'The Golf Book of Lists'
by Mitch Kaplan (New Page Books, 2001, $16.99)

1) 終りがいつかはハッキリしている。そして、次のラウンドに備えるために休息する必要がない。

2) ペースは終始一定している。スタートが遅くても、急いでフィニッシュする必要などない。

3) サイズは問題ではない。熟練と感受性だけが重要だ。

4) Putts（パット）に関して批判される方が、putz（一物）について批判されるより我慢出来る。

5) 「ゴルフは着衣のまま出来る最高の娯楽だ」と云われている。しかも、お望みなら、着物の下に実態を隠すことも出来る。

6) Johnny Miller（ジョニィ・ミラー）によれば「ゴルフは90%のインスピレーションと10%のパースピレーション（汗）だ」そうだ。Sexは逆だ。

7) ゴルフで"score"（得点、成功）するのは簡単だ。Jack Lemmon（ジャック・レモン）が云ったように「人との出会いが少ないのが悩みなら、"wrong golf ball"（他人のボール、他人の奥さん）にちょっかいを出してみなさい」

8) シャフトの硬さは異なって当然。あまり硬くない方がいい結果を生むことがある。

9) 常に新しいボールでスタート出来る。

10) 快感の名残りは長いだけではなく、成功の記録が紙にも残る。

『文藝春秋』臨時増刊号の『ゴルフ その大いなる魔力』（2000年10月15日発行、¥1,000円）に次のような記事が載っていました。

・大塚邦彦（ハウス食品相談役）

「キャディーさんとは呼ばず、名前で呼ぶようにしている。そのほうが少しでも互いに気持ちよく過ごせるのではないかと思うからである」

この増刊号の筆者たちは由緒あるゴルフ場のメンバーが多いせいで、マナーや礼儀を叩き込まれた思い出を語る内容が多いようです。確かに、キャディーさんを名前で呼べば、あちらも「お客さん」じゃなく名前で呼びかけてくることになるでしょう。より親密に、より真剣に行動してくれるような気がします。

私がデビューした頃はキャディーさんは、四人分のバッグを載せたカートを手で引っ張っていました。私を育ててくれた大先輩が教えてくれたのですが、「登り坂になったら持っているアイアンをそのカートにあてがい、一寸だけ押して上げる（それほど力を入れる必要はない）。それだけでも、キャディーさんの引っ張り上げる力の負担が相当減る」というものです。実行してみると、キャディさんが「あら、いやに軽いわね！」と暫くしてから気づき、後を振り返って「まあ、お客さん、ありがとう！」と必ず感謝されたものです。電動カートでは無用のtipですが:-)。

また、当時は煙草を吸う人間が多かったので、それに関するtipも授かりました。「紙巻き煙草の紙と葉は自然のものなので、どこに捨てても土になるからいい。しかし、フィルターは土にならない。煙草を捨てる時は、こういう風に境目をしごいて紙と葉だけ捨て、フィルターはまとめといてゴミ箱を見つけたら捨てる」というもの。もう煙草は止めましたので、私は関係ないのですが:-)。

『文春』には、「素振りは（飛行線ではなく）90゜横を向いて振る」という故・大岡昇平のtipが掲載されていました。寄せなどで本当に打ったと誤解されないように…ということと、ショート・ホールなどで先に打たせて貰う場合、先行組にとって素振りと本番の区別がつけば、緊張し続けないで済む…という趣旨です。私は何十年も前からこれをやっていましたが、同じことをする人には、あまりお目にかかりません。

Peter Kostis（ピーター・コスティス）はゴルフ学校のオーナー兼インストラクターですが、TV中継のリポーターとして有名。

3) メンタル・テンション
　アイス・ホッケーの歩の悪い試合でなら、がむしゃらなプレイが役立つこともある。ゴルフでがむしゃらになっても悪くなる一方である。ゴルフではがむしゃらにならないようにがむしゃらになるべきだ。（In golf, you have to try hard to not try hard.）がむしゃらになる理由は色々だが、天候や対戦相手と闘うよりも、テンションを無くした方がベスト・ショットが出るものである。

4) 下手な考え
　ホール一つ一つについて攻略法を考えるゴルファーはそう多くない。一打一打の計画が無いから、集中心に欠けてしまう。例えば、池を恐れるあまりボールがダウンヒルにあることに気づかない。ボールをスタンス後方に置くべきことを忘れ、ダフって池に入れてしまうのがオチである。

　全てのホール、全てのショットについてのプランを練っておく必要がある。距離とライなどキー・ファクターを瞬時に分析するようなプレショット・ルーティーンも必要だ。どのショットも不安を抱くことなく、お馴染の状況にしておくべきである」

'The Golf Book of Lists'
by Mitch Kaplan (New Page Books, 2001, $16.99)

たまたま双方のパートナーが現われなかったため、Sally（サリィ）とHarry（ハリィ）は初対面ながらNo.1から一緒に廻ることになった。二人はお互いにヘボであると告白し、No.2までは実際にそういうプレイに終始した。しかし、No.3 (Par 5)では二人ともプロまがいのティー・ショットを打ち、セカンド・ショットも素晴らしく、どちらもツー・オンしてしまった。Harryは30フィートのパットに備えながら、「このホールではパーも取ったことがないんだ。このパットを沈めてイーグルになったら、二人で軽く一杯やって、お洒落なランチに行くってのはどうだい？」と尋ねた。Sallyが承諾し、Harryは見事イーグルを決めた。Harryの興奮が冷めた後、Sallyは20フィートのパットに備えつつ、「このホールではダブルボギーよりいい数字を記録した試しがないの」と云った。「だから、このパットに成功したら、ボトルを一本買いましょう。ランチは省略して、モテルの部屋で一日中祝福しあいましょう！」それを聞いてHarryが云った、「キミ、パットの必要はないよ。それはギミー（OK）だ」

年季の入ったゴルファー二人がNo.3のティーから川を眺めていた。一人が連れに云った、「見ろよ、あの馬鹿者たちを。釣りだってさ、この雨の中で」

二人の男は前の御婦人ツーサムのスロー・プレイにうんざりしていた。彼女たちはバンカー、池、ラフの全てに寄り道しないではいられないゴルフを展開していた。そして、後ろの組をパスさせようなどとは微塵も考えていなかった。二時間の忍耐の後、男の一人が「オレ、行って頼んでくる」と御婦人たちの方へ歩き出したが、途中から引き返して来た。「駄目。一人は俺のカミさんで、もう一人は俺の浮気の相手だった。キミ、行ってくれ」で、もう一人の男が歩いて行ったが、やはり途中から引き返して来た。「世間は狭いね」と彼は云った。

ゴルフとテニスの違い。テニスは殺人だ。あなたは相手を殺そうとする。ゴルフは自殺だ。あなたは自分を殺そうとする。

"I just got a new set of golf clubs for my husband," says the wife to her friend. "Gee, what a great trade," replies the friend.

（"for"には「〜のために」という意味もありますが、「〜と引き換えに」という意味もあります）

'Explosive Golf'
by Machael Yessis, Ph.D. (Masters Press, $18.95, 2000)

「午前中にプレイするとして、ちゃんと朝食をとってないとか、とったとしても十分でないとしたら、あなたは競争相手より急速にエネルギーを失うのは明らかだ。特に後半の9ホールに入ってから、糖分が欠乏し脂肪を消費し脳が待避線に入ってしまった場合、栄養分の補給は既に絶たれている。集中力はダウンし、挫折感は最高となろう。

食事のタイミングを計り、朝型の人間としてこってりした澱粉質、蛋白質、野菜などを朝食としてとるべきだ。オムレツは素晴らしいメニューだ。朝の中間のスナックとして、蛋白源のナッツ類や種の類を含めると良い。過剰でない糖分を補給出来る。それはまた脳の働きを良くする。生で塩分が含まれていないナッツがベスト。もし、かなり暑い気候でプレイするなら、若干の塩分は許される。

ナッツや種の類を食べるのは消化も良く、空腹を和らげるのに効果がある。塩や油で調理されたナッツ、種の類は、悪くなり易いし頭痛や他の障害の因になる。

あなたが実際には夜型の人間であって朝プレイしなくてはならないとしたら、朝一番には果物をとり、しばらくしてビーフ・ジャーキイのような蛋白質豊富なものをスナックとして食べること。夜型の人間は、血糖値を上げるために朝の果物が必要なのだ。プレイ中、スナックとして野菜をとれれば、もっと良い。

午後のプレイの昼食に必要なものは、朝のゴルフのメニューと同じである。麺類やサンドイッチに限定してはいけない。夜型の人間は澱粉質を夕食時に摂取しておくこと。昼食に蛋白質をとり過ぎてはいけない。疲れが出て、途中であくびが出てしまう。過剰な澱粉質、蛋白質は糖分になってしまうので、昼食に相応しくない。適切なのは、地上に生える野菜と、比較的蛋白質の少ない魚、鶏などである。

ソフト・ドリンク類、アルコールは有害である。アルコールは脱水症状を引き起こし、血糖値にも影響を与える。糖分の多い果汁は一見問題無さそうに見えるが、栄養的に優れたものではない。グラス一杯のジュースは何個のオレンジで作られるか？4〜5個である。普通、誰も4〜5個のオレンジを食べたりしない。もし、ジュースを飲むのなら水も一緒に飲むこと。

あなたが実際は朝型の人間で、午後のラウンドをしなければならないとしたら、スナックとして何か果物が必要だ。あなたが夜型の人間であれば、午後のゲームの間にはナッツ類をとる。夕食まで保たせる蛋白質が必要だからだ」

【参考】
・「80を切る栄養学」（tips_5.html）
・「80を切る食事」（tips_61.html）
・「ゴルフのための食事」（tips_117.html）
・「コンペ前夜」（tips_108.html）
・「ランチ・ブレイク」（tips_17.html）
・「エネルギー補給マニュアル」（tips_45.html）
・「エナージィ・ドリンクの飲み方」（tips_121.html）

'10 Tips to Make the Most Out of Attending a Golf Tournament'
by Dr. Tom Dorsel, Ph.D. ('Golf Illustrated,' Spring 2002)

スポーツ心理学者Dr. Tom Dorsel（トム・ドーセル博士）によるトーナメント観戦法十箇条。

1) トーナメントの序盤を観る
　木曜か金曜がベスト。カットされる前の全プレイヤーが観られ、観客も少ない。

2) 逆方向に廻る
　No.18のグリーンからスタートして逆行する。ここで最初の組が観られたら、全プレイヤーを観られる可能性がある。プレイヤーを追いかけるのでなく、向こうからやって来るのでエネルギーの節約になる。興味のあるプレイヤーが来たら、数ショットあるいは数ホールついて歩くのもいいだろう。変化をつければ退屈しないで済む。

3) 健康第一
　肉体的にいいコンディションで出掛ければ、疲労を防ぐことが出来る。5〜6マイルの歩行、立ったり伸び上がったりなどのおかげで、日頃の運動を省略出来る。

4) パッティングは観ない
　TV中継ではパッティングは重要な要素だが、生のトーナメントでは省略した方がいい。ラインも判らないし、観客が多くてよく見えない。ティー・ショットからピッチ・ショットまではTVがうまく伝えられない部分なので、これらを観ることをお薦めする。

5) いい位置を選べ
　ティー・ショットを観るには、ティー・マーカーの5ヤード（4.6m）先のロープ沿いが最適。ここならキャディやスコアラーに邪魔されることもないし、ボールの行方も見られる。

　オプションとして、ボールの着地点で待ち、間近で寄せを見学するというテもある。その組が全員打ち終るまで、木の蔭で身を護ること。

6) 右利きは左利きを見よ
　あなたが右利きならPhil Mickelson（フィル・ミケルスン）が参考になる。左利きの彼のスウィングは、鏡を見るように直接的で分かり易い。Phil Mickelsonは右利きの父親のスウィングを、鏡を見るように真似したのだということを御存知だろうか？左利きのプレイヤーが多くないのは残念だ。

7) 自分に似たスウィングのプロを追え
　先ず、体型。それから打ち方やフィーリングが似ているプロ。

8) デッドに狙った結果を見よ
　Harvey Penick（ハーヴィ・ピーニック）の言葉'Take Dead Aim'（デッドに狙え）のように、プロ達はデッドに狙う。プロと云えどグリーンを外すこともあるが、見事な寄せやバンカー・ショットでパーやバーディーを拾う。これに感心したら、ショート・ゲームの練習に邁進しよう。

9) 慎重さ、リズム、忍耐を見よ
　プロ達は急がない。バランス良く立ち、オーヴァースウィングしない。いいリズムを心掛ける。これはチップ・ショットで顕著である。プロ達は云う、「ボールの上で計画通り仕事をする。結果がどうなるかは分っているので、見る必要もない」。我々も十分頭を残して、計画通り仕事をするように努めよう。

10) 静寂を楽しもう
　あちこちに沢山配置されたマイクの音声に溢れたTV中継と異なり、生のトーナメントはどちらかというと静かなものだ。プロ達の穏やかなスウィングはスロー・モーションのようにさえ見える。彼等の、修行僧のような黙々とした孤独なプレイと、コースの自然の美の一体感を味わおう。

'How to Get Out of a Bet'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' June 2002)

スタート前、「どうせなら、一寸面白くしません？」というような、一見無邪気な提案が出ることは珍しくない。しかし、あなたが余計な出費をしたくなければ、これは苦痛以外の何物でもない。いくつかの断わりのフレーズを紹介しよう。

1) 「皆さん、相当巧そうなんでお相手出来ませんワ」

　これは相手の自尊心をくすぐる方法。

2) 「先週大負けしたばっかりで…」

　同情心に訴えるヴァージョン。誰でも調子が悪い時はあるもので、このように理解に訴える手段は効き目がある。

3) 「腰痛がぶり返してるもんで…」

　腰痛である証拠を見せる必要はないわけだし、最速の効果的断わり方である。この台詞を云っといて生涯ベストのスコアで廻ったりしないこと。

4) 「賭けると楽しくなくなっちゃうんで…」

　正直なのが一番という時もある。誰もあなたの意思に逆らって、あなたを苦しめることは出来ない。このテを使うのは容易ではないが、他の誰かがあなたの意見に乗ってくれるかも知れない。

Paul Runyan（ポール・ラニャン）は今年（2002年）5月に94歳で亡くなりました。地味な人だったので若い世代は彼をよく知らないかも知れません。身長1.74m、体重59.9kgとアメリカ人としては小兵でしたから、最盛期でもドライヴァーは230ヤードしか飛びませんでした。しかし、PGAツァーで28回優勝し、そのうち二つはPGA Championshipなのですから、いかに彼のショート・ゲームが凄かったか想像出来ます。賞金王の座につくこと二回、Ryder Cupには三回も参加しています。シニアPGAツァーでも二回優勝し、1959年にはPGAツァーの名誉の殿堂入りを果たしました。

その彼の本（絶版）の一冊を入手し、とりあえずパラパラやっていたら、何ともショッキングな記事が出ていました。

'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan with Dick Aultman (Golf Digest/ Tennis, Inc., 1979, $9.95)

Paul Runyanは「パターを指一本でバランス取った際、フェースがどこを向くかが問題だ」と云うのです。私の手持ちのパターでチェックして見ましたが、写真A（Odyssey Rossie II）のようにフェースが水平（上向きでも下向きでもいい）になるのがベストだと彼は云います。写真B（Wilson: The Stinger）はウン十年前の貰い物ですが、このように垂直になるのも「（理想的ではないが）まあ容認出来る」そうです（私のは垂直ではなく若干斜めなので良くないですが）。写真C（Otey Crisman: Otey III 310HB）はこちらの友人から貰ったヒッコリー・シャフトのクラシック・パターで、これもそう悪くない結果です。最悪なのは写真D（Tear Drop: TD05）のように水平でもなく垂直でもないものだそうで、Paul Runyanは「このタイプは絶対に使わない」と断言しています。これだと正しい転がりが得られないそうです。

【註】以上の説明は、あくまでもPaul Runyanの好みの問題としてお読み下さい。後に、写真AとCは「ストレート・ストローク」に向いており、写真BとDは「円弧型ストローク」に相応しいことが分かりました。【2011年付記】

そう云われて見ると、私のパットが良かったのは写真Aと写真Cのパターを使っていた頃です。今でも当時のパートナー達の褒め言葉がよみがえって来ます。写真Dのパターはあるゴルフショップが閉店セールをやった時に購入したのですが、持った感触と転がりがいいので選び、ここ二年ほど使っているパターです。試した誰もが「いいパターだ」と云うのですが、しかし、これを用いた私のパットが絶賛された覚えはありません。人は一回や二回のパットは「どうせ、まぐれだろう」と褒めないものです。ワン・ラウンドを通じていいパットが続いた時に初めて褒めます。

私が写真Dのパターに執着していたのは、そのフィーリングと「いい値段なのだから、それだけの値打ちはあるのだろう。使いこなせないのは自分が悪いのだ」と考えていたからです。Paul Runyanが発見したパターの見分け方が正しいとすれば、私は馬鹿馬鹿しい時間の無駄遣いをしていたことになります。

サイト名にそぐわない記事ですが、90を切ることを目指す読者も多数おられるようなので、たまにはこういうのも入れたいと思います。

'What it Takes to Break 90 Every Time'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' February 2001)

「あなたがひどいYips（イップス）かシャンクに悩んでいないのであれば、常に85〜89で廻れる筈である。

パー72のコースで89は17オーヴァーである。ということは、90を切るにはたった一度パーをとればいいということだ。勿論、他の17ホールはボギーに納めなくてはならない。ダボが一つあれば、もう一つパーが要る。言葉を変えれば、ダボ以上の悪いスコアを絶滅すれば、90を切るなどというのは非常に簡単なことなのだ。

ダボを減らせる要素が三つある。

1) 池、OBなど、ペナルティを課せられる危険を避ける
　刻もうが遠回りしようが、とにかくトラブルを避け、必要ならボギーでよしとする。意気地なしに見えたとしても、あなたの目標が五打の場合、四打で上がれるチャンスが多いことに驚く筈だ。いずれにしても、ペナルティ込みで7とか8を叩くよりは満足出来る数字であることは間違いない。

2) グリーン周りではシンプルに
　あなたの寄せに上出来のショットと失敗が混在しているとすれば、それは集中心の欠如か、あまりに正確に打とうとするからである。シンプルに考えよ。ホールに出来るだけ近づけるという基本に帰ること。何がなんでも、次打はパッティングになるように努める。

3) スリー・パットを無くす
　これはボールがグリーンに乗る前に始めなくてはならない。パットに楽な落とし場所を選んで寄せる。ラインが平らであるか上り坂であれば、スリー・パットは驚異的に減少する。

以上三点が実行出来れば、90を切るのはお茶の子さいさいである。80を切ることも夢ではない地点に到達する筈だ」

心理学者Dr. Nick Rosa（ニック・ローザ）のサイトに、興味深いQ&Aが掲載されています。氏の許可を得た転載の三回目。Dr. Nick Rosaが製作した催眠術テープについて、これまでに何回か紹介して来ましたが、まだ日本語版が出ていないのが欠点でした。今回の記事には、その催眠術テープに出て来るいくつかの要素を取り入れており、テープの特徴の一端が理解出来ると思います。

「質問：私はハンデ10で、通常79〜84で廻れます。しかし、いざトーナメントとなってギャラリーが多いと80台後半〜90台前半に落ちてしまいます。なぜ、こうなるのか、その対処法もお教え下さい。

回答：スコアから云って、あなたの内的資源（知覚力、思考力、神経終末、身体作用、反応速度等々）はティー・ショット、アプローチ・ショット、パッティングなどの技を成功させるに十分のようです。ただ、それがトーナメントという場で十分に働かないわけです。これを克服する方法をお教えします。以下の手順を一度最後まで読み通し、全体像を理解してから始めて下さい。

1) 目は開けていても閉じていても結構。あなたが最高のゴルフをしていた時（ポジティヴな感覚を持っていた時であったり、ゾーンに入っていた時、あるいはリズムに乗っていた時）と場所を思い出します。その経験の中からあなたが上手くプレイしている自分自身を視覚化出来る「瞬間」を選びます。これを"Peak Performance Moment"（最高の実力発揮の瞬間）と呼びます。

2) 目は開けていても閉じていても結構。"Peak Performance Moment"の視覚化を継続しつつ、ヴィジュアルなディテールに注目します。天候、他の人々、あなたのスウィング動作など。音にも注目。クラブやパターがボールに当る音、同伴競技者の誉め言葉、葉擦れの音や鳥の囀りなど。

3) 目を閉じ、頭の中の"Peak Performance Moment"の場面に、あなた自身を送り込みます。足元の地面、手のクラブやパターを感じ、周囲のディテールを目にし、耳にしなさい。同時にあなたの最高の実力発揮の資源が戻ってくるのを感じなさい。それらが戻って来るのを感じながら、5〜10秒間あなたの物を書く方の手の親指を立てなさい（"Good"のサイン）。5〜10秒経ったら、一瞬だけ両目を開け、また閉じなさい。

4) 上のステップをあと5回繰り返しなさい。親指を立てる仕草は、あなたの最高の実力発揮の状態を導く引き金となります。親指を立てるとポジティヴな方向に向う内面を感じる筈です。もし、それが感じられなかったら、ステップ３をあと5回繰り返しなさい。

5) このステップは、トーナメントの状況の下で素晴らしいプレイを展開する未来のあなたを、親指を立てる仕草としっかり結びつけるためのものです。親指を立てつつ、頭の中で未来のあなたに自分自身を転送しなさい。セットアップ、スウィングやパッティング・ストロークを感じなさい。トーナメントの光景や物音を感じ取りなさい。例えば、あなたを見守る人々をイメージし、彼等が何か囁きあったり、拍手する音を聞きなさい。これを10〜15秒行い、一瞬目を開け、すぐまた閉じなさい。

6) 上のステップを5回繰り返しなさい。最後の二つのステップにより、あなたはトーナメント下でも最高の実力を発揮する引き金を確立します。保証します！」

一番いい方法は、上の手順をテープに録音し、その指示に従って実行することです。ゆったりしたBGM（バロック音楽あるいは環境音楽など）をつければ最高です。

事例１：久しぶりにラウンドした時のことです。ブランクによって一寸臆していました。せめて、みっともないティー・ショットだけはしたくない…と、リズムだけに専念して"one, two, three"で打ってみました。これがいい当りとなり、一気に自信がよみがえりました。

事例２：どうもアプローチがうまく行かず、ザックリだのトップ気味のボールが出ていた時のこと。打ち急ぎのせいではないかと思い、これも"one, two, three"で打ってみました。大成功。

私の場合、"one"でスタートし、"two"でトップに到達、"three"でダウン。"two"では精一杯左肘を伸ばすようにします。リズムやテンポは個人の性格にもよりますから、誰もが"1-2-3"のリズムがいいとは限らず。"1-2"が合っている気の短い人もいるでしょうし、"1-2-wait-3"という気の長い人もいるわけです。自分に最適のリズムを見極める必要があります。

リズムとテンポはよく混同されますが、上のように"1-2-3"などの拍数がリズムです。同じ"1-2-3"でも速いスピード、遅いスピードが可能ですが、そのスピードがテンポです。過去の記事に「リズムの研究」と題したものがいくつもありますので、参照してみて下さい。

現在のティー・ショットが好調なのはこの「リズムの再発見」によるものです。"1-2-3"を二打目、三打目やアプローチでも実行すればかなりいいゴルフになる筈ですが、ティー・ショット以外ではつい忘れがちです。つい"1-2"で打ち急いだりして、「しまった、"1-2-3"だった！」と地団駄を踏みます。

そこで、私のお得意の巻の登場。写真のように手袋に"1-2-3"と印刷した紙を貼り付けました。「クラブシャフトの標語では駄目なの？」という物覚えのよい方もおられるかも知れませんが、あれは見慣れてしまうと自然に無視しちゃうのです。役に立つのは「何だこれ？」と目新しい時期だけですね。手袋なら嫌でも目に入ります。

「しかし、手袋を取ったら何も無いじゃん」とおっしゃる？私はウェッジ以下ではフィーリングを良くするため手袋を取ることにしています。確かに、この段階では手袋の"1-2-3"は消えてしまうので、仕方なく手に油性インクで"1-2-3"と書き、手袋を取ると現れるようにしました。恥ずかしいですが、マウスピースをするよりはずっとまともでしょう:-)。

本日（日曜日）の午後、一人でハーフ廻ってみましたが、リズム優先のゴルフは素晴らしいです。ティー→アプローチまでは最高。パットにも通用すればいいと思ったのですが、まだそこまでの確証は得られておりません。