Golf Tips Vol. 58

Have a good time!(ハヴ・ア・グッド・タイム!)

いつもは"Have fun!"とか云って送り出してくれるカミさんですが、ある日、"Have a good time!"と云ったのです。その時は何とも思わなかったのですが、コースでNo.1、No.2とダブルボギーでガックリして、No.3のティーに立った時に突如この文句を思い出しました。

ダブルボギー連続で暗澹たる前途に茫然としているようでは、"Have a good time"出来ません。ベストを尽くした場合が、"Have a good time"の要因です。「お〜し、"good time"を"have"しようじゃないか!」と心の中で呟きました。そしたら、No.3のティー・ショットはそのホールにおける自己記録を更新する飛距離となりました。身体は"good time"を"have"するスウィングを知っていたということですね。深くあれこれ考えないで、身体に任せる方がいいようです。

'The Mental Edge'
by Kenneth Baum with Richard Trubo (The Berkley Publishing Group, 1999, $11.16)

ある大学の水泳選手の話。レースに勝つためのプレッシャーが大で、タイムが縮められなくなり、「もうちっとも楽しくない」のでスポーツから足を洗うことを考えていました。

著者は、彼を助けるに当たって、いくつかの質問に答えるように要請します。《私は本当に泳ぎたいのか?、私自身のために泳ぎたいのか?、両親やコーチをがっかりさせたくない為ではないのか?》等。これらに答えた後、彼はこう云いました。「私は泳ぎたい。かつて感じた楽しみをもう一度感じたい。もっと能力を高めたい。私は諦めた人間になりたくない。いま諦めたら、人生全般を通して諦めた人間になってしまうだろう」。

水泳が楽しいものであり、勝利を追い求めるものではないことに焦点を当ててトレーニングを開始した結果、彼は楽しさを感じることが出来るようになります。彼等はプールサイドで繰り返すキー・ワードを設定しました。これによって、楽しさを感じながら、彼の最大の能力を発揮出来るようになりました。楽しんで泳ぐようになって、スピードも増大。事実、彼はレースに勝利し始めたのです。

(June 03, 2001)


Ed Street(エド・ストリート)の'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)

昨日、Ed Street(エド・ストリート、60代)とメキシコ人の奥さんMaria(マリア、50代)と一緒に廻ったのですが、以前は二人とも誉められたゴルフじゃなかったのに、急に見違えるようにステディなゴルフになっていました。その秘密は'Natural Golf'なのだそうです。'Natural Golf'についてはずっと前に御紹介しています。その歴史、理念についてはそちらを御覧下さい。右のヴィデオは、'Natural Golf'のモデルであるカナダの異才Moe Norman(モー・ノーマン)のスウィングです。

以下は、Edのゴルフを観察した印象と彼から聞き出したことをまとめたものです。

1) パーム・グリップである。
2) そのため普通のグリップでは細過ぎるので、太目のグリップに改造するか、'Natural Golf'が販売しているクラブを購入する。Edはアイアンは'Natural Golf'製で、ウッド数本はショップで太目に改造して貰ったそうです。
3) 広いスタンス。Edのはほぼガニマタ風。
4) ボールの約20cm後方にヘッドを置いてアドレスする。
5) 腕は精一杯伸ばす。Edの場合、後方から見るとボールがヘッドから一個分ハミ出している。上にハミ出すのは普通ですが、ヘッドのトゥの先にハミ出しているのです。つまり、腕を伸ばした上に、さらにダウン・スウィングで伸ばすつもりなのです。
6) 重心は身体の中心。前から見ると、頭が飛行線のかなり後方にある。
7) テイクアウェイでは右肘を身体から離さない。
8) 左肘は曲げてもよい。
9) トップはほぼ肩の高さ。
10) ティー・マーカーの外から打つ。

最後のは冗談です。Edが知ってか知らずか、数回ティー・マーカーの外にボールをセットしていたのを見たのです:-)。まあ、そのせいではないのですが、良く飛ぶんです。しかも方向性が抜群に良い。

 

Edに云わせると、「通常のグリップはスウィングの間の手首の回転巾が大きいので、インパクトでスクウェアに戻すのが至難の技。'Natural Golf'のグリップは調節の必要が無いから非常にシンプル」だそうです。「左肘を曲げてもいいというのは、野球のスウィングみたいだね」と云うと、「というか、ホッケーだね。Allen Doyle(アラン・ドイル)のようなホッケー選手上がりのプロもいるじゃないか」とのこと。

気負ってミスしたショットも当然あるのですが、ほぼ毎回いいショットでした。INでは三つもバーディを記録していました。最初はお世辞のつもりで脱帽していたのですが、最後の方では真面目に脱帽しちゃいました。

この日は二回も強いにわか雨に祟られ、身体もビショ濡れなら、フェアウェイからグリーンまで水を大量に含んだスポンジ同様。その中で、彼は82で廻ってましたからこれは凄い。聞くと、ここ数週間で75、77、78などというスコアはザラだそうです。もうEdを馬鹿に出来ません。'Natural Golf'恐るべし。

二人は週に二回ラウンドする程度だそうですが、旦那は土曜、日曜も練習に来るそうです。二年ほど前にテープとテキストのセットを購入し自習しただけで、'Natural Golf'のゴルフ・スクールに通ったわけではないそうです。恰好いいスタイルとは云えませんが、このようないい成果を見せつけられるとショックです。

(June 09, 2001、改訂May 31, 2015、再訂August 19, 2018、増補January 06, 2019)


Nicklaus(ニクラス)のメソッドを盗め

英国のインストラクターJohn Jacobs(ジョン・ジェイコブズ)が推奨するプレショット・ルーティーン。

[Nicklaus]

'50 Greatest Golf Lessons of the Century'
by John Jacobs with Steve Newell (HarperCollins, 2000, $17.50)

「あなたはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のプレショット・ルーティーンを脳裏に再現出来る筈だ。それはスイス製時計のようにここ何年も変っていない。Jack Nicklausはプレショット・ルーティーンの価値についてこう云った:『勝利をめざしている時に想像力に全権を委ねたら、それは死ぬことと同じだ』 彼の云わんとするところは、あなたの心がさまよい出したら(特に未来に向けて)それはトラブルの因だということだ。プレショット・ルーティーンはそれを防止する。プレショット・ルーティーンに専念することによって思念を具体化し、雑念を排除し、心をショットに関することだけに集中することを助ける。

アマチュア・ゴルファー達は本当のプレショット・ルーティーンを身につけていない。Jack Nicklausとそっくりのやり方をする必要は無いが、いくつかの要素はこの名人から頂くべきだろう。

先ずボールの後ろに立ち、心の眼でショットを思い描く。これはメンタルにあなたをショットに引き摺り込む。

次にクラブフェースをボールと旗との中間の目標に合わせてセットする。250ヤード先の旗より、数フィート先の方が狙い易い。「フェアウェイの真ん中」というような曖昧な目標では、スウィングそのものも曖昧になる。一番ミスを冒しやすいポイントだ。

最後に数回ワッグルする。これは手と腕の緊張を解き、身体を伸ばし、スムーズで急がないバックスウィングへの助けとなる。

練習場でプレショット・ルーティーンを完成させる。いい習慣をつければ、トーナメントなどでのより高度なレヴェルの技量発揮を可能にする。Jack Nicklausのように練習する者はいない。彼はメイジャー・トーナメント最終日最終ホールの第二打であるかのように練習ボールを打つ。アマチュアは練習ボールを打ち過ぎるほど打つが、ほとんど何も考えない。ボールの量を減らし、考える量を増やしなさい。量より質、それが練習の全てだ」

(June 09, 2001、追補May 31, 2015)


公認・クラブ別平均飛距離一覧表

ある本に出ていたハンデ別平均飛距離。

'Gauging Your Game'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

Club Tour
Player
0-9
handicap
10-15
handicap
16-25
handicap
26+
handicap
PW 120 110 100 90 80
9-Iron 130 120 110 100 90
8-Iron 140 130 120 110 100
7-Iron 150 140 130 120 110
6-Iron 160 150 140 130 120
5-Iron 175 160 150 140 130
4-Iron 185 170 160 150 140
3-Iron 195 180 170 160 150
2-Iron 210 190 180 170 160
4-Wood 220 210 195 180 170
3-Wood 235 225 210 195 180
Driver 255 240 220 210 190

ちなみに、私の飛距離は10-15にそっくりです。

(June 19, 2001)


獲らぬ狸の…

一世一代のショットという場合に限らず、我々は常に一打毎に何かを願っています。目一杯の飛距離、あるいは意図的スライスやフックの成功、あるいはピン傍への美技等々。

しかし、そうした願いが実現するのは、あくまでもキチンと打てた時です。スィートスポットで打った時にのみいい軌道、望んだ飛距離が得られるものです。言葉を変えれば、上のような願いの数々はキチンと打てた場合の「結果」に過ぎません。…としたら、狸を獲る(キチンと打つ)こと抜きに皮算用(いい結果を期待)しても無駄ということになります。

「ボールとのいいコンタクト」、それを願うことが先決です。クラブ選択、グリップ、アドレス、アライメントによって、どこへどうボールを運ぶかという方針は決定しています。後は「ボールとのいいコンタクト」をいかに立派に達成するかだけです。

「いいコンタクト」を願うことは終始ボールを見つめることであり、ボールと身体の距離を一定に保ち、想念が皮算用の方にさまよい出す(上の空になる)ことを防止してくれます。

すぐ想念がさまよいだすゴルファー(私)による反省です:-)。

【参考】「一意専心」

(June 25, 2001)


信頼の回復

スポーツ心理学者Dr. Dick Coop(ディック・クープ博士)が説くミスの原因の分析と対策。

'Earning Trust'
by Dr. Richard Coop ('Golf Magazine,' October 2000)

「信頼はスポーツの重要な要素である。信頼の欠如と疑念はあなたのゴルフを損なう原因である。信頼の喪失には三つのタイプがある。

【考え過ぎ】

左腕を真っ直ぐに、体重は均等、ゆっくりテイクアウェイ…など、脳に情報を詰め込み過ぎるのは緊張の因であり、ゴルフ・スウィングの敵ナンバー・ワンである。これの治療としては、

・一つのスウィング理論に執着する。レッスン・プロの云う通りにするのが最善。
・スウィング・キイは一つか二つにして、それに集中する。
・真似したいPGAツァー・プロのヴィデオなどを繰り返し見る。

【過保護なスウィング】

ターゲットに誘導するような、あるいはボールを操縦しようとするようなスウィングも、信頼の欠如の結果である。どういう場合に誘導していると云えるか?フル・スウィングにおいては、弱々しい打ち方、短いフォロースルー、インパクトでオープンになったクラブフェース…などが、その徴候である。グリーン周りでダフりやトップの原因となる掬い上げや、パッティングでラインに乗せようともがくこと等も同様。

・誘導・操縦無用な広いコースで練習する。コントロールしようとしない方がいいショットになることが証明されるはずだ。
・インパクトではクラブが何の誘導も無く自由に振り抜けるようにする。
・あなたを緊張させるショットを見極める。アップヒルのショットとか、グリーン左にあるピンとか不得意のパターンが分れば、対処法を習得すればよいだけだ。

【過大な期待】

300ヤード先の小さな標的を狙うとか、チップインさせようとするアプローチ、これらは身の程知らずに近い。こういう心理だと打つまでの時間が長くなり、ネガティヴな思考が忍び寄り、緊張も高まってしまう。

・的を大きくして、伸び伸びと動ける自由さを得ること。
・自分に対して寛容であること。
・英雄になろうとしないこと。

(July 10, 2001)


Dancing Rabbit G.C.(いいコース巡り・その壱)

友達に恵まれなかったせいで、これまでこちらのいいコースでラウンドすることは出来ませんでした。メンバー・コースですと、誰かが一緒に廻ってくれないといけません。事情が好転し、この辺のいいコースを全部廻れそうです。

「情けは人の為ならず」と云いますが、全くその通り。ミシシッピの州都ジャクスン近郊に日産のトラック製造工場が建設されます。車にはパーツが沢山必要です。私の住むメリディアンを初め、多くの町が日本のパーツ工場の誘致にやっきとなっています。日本から企業が工場用地を下見に来る時に、私はメリディアンの商工会議所の通訳兼“コンサルタント”として協力しています。この関係で知り合った人々と、いくつかメンバー・コースでのラウンドが出来ることになりました。奉仕の精神に、思いがけず見返りがあったわけです。「いいコース巡り」、今回はその第一弾。

[Mr. Tanimoto]

先週、サスペンション製造の株式会社ヨロズの数名の代表をお迎えしました。営業部主管の谷本さんはその中のお一人。現在は日本本社勤務ですが、足掛け十年はアメリカに滞在されたそうで、英語はペラペラ。とても気さくな方です。

数日後電話があり、「谷本です。メシでも御一緒にどうですか?」というお話。私が「メシもいいですが、ゴルフをするお時間はありませんか?」と聞き直しますと、「あります、あります。フィラデルフィアのDancing Rabbit G.C.でやりませんか?」とのこと。有名なペンシルヴェイニア州のフィラデルフィアではなく、ミシシッピ州のフィラデルフィアです。「でも、あそこはプライヴェート・コースで、ホテルに泊まった客しかプレイ出来ないんじゃないですか?」とお尋ねすると、調べて下さった上で「$60.00出せば誰でもプレイ出来るそうです」というお返事。 いつの間にかパブリックになっていたのでした。オーガスタ・ナショナル(マスターズのコース)を模した美しいコースだそうなので、$60.00はそう惜しくありません。

Dancing Rabbit G.C. (The Azaleas course)
・Designers: Tom Fuzio (元PGA Tourプロ)& Jerry Pate (1976 U.S. Openチャンピオン)
・White Tee: 6019 yards, Rating: 68.9, Slope 123

レンジ・ボール無料打ち放題というのも初めてなら、ターゲットとして七つの模擬グリーンがあるという練習場も初めて。$60.00だけのことはあります。

35℃を超える暑さなので、ほとんど人影が見えません。人家も全く見えません。素晴らしいコースを二人で独占している感じ。レイアウトは多彩ですが、山岳コースのようにアップダウンがあり、うねっているフェアウェイとタフなバンカーで難しくなっている…というのが共通点。視覚的にグリーンを遠くに見せ、“打ち気”を誘い、ミスを誘います。実はそれほど遠くないので、設計の上手さです。グリーン手前に小川があるというオーガスタのようなホールもいくつかあります。ティー・ショットをミスると、フェアウェイ手前の谷や、ボールがすっぽり埋まってしまうラフに落ちます。ラフは“亀の子たわし”の素材を伸ばしたようにタフです。

グリーンはベント。これには驚きました。南部諸州では暑い夏にはベントは枯れ果て、バミューダがとって代るのが普通です。このコースの秘密は各グリーンの下にエアコン設備を埋め込んであって、温度を調節しているのです。更に、グリーン脇に大型扇風機が設置されています。人間のためというより、これもグリーン表面の温度調節が目的のようです。

このベントが速い!リノリウムの床のように滑らかで、バミューダの三倍は速く走ります。不思議なことに、勾配がほとんど影響せず、ほぼ真っ直ぐに転がせばいいことに気付きました。しかし、傾斜を読むという習性は抜け切れず、何度も読み過ぎて失敗。

売店というのは無く、若いお姉さんが運転するカートが対面交通でやって来て飲み物やスナックを売ります。年配のおじさんがやって来たので、これは何だろうと思ったら、「氷で冷やした濡れタオルはどうかね?」と云います。無料。凄いサーヴィスです。彼に聞くと、今日のスティンプミーターは10ぐらいだろうとのこと。

谷本さんはCallawayのSteelheadのフルセットの貸しクラブです。この日、谷本さんのドライヴァーは大当たりで、御自分も、見ている私も惚れ惚れするショットの連続。ミドル・ホールでバーディを記録するなど、結構御満足のようでした。

私は恥ずかしくないゴルフをしようという殊勝な態度のうちは良かったのですが、次第に「一流コースがなんでい」と野放図になり、ロスト・ボールやOBを出してしまいました。しかし、46-45というスコアは、初めてのコース、難しいレイアウトのもとでは、まあまあだったと思います。スリー・パットとダボを減らすことが課題です。

ラウンドを終え、プロショップに話を聞きに行きました。カメラを肩に下げていたのですが、「ここでは写真撮影は禁止されてるんだ。我々が提供する写真以外だと、イメージ・ダウンに繋がる恐れもあるから。ここはChoctaw(チョクトー)インディアンが管理する地域なので、写真掲載は彼等の了解を得て貰う必要がある」とのこと。

アメリカにはいくつもインディアン自治区がありますが、フィラデルフィアはチョクトーという部族が治めています。チョクトーはシャイな部族なので、アパッチだのスーなどのように有名ではありません。ここには彼等が経営する大規模なカジノもあります。

プロショップの男の話の続き。「了解無しで写真を使うと、チョクトー・インディアンが…」「私の頭の皮を剥ぐ」「その通り:-)。ジョン・ウェインが味方してくれない限り、あなたは助からない」恐ろし〜い!こうして無断で写真を掲載してしまったので、このページ(と筆者)の命運は間もなく尽きるかも知れません。

(July 20, 2001)


鉛を貼る

'Tale of The Tape'
by Editors of 'Senior Golfer' ('Senior Golfer,' July 2000)

単位としては巾1/2 inch(約1.3 cm)、長さ1 inch(約2.5 cm)の鉛テープが理想的。鉛は重さを増すだけではなく、ボールの軌道も変化させる。

【アイアン】

・フェース背面の下方に鉛を貼れば高い軌道、上に貼れば低い軌道となる。
・ヒール側に貼ればトゥ側が軽くなるので、インパクトでフェースがクローズになる。逆にトゥ側に貼ればインパクトでフェースがオープンになる。

【ウッド】

・ソール(底部)の前方(ターゲット方向)に貼れば、高い軌道が得られる。後方に貼れば飛距離が増す。

(July 20, 2001)


自己を統御する計略

'Three Mental Tricks'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2000)

「メンタルに強いという現象は、本来しっかりしたメカニクスの基本の上に出現するものである。スウィングの基本が構築されていないハイ・ハンデの人間が、メンタルに強くなることは所詮無理である。しかし、いくつかの計略が無いわけではない。

・スコアのためにプレイせよ、されどスコアを忘れよ

 矛盾しているように聞こえるだろう。『スコアのためにプレイ』というのは可能な限り少ない打数でボールをホールに入れることを指す。いい感触だとか、見栄えのいいショットとかは問題ではない。スコアではなくスウィングを考えていたのでは、心が千千に乱れるだけであり、不安を生じ、すべてにネガティヴになりがちである。

 ボールを前進させることに集中せよ。A地点からB地点に、もっとも効率よく安全に運べるルートを探せ。

 同時に、ラウンド中はスコア合計がどうなっているかを無視することに全力を尽くせ。そうでないと、連続した出来の悪いホールが気を挫く恐れがある。ワン・ショット、ワン・ホールのプレイに専念していれば、大きい数字を帳消しにするチャンスもやって来る。

・負け犬になるな

 不調の場合、苛々してはいけない。当たり前のことに聞こえるだろうが、忘れてはいけないのはあなたがミスを冒さないということは不可能であるということだ。ミスをチャンスに変貌させてしまう。

 例えば、ボールが木立に入ったら、それはいいリカヴァリー・ショットを打つチャンスであり、スマートに無傷で脱出するショットを披露して一緒の人々を驚かすチャンスでもある。あなたのそんなプレイを誰も期待していないので、彼等の考えを逆転させる好機である。

 ミスが連続した場合、周囲の連中はあなたがキレてしまうことを期待している。ワン・ショット、ワン・ホールのプレイにしがみつくことによって、上出来のプレイを連続させて満足感を味わうこと。

 

・ショットを予言せよ

 ラウンドの間、しょっちゅうボールを打っているわけではないので、自分の番に急に集中するのは大変難しいことである。心は常にさまよいがちなものだが、いずれにしても状況を読み、ボールに向い、スウィングしなければならない。

 どういうショットを打つか大声で宣言することによって集中せよ。簡単明瞭、かつ現実的に宣言する。宣言することによって、どうしたいかを確実なものにし、焦点を自分の目の前の仕事に引き戻すことが出来る。こうすれば、ショットの間にどんなことを考えようと大丈夫である」

(July 23, 2001)

予言の効用

ベーブ・ルースもホームランの方向を予言しました。あれはピッチャーを委縮させる効果もあったでしょうが、ホームランの軌道を視覚化する効果もあったでしょう。また、上の記事のように、「宣言することによって目的を確実なものとした」とも云えるでしょう。

つい最近のことですが、Alan(アラン)という中年男と廻りました。No.12 (253 yard) Par 4で、私のボールは2オンはしたものの、ピンから10mはありました。Alanが「パー・チャンスだね」と云うので、「バーディをとるつもりですよ」と答えました。傾斜のきついグリーンでしたが、慣れているので読むことは読めるのです。上りですから、そう難しくもありません。問題は強さだけ。ゴロゴロゴロゴロ。入りました!"I told you! I told you!"(云ったデショ!)と云いつつ、(これは誰か有名な人の台詞だったなあ)と思いました。

Pebble Beach(ペブル・ビーチ)におけるU.S.オープン 1982の最終日No.17で、Tom Watson(トム・ワトスン)がチップインさせた時の台詞でした。興奮して走り廻りながらキャディを指さし、"I told you!"と云ったのです。一打目が深いラフに入ったので、キャディは「どこまで寄せられるか」というようなことをモゴモゴ口にしました。Tom Watsonは「寄せるつもりはないよ。沈めるんだ」と宣言。その通りに実行したのでした。

(July 23, 2001)


「スウィングプロ」試用記

先日「80を切った、その日・暫定版」をお寄せ頂いた池本さんからの続報です。前回のリポートに「スウィングプロという練習器具を購入してから、アイアンの飛距離が伸び、ドライバーが安定した」とお書きになっておられました。詳しく知りたいという、私のリクエストに応えてお寄せ頂いた原稿です。

[Swingpro]

スウィングプロのリポートです。とは言っても、使い出して二ヶ月にもならないのでリポートなどおこがましいのですが、私の場合これを使い出してスウィングに大きな変化が現われたので、参考になればと思い再び拙い文章をお送りする次第です。

なお、販売元はhttp://www.e-golf.co.jp/swingpro/です。もちろん、私は関係者ではありませんので、「購入したが効果がない」と私や高野さんに苦情を言うのはお許しを。

この器具、見た目は普通のゴルフ・クラブなのですが、シャフトが大変柔らかい素材で出来ています。ぐにゃぐにゃ曲がります。ヘッド部分は柔らかいウレタン系の素材です。PGAのレッスンプロなどがタオルやロープの先に結び目やおもりを付けてクラブのように振るレッスン光景をご覧になった事は無いでしょうか?このレッスンはクラブヘッドに意識を持って行き、トップから自然な力(手振りでなく、身体全体)でスウィング出来るようにする為の物だと思うのですが、スウィングプロはそれを商品化した物だと思って頂ければ良いと思います。

[Swingpro]

さて、実際に振ってみます。ぐにゃぐにゃシャフトですから腕だけで力任せに振ることは出来ません。ゆっくりテイクアウェイしてトップの位置まで来ると自然に目標方向に垂れ下がり、肩の辺りにポンと当たります。当たって軽く跳ね返ってきたタイミングでダウンスウィングを開始します。ここで、自然な切り返しのタイミングを学ぶわけです。うまく体全体で振れればダウンスウィングからインパクト、フォロー、フィニッシュまでは普通のクラブと同じで、シャフトは曲がりません。ここでも手打ちになったり手首でおかしなねじりを入れたりすると気持ちよく振れなかったり、フィニッシュの後でヘッドが暴れて顔面を直撃したりします。

この器具でマスター出来るのは、正しいスウィングプレーン、トップからの自然な切り返しのタイミング、ダウンからインパクト時におけるコックのリリースのタイミング、手打ちの矯正、体のねじりのパワーをヘッドへ効率よく伝えるスウィングバランス、というところでしょうか。

使い始めた当初は、極端にボールが左右にぶれました。手首のコックが早かったり遅かったり、またヘッドの返りのタイミングがずれたりしたんだと思いますが、タイミングが分って来てから徐々に直って来ました。また、人によっては気持ち悪いぐらいシャフトのしなりがよく解るようになるそうですが、私はまだその域には達しておりません。

一番大きな変化は、ボディターンでトップからフィニッシュまでクラブをスムースに持って行くことができる様になったことで、それによってヘッドスピード、飛距離が大きく変わって来ました。アイアンでも適正と思われる高さで球が飛んで行きます。私の場合、ドライバーで10〜15ヤード、アイアンでも一番手以上は飛ぶようになりました。165ヤードのショートホールで、いつも6番で打っていた所が 7番でオーバー、という事もありました。

スウィングの力みが取れ、軽く振っている様に見えるにも関わらず良く飛ぶのですから、見た目にもカッコ良いです。もともとこすり気味のスライスが持ち球だったのですが、十分高さの出るフェードに変わり、大変良い感じです。

練習場などでスウィングしていると、黄色いシャフトで、ぶんぶん音がするので周囲の人が必ずおかしな目で見ますが、視線を集めておいておもむろにナイスショットをぶちかまして一人悦に入っています。目立つのが嫌いな人は、柔らかい素材ですから室内でもスウィング出来ると思います。

あと一息の上達に、飛距離アップの秘密兵器に、夢の70台に、是非おすすめです(しつこいようですが、私は関係者ではありません)。

(July 27, 2001)


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