起ります。パットでも同じことだと推理しました。右手を殺す方法を模索して行くうちに、いつしか私のパッティング・グリップは上の写真のようになりました。右手の指は最後の三本でパターを握っているだけで、人差し指は左手の(指ではなく)側面にオーヴァラップされています(写真・右)。なおかつ、右手の親指は宙に浮いていてシャフトにタッチしていません。非常に極端ですが、これが功を奏します。嫌でも左手・左腕で払うストロークになりますから、プッシュもプルも起る筈がなく距離感だけ心配すればいいことになります。
12月22日(月曜)のラウンド、最初のハーフでは12パットの37(ここはハーフPar 35なので2オーヴァー)でした。寄せが毎回決まったわけではなく、パットが良かったのです。一緒に廻った、腕はいいが口の悪い、ある自信家の男まで最大限の褒め言葉をくれたほどでした。その数日後のラウンドでも、この「右手を殺すパッティング・グリップ」は大成功でした。
勿論、このグリップではパワーを伝えられませんから10m以上のロング・パットには不向きです(使えないわけではありませんが、お勧めはしません)。その場合は右手親指をシャフトにそえます。しかし、5m前後からなら親指を離したグリップが最適で、ボールは真っ直ぐ狙った地点に向かいます。この異様なグリップは、当面私のトレード・マークになりそうです。
ついでですが、単にこのグリップを採用しただけで誰でも成功すると保証は出来ません。私は自家製ベリィ・パターでごく緩めのグリップ、振り子式ストロークで肩も回転させ、短いバックストローク・長いフォローなども併せて実践しています。
「“革命的パッティング・グリップ”というのはプッシュを防ぐためのグリップだったのか!なあんだ」とがっかりされたでしょうか?Ben Hogan(ベン・ホーガン)が1947年頃、「私はボールを正しく打つ秘密を発見した!」と公言し、1955年に'LIFE'誌に250万円(当時)で公開した“秘密”とは、彼がずっと悩んでいたフックを矯正する方法に過ぎませんでした。私のはプッシュを防ぐだけでなく方向性抜群のグリップですので、これは何方にも普通に役立つtipであると確信しています。
(January 05, 2004)
'The Physics of Golf'
by Theodore P. Jorgensen (Springer, 1994)
著者名にDr.ともPh.D.ともついていないのですが、著者はネブラスカ大学の元教授だそうです。25年にわたって研究したという、ゴルフの物理的・数学的分析は大変専門的で難解です。ここでは解りやすいパッティングについての一章をかいつまんで紹介します。
先ず著者はDave Pelz(デイヴ・ペルツ)が提唱した「17インチ(約43cm)オーヴァーするようにパットするメソッド」を支持します。カップに届くだけのストロークや赤子をあやすようにソーッと撫でるような打ち方だと、グリーンの僅かな傾斜や凸凹に負けてしまうという理由です。
著者は私たちのパッティングの正確さをテストしてみることを勧めます。絨毯の上に二個のボールを2フィート(約61cm)離して配置します。その一個を、もう一個めがけてストロークします。もし、パッティングが正確だったとしたら、打ったボールはそこで停止し、当てられたボールだけライン上を先に進みます。不正確なパッティングの場合、どちらのボールも左右にバラけてしまいます。
このテストは非常に難しい(目標がカップより小さいので当然ですが)。半分の距離の30cmぐらいなら何とかボールをぶつけることが出来ます。著者の云うように、当てられたボールが直進することは滅多にありません。いつものパッティングがいかにいい加減であるかという証明です。
次に、同じく絨毯の上でバック・ストロークの幅を変えて打ってみるテスト。最初は「こりゃ、あんまりだ」と思われるぐらいの大きな幅から始め、次第にバック・ストロークの幅を小さくして行きます。バック・ストロークが大きいとトラブルを生じ、小さくすればするほど正確さが増すことが分ります。こうなると、「バック・ストローク無しの方が最も正確じゃないか」という気になるでしょう。
しかし、ルールでは「ボールはクラブヘッドでちゃんと打たれるべきで、ボールを押したり、かき寄せたり、すくったりしてはならない」となっており、全くバック・ストローク無しというわけにはいきません。ただ、ルールブックにも「どれだけの幅のバック・ストロークをしなければならないか」という規定はないので、ボールの後数インチ(5〜6cm)にパターを構え、そこからボールを打てば“クラブヘッドでちゃんと打たれた”という事実が成立します。著者は、ショート・パットにおいては、このメソッドの方がバック・ストロークするより格段に正確なパットが出来ると断言しています。
やってみました。注意すべきは慣れない動作なので、まだ走行中のボールを二度打ちしてしまう危険があることです。それを防ぐには、やはりしっかり打つことになると思います。
(January 12, 2004)
大御所Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)によるショート・パットを成功させる秘訣。
'My 55 Ways to Lower Your Golf Score'
by Jack Nicklaus (Simon and Schuster, 1962)
「ショート・パットのミスは、ボールをしっかり打たないことが原因である。しっかり打たないと、ボールはカップの手前で止まったり、傾斜や凸凹の影響を受け、カップの外へ転がってしまう。ショート・パットをミスしやすい人は、次の三つのポイントをチェックすること。
1) パターを短く持ってはいけない。短く持つと、パターがいつもより軽く感じられて、乱れたストロークになりがちである。
2) しっかりストロークする。ボールを打った後も、パターはカップまでボールを追いかけるように。
3) ブレイクを見定めラインを決定したら、そのライン上に中間目標を設定し、そこを狙う」
(January 12, 2004、改訂May 31, 2015)
'Every Shot I Take'
by Davis Love III (Simon & Schuster, 1997, $24.00)
これはDavis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)の父親Davis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世)が遺したノートにDavis Love IIIが自分の経験を加えて出版した本。
「私の父は一つのボール・ポジションが全部のクラブに相応しいとは考えていなかった。彼は生徒にボール無しでスウィングさせ、ディヴォットを取るように指示した。そのディヴォット・ホール(削られた凹み)が始まる部分が、ボールを置くに相応しいところである」
(January 14, 2004)
'The Art and Science of Putting'
by Rik DeGunther (Masters Press, 1996, $14.95)
「モーツァルトの音楽を聴いた生徒は、その後の数学のテストで高得点したという実験結果があった。なぜか?リズムとパターンは数学の用語で説明出来る。音楽は数学の一つの形態なのだ。奇妙に聞こえるだろうが、これは本当だ。
音楽が人間の意識を快くさせるのは、そのリズムとパターンによるものだ。では、音楽を聴きながらパットすれば、上手にパット出来るだろうか?答えはイエスだ。
音楽なら何でもいいわけではない。ロックを聴けば攻撃的にボールをひっぱたくだろう。モーツァルトは平安と静穏を導き出す。練習の時にウォークマンでモーツァルトを聴いてみなさい。モーツァルトが好みでないのなら、スムーズに流れる他のものを選ぶ」
(January 19, 2004)
John Daly(ジョン・デイリィ)のトップはオーヴァー・スウィングの見本です。しかし、同時に彼がPGAツァー・ロング・ドライヴの長期チャンピオンであったことも否定出来ません。彼のあのトップはどのようにして作られたのか?また、彼がアマチュア・ゴルファーに薦めるJohn Daly流スウィングの作り方とは?
'Grip It and Rip It!'
by John Daly with John Andrisani (HarperCollins Publishers, 1992, $13.00)
「私の家は裕福ではなかったから、父が六歳の私にくれたクラブは子供用でもなく、女性用でもなく、成人男性用の長く、重いクラブだった。クラブを振るというより、クラブが私を振るという方が正しかった。しかし、とにかく私はそれでスウィングした。何しろ六歳だから、トップではクラブヘッドが左足近くの地面に接触することさえあった。
しかし、当時は気がつきもしなかったが、この重いクラブはバック・スウィングにおける大きなターンというものがどういうものか、私の身体に教え込んでくれた。それは私の上体後部、上半身、最大にストレッチする腰などの筋肉を作り上げた。現在の私は理想的スポーツマンの体型には見えないかも知れないが、背骨の柔軟さでは誰にも引けを取らない。
あなたも自分用の重いクラブを作るべきだ。もう使わないと決めた古いドライヴァーのグリップを外す。シャフトに砂を入れ、重さを量る。健康な男性なら4〜5ポンド(1.8〜2.3kg)、シニアと女性は3ポンド(1.4kg)ぐらいが適当だろう。
一週目はそのクラブを12回振る。普通のクラブのように振るのでなく、ゆっくり、スムーズに、クラブにリードされるように振る。肩と上体に引っ張られるようなフル・フィニッシュまで。翌週は二、三回のゆっくりのスウィングを追加する。その翌週もいくつか追加し、最終的に一日に20回のスウィングに到達する。クラブの重さで引っ張られ、あなたのトップは少しずつ少しずつ大きくなって行く筈だ。
これを二ヶ月続ければ、あなたは自分のバック・スウィングの回転の度合いに驚くだろう。これは雪国に住むゴルファーに最適の練習法だ。シーズンの終わりにこの練習を始めれば、翌春には大きなバック・スウィングと前年に倍したパワーが得られることを保証する」
(February 03, 2004)
●円弧でストロークせよパットは「ストレートに後退、ストレートにヒットせよ」と云われることがありますが、【Sam Snead(サム・スニード)がやっていた“サイド・サドル”というスタイルを除いて】そういうことは不可能です。Sam Sneadの場合は、ターゲットに向かって立つので、「ストレートに後退、ストレートにヒット」が可能です。
フル・ショットだって、出来ればターゲット・ラインに「ストレートに後退、ストレートにヒット」したいところですが、そんなことは出来ません。ターゲット・ラインの内側に引き、ボールとの接触の後、またターゲット・ラインの内側に戻るしかありません。次の記事は、フル・ショットと同じようにパットも円弧でストロークすることを勧めます。
'Arc Stroke'
by Wiilie Toney with Al Barkow ('Golf Illustrated,' Feburuary and March, 2004)
「最もいい喩えはスウィング・ドアであろう。三つの蝶番で止められているドアは弧を描いて開いたり閉じたりする。パットもこの軌道であるべきだ。
無理に『ストレートに後退、ストレートにヒット』を行おうとする人のパターは、不自然なほど高い位置で保持され、手と手首が弓のように反って両腕とパターが一直線になっていない。これは快適さに欠けるだけでなく、プッシュやプルの原因となる。ラインの外にバックストロークし易く、その戻りはアウトサイド・インのストロークになったりするからだ。
円弧でストロークする構えは、自然に両手が垂れ、手首の蝶番は僅かに折れる。この構えは手首がしっかりするため、ぐらつきが原因のミスを防止出来る。
ボール位置は背骨と左肩の間のどこかである。これは練習で快適な位置を探し出すこと。
円弧でストロークするための最適のパターはヒールにシャフトがついているタイプである。この型はヒールが重くなっていて、もともとスウィング・ドアが動くのと同じように出来ている。
センターにシャフトがある型は、両手を高く構えて『ストレートに後退、ストレートにヒット』するように設計されているため、円弧でストロークするには相応しくない。
円弧でストロークするパッティングにはフラットなライ角のパターが望ましい。かといって、あなたのパターのライ角をわざわざ調整する必要はない。青木功のパターなんてトゥが地面から高く浮いているが、彼はパット名人の一人である」
こうして、この記事は最後に市販の練習道具'Putting Arc'(パッティング・アーク、右図)を紹介します。これには二種類あって、一つは木製で室内でパターを沿わせて前後させ、円弧の軌道に慣れるための道具($69.95〜$89.95)。もう一つはプラスティック製で練習グリーンに持って行って、実際にストロークするためのもの($35.95)。
上の商品は単純なものなのに、いずれも高い。実は家に板切れがあったので、最適のカーヴに合せて類似品を作ろうとしたのですが、あまりにも厚いため滑らかなカーヴを描いては切れないことが分りました。薄いものだと軽くて動いてしまう。ということで今回は残念ながら類似品作りは諦めました:-)。
(February 08, 2004)
●湿ったバンカー、固いバンカーTom Kite(トム・カイト)によるバンカーの処理法。
'How to Play Consistent Golf'
by Tom Kite and Larry Dennis (Pocket Books, 1990, $14.00)
「湿ったバンカー、固いバンカーではサンド・ウェッジのバウンスは必要ない。私はピッチング・ウェッジや60°のロブ・ウェッジを使う。お望みなら9番アイアンや8番アイアンでもよい」
'Save it for a rainy day'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2003)
「ボールが湿って固い砂の上にある場合、もしバンカーの縁が低いなら先ずパターで出すことを考える。
それが出来なければ、ややダフり気味のピッチ・ショットをすることになる。スタンスはオープン、ボール位置は通常より2.5〜5 cm後ろ。クラブフェースはスクウェアで、普通のピッチ・ショットを行う。ボールがかなり転がることを計算に入れること」
(February 08, 2004、改訂May 31, 2015)
愛知県にお住まいの女性ゴルファー山田さんに投稿をお願いしました。このサイトの読者には女性ゴルファーも大勢おられるようですので、山田さんのシングルへの道程は大いに参考になるのではないでしょうか。
現在49歳、ゴルフ歴20年、ハンディキャップ8のおばさんゴルファーです。休日は大抵ゴルフに出かけていて、ラウンドは年間60〜65回程度です。
主人はハンディが2で私のゴルフの先生です。ゴルフを始めた当時は基礎を教わり、現在は疑問に思う事がある度に主人に聞いています。身近に教えてくれる人がいるので幸運だと思います。
1.距離の問題
男性の様には飛ばないのは当然ですが、360ヤード位迄のパー4ならミスが無ければ二打で届きますし、380ヤード位になると二打でグリーンの近くまで運び(これもミスが無ければの話ですが)うまく寄せが出来た時にパーが拾えると言う感じです。私が特に飛ぶというわけではなく、私の周りの方の飛距離を考えると平均的だと思います。
2.クラブについて
私は特に長身ではなく中肉中背、力もある方ではありませんが、現在クラブは男性用のRシャフトを使用しています。初めて買ったクラブは女性用でしたが、半年ほどで男性用のクラブに買い換えて以来ずっと男性用を使っています。私の周りでも男性用のクラブを使っている人は少なくありません。
女性用クラブがいいか男性用かで迷っておられる方もおられると思います。シャフトの硬さは重要なのですが、振り切れるのであれば男性用のクラブの方が飛距離は出る様に思うのですが、いかがでしょうか?あるいは、シニア向けのクラブになさるのも選択肢の一つではないかと思います。
3.スウィングについて
ゴルフを始める前は、冬になると数回スキーに行ったり、たまにテニスをしたりする程度で、特に熱心にスポーツをやっていたという訳ではありませんでした。パワーもある方ではなく、ゴルフを始めた頃は飛距離も出ず、二打かかってやっと飛ばし屋の男性のティーショットと同じくらいの所までボールが飛ぶという程度でした。
最初はよく練習場に行きました。当時は、とにかくダンプカー一杯分位のボールを打ってからでないとコースに出るのは早いと言われていましたので、昼間の打ち放題の時間に300球くらいを週に二回ほど打ちました。
初めはスウィングの軸を作るために7番アイアンで脚を揃えて打ち、徐々にスタンスを広げ、それがちゃんと打てるようになると長いクラブで体重移動をして打つ練習をしました。ある程度打てるようになってからは、100ヤード以内は確実にグリーンに乗せられるように練習しました。時々素振りもしましたし、徐々に筋肉も付いて行きました。ゴルフを始めた頃はオーバー・スウィングでしたが今は直っていますし、スウェイはしていないと思います。手打ちにならないよう下半身でリードし、上手く振り抜けたときは良い球が打てるようです。
現在コースには月五回ほど出ていますが、最近は練習場には滅多に行かず、練習は週二、三回の素振りだけです。ゴルフを始めた頃の握力は28kg位でしたが、現在は38kg位に増えました。なかなか練習場に行く時間がない女性ゴルファーには、是非素振りを続けられることをお薦めいたします。
4.ショートゲームについて
目下の私の最重要課題です。それなりには寄るのですが、まだまだ上手くありませんし、今以上にスコアを伸ばすにはアプローチとパターの腕を磨くことだと思っています。いろいろ試していますが、まだ納得のいく答えが見つかっていませんので、これからも取り組んでいかなければと思っています。
5.飛ばす男性たちとプレイする時の心構え
私は普段男性ゴルファーとプレイすることが多いのですが、自分は男性より飛ばなかったり下手だったりするのは当然と思っていますので、あまりプレッシャーはかかりません。ただ、組み合わせで知らない方と一緒になった場合など、女性とプレイするのを好まれない方もいらっしゃると思いますので、なるべく迷惑をかけないよう、不快な気分にさせないように気をつけるようにはしています。
【参照】「John Daly流バック・スウィングの作り方」(このページ上、重い素振り用クラブによる特訓法が載っています)
(February 13, 2004)
●テイクアウェイの過ち飛行線後方に長くヘッドを引くとスウィング弧を大きくし、飛距離増につながるとされています。それはいいのですが、フェースをターゲットにスクウェアのまま引こうとすると、過剰にアウトサイドに引くことになり、様々なトラブルの原因になるようです。
最近、ミドル・アイアンの寄せが非常にうまくいく時と、左に引っ掛ける時とあり、どうもそれはテイクアウェイの違いによるものらしいと気がつきました。うまく行った時のテイクアウェイは、クラブを引き始めるとすぐシャフトが飛行線と平行になる【参照:「マジック・コック」】。引っ掛ける時は、フェースがスクウェアにターゲットを向いたまま長く引かれる。
鏡で確認したところ、後者(フェース角度をスクウェアに保ったテイクアウェイ)はかなりアップライトなバック・スウィングになり、トップでシャフトがターゲットの右を指し、クラブフェースはシャットになってしまい、自然にプル、あるいはフックを生じる。前者は無理のないバック・スウィングで、トップでのシャフトも飛行線に平行(これが正しい)。「クラブフェースをスクウェアに保って引っ張らないこと」という結論になりました。これはウッドにも共通する留意点だと思われます。
(February 13, 2004)
'The Long Game'
by Bill Skelly (Bill Skelly School of Golf, 1989, 115 min.)
友人のJ.B.が貸してくれたヴィデオです。フロリダやアリゾナにゴルフ・スクールを持つBill Skelly(ビル・スケリィ)が、ほぼ二時間喋り通すという珍しいヴィデオ。多分、学校でもこんな風に喋っているのだろうという臨場感はあります。
グリップに始まり、スタンス、テイクアウェイ、フォロースルーまでと、ほぼ常識的な基本を並べているだけですが、大道香具師みたいな口調なのでなかなか聞かせます。
私が感心したのは、インパクトで左手をスナップさせるという練習法です。Bill Skellyは「ダウンではボールめがけてグリップエンドを振り下ろす」と云いますが、これはまあよく聞くtip。Ben Hogan(ベン・ホーガン)がこのスタイルで、Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア)はそれに輪をかけたレイト・ヒットを実行しています。アマチュアにとって「グリップエンドを振り下ろす」が出来るだけでも凄いのですが、Bill Skellyはもう一つ追加します。「インパクト後、フォロースルーでもグリップエンドがボール(のあった)位置を指すように」と云うのです。これはチキン・ウィングを防止し、大きなフォロー(=飛距離)を実現します。で、上の二つを連続して行なえと説きます。
効果的な練習法として、Bill Skellyは次のようなメソッドを勧めます。左手でクラブを握り、右手は左手から30cmほど離して添えるだけ(握らない)でテイクアウェイし、コックを維持したままグリップエンドをボールめがけて振り下ろし、インパクトで右手を離し、左手一本のフォロースルーを取る…というもの。
やってみると分りますが、これは某練習器具にそっくりな動きです。ただ、このヴィデオが13年も前に作られたということから考えれば、器具メーカーがBill Skellyのアイデアを真似したというのが正しいようです。
器具要らずの方法で、あなたもエル・ニーニョ(ガルシアの愛称)に変貌し、距離の飛躍を図りましょう。
(February 16, 2004)
●アドレス時の手と身体の距離「飛ばそう!」と思うと、両手はどんどん身体から離れて行きます。知らぬ間にボールとの距離も離れ、ジャスト・ミートするのが難しくなります。
私は自然な動きの源は、類人猿の絵にあるようにだらっと垂らした両手にあると信じます。インパクトでアドレスと同じ位置に帰るのは、そのだらっと垂らした両手の位置です。これ以外は天才的な本能でアジャストしない限り、同じ位置には戻れません。
'Hook Control'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' March 2004)
「ボールからあまりに遠く離れて立つと、スウィングがフラットになってしまう。これはクラブフェースをクローズにする動きに繋がり、フックが出易い。
アドレスでは腰の関節(次項)から上半身を曲げ、膝も軽く曲げる。リラックスさせた両腕は、伸ばすのではなく、だらんと下げる。
左手と左太股との適切な距離は6インチ(15cm)である。これがインパクトでクラブフェースをスクウェアに出来る距離である」
(February 23, 2004)
●腰の関節とはどこか?'Address for Success'
by Laird Small ('Golf Magazine,' March 2004)
「スウィート・スポットで打つためには、ボールと身体の間隔を一定に保たなければならない。そのためには、アドレス時にいいポスチャーでスタートする必要がある。
先ず、胸を張って背を伸ばす。次に、股関節から上半身を前傾させる。
では、股関節とはどこか?どちらか一方の脚を上げる。その時、太股が上半身と出会う場所が腰の関節である」
よく、「股関節から曲げる」のではなく、「背中を曲げる」人がいますね。これはボールとの位置関係を不安定にする近道(?)です。腰から曲げ、両手はだらんと下げる。これがニュートンの法則に則った、万有引力と添い寝するアドレスです。
【図解参照】股関節とはどこか?
(February 23, 2004)
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