Golf Tips Vol. 177

アイアンのインパクトを調べる

ドライヴァーは上昇軌道で打ち上げ、アイアンは下降軌道で落下するクラブヘッドと地面との間で、ボールを押し潰すように打つのが正しいとされています。ボールのターゲット方向でディヴォットが取れている人は、それが達成されていると考えられますが、そうでない人は次のテストを実施しましょう。

この記事はインストラクターの組織であるPGA of Americaの中の、GolfTec(ゴルフテック)というグループが'Golf Magazine'誌と提携して出版した本より。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David Denunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「今日のクラブは進歩した技術によって、以前のものより著しく許容度が高くなっている。しかし、高いお金を出した許容度の高いクラブでも、お粗末な打撃をすればお粗末なショットしか得られない。

あなたのアイアン・ショットがどのように打たれているか調べるには次のようにする。

1) ボールの赤道にドライ・マーカーで直線を引く。【記事の写真では赤いマーカー】
2) ボールに描いた直線をターゲットラインに揃えて地面にセットする。
3) ボールを打ち、クラブフェースのどこに、どの程度マーカーの痕がついているかチェックする。
4) 多分あなたのスウィングは一定していないだろうから、上の手順を10回繰り返す。

その後、次のように結果を分析する。

【合格】

・インパクトの痕がクラブフェースの中央についている場合。これは良いスウィング軌道と、ターゲット方向に傾斜した(ボールを押し潰す)インパクトを達成した証しである。

マーカーの痕は長ければ長いほど良い。これは、あなたが掬い打ちではなくボールを押し潰していることを示している。これもまた、クラブシャフトをターゲット方向に傾斜させている良いスウィングをした印である。

 

フェース下方のグルーヴ(最初と二番目の溝)に土が付いているのは、あなたが適度に浅いディヴォットを取っている証拠である。クラブシャフトをターゲット方向に傾斜させたスウィングをしないと、こうはならない。

【落第】

・マーカーの痕跡がクラブフェースのトゥやヒールに付いている場合。これはクラブフェース角度が悪い印である。

・もしマーカーの痕がフェース上方にあるなら、シャフトを過度に寝せて急角度のインパクトを迎えている証拠である。

・マーカーの痕がクラブフェース底辺にあるか、最初と二番目のグルーヴに全く土が付いていない場合、シャフトを後方に寝せた掬い打ちをしていることを示している」

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「落第」だった人は、次項「正しいアイアン・ショットのための二つの練習法」を試しましょう。

(October 02, 2016)

正しいアイアン・ショットをするための二つの練習法

 

 

アイアン・ショットは下降軌道でボールをクラブヘッドと地面との間で押し潰すように打つのが正しいとされています。それを可能にする絶妙の練習法。

この記事はインストラクターの組織であるPGA of Americaの中の、GolfTec(ゴルフテック)というグループが'Golf Magazine'誌と提携して出版した本より。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David Denunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

 

① タオルに触れずにボールだけ打つドリル

ボールから10センチ離した地点から後方にゴルフ・タオルを広げて平らにする。あなたの目標はそのタオルに接触しないで、ソリッドにボールを打つことだ。それが可能な唯一の方法は、インパクト・ゾーンで両手をクラブヘッドに先行させ続けることしかない。

その実行に困難を感じたら、手・腕の動きより身体の回転を多くするように。

上の練習に慣れたら、今度はタオルをボールから5センチ離して広げる。タオルがこれだけ近いと、あなたの日頃目立たない欠点が曝け出される。

この練習法は、クラブ・シャフトを前傾させる必要性を強調させるだけでなく、過度な下降で誤摩化すスウィングが役に立たないことも明らかにする。

【ヴィデオ】https://www.golftec.com/parplan 「18—22」セクションの「Drill 5.1」View Drill をクリック。

 

② ボールと名刺を一緒に打つドリル

 

名刺かそれに類した紙のカードを用意する。屋内であればスポンジ・ボールを用いる。ボールの前方に4センチ離して名刺を置く、あなたの目標は、通常の半分のスピードのハーフ・スウィングで、ボールと名刺を一緒に打つことだ。

ボールと名刺を一緒に打つことは、クラブシャフトが前傾した素晴らしいインパクトを迎えていることを示す。その際、あなたは二種類の音を聞く筈だ。1) ボールが打たれた音、2) パチン!と名刺が弾ける音。

もし名刺を打てないとしたら、あなたのスウィングの最低点が正しくないのだ。早めに掬い上げているか、クラブが両手に先行しているかどちらかだ。

もしこのドリルに困難を感じたら、スローモーションを試してみられたい。これを屋内で習熟したら、練習場に赴いて普通のスウィングで試してみる」

【ヴィデオ】https://www.golftec.com/parplan 「18—22」セクションの「Drill 5.4」View Drill をクリック。

(October 02, 2016)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のアイアン戦略

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。

[Lesson Tee]

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc., 1977)

「・ハードパン(裸地)

ハードパンは柔らかい地面から打つよりも、ボールが低く出てランが増える原因となる。これを克服するには、私は通常より1クラブ長い(ロフトの少ない)ものを選び、それを短く持ってクラブフェースをオープンにし、ターゲットの左を狙って意図的なカット・ショットを打つ。ボールは高く出てソフトに着地する。裸地では掃くようなスウィングではなく、ヒットダウンする。こうすればエラーを減らすことが出来る。

・50〜80ヤードのショット

この距離はウェッジの3/4スウィングか、1/2の9番アイアンのスウィングで、ゴルフ・ショットの中で最も手強いものの一つだ。

あなたはこのテのショットをハードにでもソフトにでも打てるが、どんな場合も同じ強さで打つべきである。打つ度に強さを変化させてはならない。一般ゴルファーの多くはしっかり打つとベストの結果が得られ、減速するミスを防ぐことが出来る。どの強さで打とうとも、必ず充分な長さのバックスウィングをすること。素振りで正しいスウィングの長さと強さを感じ取り、それを再現する。

・高い軌道のショット

これはどんなゴルファーもレパートリーに入れておくべきショットだ。コツは簡単。ボールを左足爪先の正面にし、クラブフェースを少しオープンにして普通に打つ。

・パー3でのアイアン・ショット

ボールを高くキャリーでピンまで運びたい時は普通よりティーアップを高くする。こうすればスウィング弧の最低点で掃くようなスウィング(ダウンブローではない)でソリッドにボールを打てる。

・ショート・アイアンで乗せる

着地点の狭いグリーンに乗せたい場合、私は高く上がってソフトに着地するショットをする。

先ず、私はゆっくりしたイーズィなスウィングであるものの、なおかつしっかりとコントロールする必要性を感じる。次に、クラブフェースを僅かにオープンにする(これは最高に高い弾道を得るために必須)。スウィングの間、左手のグリップを固くするが、右手がヒッティングを統括する。これは扱いにくいショットであるが(特にライが悪い場合に)、練習によって自信をつければ打数を減らすのに役立つものである」

(October 02, 2016)

グリップ別・最適ボール位置の発見

 

「体型別スウィング」(tips_54.html)の共著者の一人で、生体力学の博士号を持つPGAインストラクターDr. Jim Suttie(ジム・サッティ博士)による、ゴルファーのグリップ・スタイルにとって望ましいボール位置とテイクアウェイの組み合わせ。
【御注意:以下はアイアンの例です】

'Handy advice'
by Jim Suttie with Lorin Anderson ('Golf Magazine,' September 1997)

「・ストロング・グリップ

あなたがアドレスで、(両手をターゲットと反対側に廻した形の)ストロング・グリップを採用しているのなら、ボールと両手はスタンス後方に位置するようにすべきだ。これはバックスウィングでクラブヘッドをターゲットラインのかなり内側に引くことを促進する。これはまたボールとの早期のコンタクトを促し、フックを生じる可能性を減らす(何故なら、ストロング・グリップはダウンスウィングの早期にクラブフェースをスクウェアにするからだ)。

・ウィーク・グリップ

あなたが(両手をターゲット側に廻した形の)ウィーク・グリップを採用しているなら、ボールと両手はスタンスのかなり前方(ターゲット側)に位置させるべきだ。これはバックスウィングの初期にクラブヘッドを両手の外側(アウトサイド)に保ち、急角度のスウィング軌道を生むことを促進する。それはまた、インパクト前にクラブフェースがスクウェアになるための時間の余裕を与えるため、スライスの可能性を減らす。

・ニュートラル・グリップ

あなたが(両手の親指と人差し指の間に出来る"V"の字が顎と右肩の間を指す)ニュートラル・グリップを採用しているなら、あなたのバックスウィングはスウィング軌道上にあり、クラブフェースはインパクトでスクウェアになる筈だ。5番アイアンの場合、ボールを左踵から5センチ内側にする」

 

(October 05, 2016)

グリップの型による飛距離の変化

 

これはある一人の上級ゴルファーが異なるグリップでドライヴァーを振ったらどうなるかを、ローンチ・モニターで調べた珍しい実験。筆者はインストラクターの組織であるPGAの中の、GolfTec(ゴルフテック)というグループの現会長を務めるAndy Hilts(アンディ・ヒルツ)。

'We proved it! Grip style makes a difference'
by Andy Hilts ('Golf Magazine,' January 2011)

「Tim Bryant(ティム・ブライアント)はハンデ4で、ドライヴァーをソリッドに打つことが出来る上級プレイヤーである。しかし、彼も(他のゴルファーと同じように)彼のスウィングにマッチしないハンドルの握り方をすると、最適化されたローンチ・アングルが得られなくなる。

 

ウィーク ストロング ニュートラル
攻撃角度 -4.18°5.92° -1°
ローンチ角度 16.6° 10.7° 12.2°
バックスピン (rpm) 4,806 1,090 3,148
サイドスピン (rpm) 1,044 右回転 53 左回転 580 右回転
クラブ速度 (m/s) 46.9 46.9 47.4
ボール速度 (m/s) 65.2 69.3 68.8
キャリー (ヤード) 232 234 267
ラン (ヤード) 9 28 15
飛距離合計 (ヤード) 241 262 282

 

 

われわれは被験者Tim Bryantに三種類のグリップで五回ずつ打って貰い、それをローンチ・モニターで分析した。その結果は、どのグリップにおいてもスウィング速度は似たようなものだったが、それぞれ過激なまでに異なるボールの飛行を生み出した。

・ウィーク・グリップ

これは最高のローンチ角度と軌道を生むが、同時に急激に下降する角度によって、ランが最も少ない。これがいけないとは必ずしも云えない。スウィング速度の遅いプレイヤーは、一般的に最大飛距離を得るために高い軌道を必要とするからだ。だが、被験者のように速いスウィングの持ち主がウィーク・グリップをすると、大きなスライス・スピンとバックスピンを生んでしまう。

・ストロング・ウリップ

これは被験者に最高の平均攻撃角度(5.92°)を与えてくれた。これは意外ではない。このグリップはアドレスで背骨をターゲットの反対側に傾げさせる傾向があり、上昇気味のインパクトを促すからだ。多くの実験で、このように打ち上げることがパワーに繋がることは既に証明されている。

・ニュートラル・グリップ

このグリップによる平均飛距離は、ウィーク・グリップより40ヤード長く、ストロング・ウリップより20ヤード長かった。被験者は彼のローンチ・コンディションを、このニュートラル・グリップによって最適化した場合、他のグリップよりも安定した良いスウィングを達成した」

(October 05, 2016)

パーム・グリップは遅い

インストラクターCarol Preisinger(キャロル・プライシンガー)によるスウィング速度アップの秘訣。

'Golf Magazine: The Best Instruction Ever! Expanded Edition'
edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2012)

「あなたの手はあなたのスウィングのパワー源の一つである(他の二つは腕と捻転)。手を正しく用いるには、クラブを指で握ることから始めなさい。メイジャー・リーグの投手を考えよ。彼が火を吹くようなボールを投げる時は指でボールを握る。投手が緩い球を投げたい時はパーム(掌)でボールを握る。

あなたがクラブをパームで握ると、クラブをリリースする能力を制限することになる。パームはまた、クラブをきつく握らなければならないため、緊張を作り出し、クラブヘッド・スピードを劇的に低下させる。

どれほどフィンガー・グリップが重要か?それはあなたがさらなるパワーを追求する際、いの一番に考慮すべきことなのだ」

(October 05, 2016)

生命線を頼みの綱とせよ

生命線でパターを握るのは今や常識ですが、このtipはフル・スウィングする時のためのもので、飛距離増に役立つそうです。原題の"lifeline"(ライフライン)の語義には「命綱、救命索、頼みの綱、(手相の)生命線」などがあります。

'When to call on your lifeline'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' January 2011)

バックスウィング開始と同時に、右手の生命線を左手親指の側面に押し付ける。この穏やかな圧力が、両腕を身体から離してスウィング弧を広げ、エクストラのテコの作用とパワーを生み出す。

ダウンスウィングでも右手生命線の左親指へのプレッシャーを維持する。これには二つの役割がある。1) スウィング弧を広げ続ける、2) 右手首があまりに早く伸びてしまうことを防ぐ。これによってボールに最大のエネルギーを伝えることが可能になる」

(October 05, 2016)

ベスト・スコアのためのショット・メーキング作法

 

80を切る、パーで廻る、アンダーで廻る…等のベスト・ラウンドはどう達成すべきか。下記の本はインストラクターの組織であるPGAの中の、GolfTec(ゴルフテック)というグループが'Golf Magazine'誌と提携して出版したもの。『30日でパープレイを目指すプラン』という趣旨なのですが、私は沢山詰まったTipと情報の本として読んでいます。

「ショット・メーキング」とは、ボールの軌道を高・低・左・右等に意図的にコントロールする打法のことです。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David Denunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「ショット・メーキングには、スマートな(賢い)ショット・メーキングと、無謀なそれとの二つがある。以下の注意事項を厳守すれば、いくつかの打数を減らし、いくつかのボールをロストしないで済むこと請け合いである。

・トラブルを確実に排除する

グリーンの周囲にトラブルが待っている場合、あなたが自信を持って打てる持ち球でないショットをするのは熟考すべきことである。ペナルティを受ける危険があるなら、信頼出来るスウィングをすべきであり、それはあなたの持ち球である。他のスウィングをするのが賢く思えたとしても、あなたの持ち球で少なくともグリーンに達せられるのなら、危険を犯すべきではない。

・ハザードの上空でボールを曲げるな

ピンがグリーン右側に切ってあり、そこへ打とうとするフェードがハザードの上を通過せねばならないのなら、そのフェードは止めるべきだ。いいスコアを記録する鍵は、絶対にハザードを避けることである。それがボールの飛行の開始点であれ終了点であれ。これはティー・ショットにも適用さるべきことである。

 

・キャリーに慎重であれ

ハザードをキャリーで越えられるかどうか、一抹の不安があるならその試みはすべきではない。確信もないのに、水の上を165ヤード飛ばそうとしてはいけない。もっと長いクラブを選ぶべきだが、そのクラブに自信がないなら、トラブルの手前に刻み、次のショットに望みを託すことだ。

・慣れていないショットをコースで試すな

練習場で練習したことのないショットをラウンドの最中に試みてはいけない。たとえ練習してあったとしても、練習場で少なくとも75%の成功率を達成していないのなら、それをショット・メーキングの選択肢に入れるべきではない。

・身体の動きの早さでボールをカーヴさせよ

ドローを打つ時には、ダウンスウィングの身体の回転をゆっくりにする。これは、インパクトにかけてクラブヘッドの回転(返し)を容易にする。

フェードを打つ際は、ダウンスウィングの身体の回転を早くする。これはインパクト・ゾーンでクラブフェースをオープンにし続けてくれる。

・冒険主義に走るな

ライが悪過ぎ、信頼出来る救出ショットでもグリーンに運べないようなら、諦めてウェッジでボールをフェアウェイに戻すべきだ。常に英雄的ショットをする必要はないし、成功率が低い場合はなおさらだ。

・ハイ・フェードよりロー・ドローを検討せよ

ターゲットまで8番アイアンより長いクラブが必要な場合、ハイ・フェードでなくロー・ドローを用いるべきだ。その理由は、長いクラブではフェードよりドローを打つ方が容易であることと、また長いクラブでは高く上げるより低く打つ方が簡単だからだ。

・ボールを後方に置け

状況が許すなら、ボール位置をスタンス後方にすべきだ。これはインパクトでロフトを減らすため、例えば6番アイアンを5番アイアンに、5番アイアンを4番アイアンに変えてしまう。ボール位置を変えることによって、短いクラブで長い距離をカヴァー出来るわけだが、短いクラブが長いものより扱い易いのは理の当然である」

(October 09, 2016)

ラグでぶっ飛ばす

'Lag behind for mammoth drives'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' October 2016)

[Ben]

「あなたが飛ばし屋となって仲間のボールを追い抜きたければ、スウィングにラグがもっと必要だ。ラグは、インパクトで両手に追いつくまで、クラブヘッドが両手に遅れて降下するダウンスウィングの感覚である。鞭のようなこの動きは、ロングヒッターたちがトップまでに蓄えた膨大な量のエネルギーを、正しい瞬間にボールに与える役目をする。

《広く→狭く→広く…と、スウィングせよ》

先ず、出来るだけワイドにバックスウィングする。「広く→狭く→広く」の最初の広い部分。この広さが、あなたが作り出す捻転のエネルギー量を最大にする。それはまた、右手を伸ばしてクラブヘッドを早期にリリースすること(=インパクト前にエネルギーの大半を使い果たしてしまう動き)を防いでくれる。クラブを後方に引きながら、左手を地面と平行になるように努め、胸を空に向かって回転させているかのような感覚を得るように。これは両方の腕を伸ばし、バックスウィングのトップであなたにパワフルな姿勢を構築する。

ダウンスウィングの半ばで、バックスウィングの時に達成した左腕が地面と平行の位置へ戻るように努めるのだが、違うのは右肘が地面を指すように右手を折ること。ダウンスウィングで右手を折れば折るほど、インパクトで右腕を真っ直ぐ伸ばす時にさらなるスピード増が望める。ターゲットに向かって腰と上体が振り解かれる時、右肘が地面に引っ張られるような感覚を得るように。それが手の動きからクラブヘッドを遅らせ、左前腕とクラブシャフトとの間の角度を狭める。これが「広く→狭く→広く」の狭い部分である。

最後に、折っていた右肘をインパクトで伸ばし、狭くしておいた角度を広げながら、両手をターゲットに向かってパワフルに伸ばす。この真っ直ぐな状態を続ければ続けるほど、ボールに余分のエネルギーを与えられる。この「広く→狭く→広く」の最後の広い体勢は鞭をバシッと弾く動きに等しい。それがあなたの仲間のボールを追い越すエクストラの爆発を生み出す源である」

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驚きました。このtipを掲載した雑誌が届く前に、私はこれを実行していたのです。私は低く長いテイクウェイをしていますが、その後「開眼・自然にコックする」(tips_175.html)に記したように、右肘を折るのと最終段階の捻転とを同時に行うと、自然なコックが実現することに気づきました。コックを意図するのでなく、右肘を畳む副産物として手首がコックされるという発見です。これを始めてから方向性が抜群に良くなり、飛距離も伸び始めました(コックするのだから当然)。

私は我知らず「広く→狭く→広く」のスウィングをしていたことになります。到底右肘が腰の高さまで狭い角度を維持するように落下してはいなかったでしょうが、ある程度それに近いことが起っていたのだと思います。今後は意識的に右肘を下に長く引っ張るように努力したいと考えています。

(October 12, 2016)

ラグをマスターする練習 [Webb]

昔、下記に似たドリルを試したことはあるのですが、「こんな方法が役に立つのだろうか?」と半信半疑だったため、長続きしませんでした。このtipは、インストラクターの組織であるPGA of Americaの中のGolfTec(ゴルフテック)というグループが'Golf Magazine'誌と提携して出版した『30日でパープレイを目指すプラン』に含まれています。講師陣が真剣であるだけに、この練習法も役立つような気にさせられます。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David Denunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「このドリルにはウェッジを用いる。シャフトが短いので、家の中でスウィングしても家具や電球を壊す恐れがない。この練習の目的は、ダウンスウィングにおいて肩があまりにも早く回転すること(それは手打ちとアウトサイド・インのスウィングのNO.1の原因である)を防ぐことにある。

ボール無しで単純にアドレスし、バックスウィングのトップを形成し、一時停止する。身体の他の部分を一切動かすことなく、手・腕・クラブを腰の高さまで落下させる。意図的に引き下ろすのではなく、重力に任せて落とすのだ。そこから振り抜いてインパクトを経てフル・フィニッシュへと向かう。

上のストップ・モーションを、次第に流れるような動きへと融合させる。落下させるのであって、肩を廻さないこと」

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ものぐさで無謀な私は、この方法をろくに練習もせずに本番で試してみました。盛大なプッシュ。フェースが極端なまでに開いていたからだと思われます。家で練習してみました。腰の高さまで(肩を動かさずに)落下させるのですから、ボールを打つのは腰の高さから始まる…と云っていいわけです。もっと云えば、両手が腰の高さのバックスウィングでボールを打たねばならない。こりゃまるでチッピングです。

チッピングのバックスウィングで、5番アイアンなら160ヤードとか、ドライヴァーなら250ヤード飛ばそうなんて、凄く速い腰の動きと手の動きをもってしても無理な話に思われます。しかし、Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア)はトップから手・腕・クラブを落下させていながら平均298ヤード飛ばし、ツァーで上から数えて33番目の飛ばし屋だそうです。どういうことなのか?コックを保てば、不可能が可能になるのでしょうか?

伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)は、レイト・ヒット、レイト・アンコックの極意として「ダウンスウィングの開始で右肘を身体に引きつけることと左膝を目標方向に移動させることを同時に一挙動でやる(二挙動では駄目)」と云っています。上記の練習では「身体の他の部分を一切動かすことなく」と書かれているのですが、これはちょっと不自然で、左膝をターゲット方向に送りつつ「手・腕・クラブを腰の高さまで落下させる」方が自然のように思われます。

【ヴィデオ】https://www.golftec.com/parplan 「1—5」セクションの「Drill 1.3」View Drill をクリック。

(October 12, 2016)

スウィング・スピードの科学

インストラクターMichael McTeigue(マイケル・マクティーグ)の会社SportSense, Incが調査研究に七年かけたというプロとアマのスウィング構造の比較、これはそのうちのスウィング・スピード(ヘッド・スピード)に関する分析結果です。

'Science of swing speed'
by Michael McTeigue with Lrin Anderson ('Golf Magazine,' March 1997)

「これまでの連載で、私は次のような結果を報告して来た。

・背骨の横方向への傾斜

プロはバックスウィングで身体を左へは傾げず、ダウンスウィングでかなり右へ傾げる。

・上体と腰の回転の混合

プロの肩と腰の回転のギャップは、典型的なアマチュアのそれより大きい。

・体重移動

プロはダウンスウィングの間に後方の足に多くの体重を移し、インパクトで前方(ターゲット方向)の足により多くの体重を移動させる。

・グリップ圧

プロは軽めのグリップ圧でスタートし、スウィングの間じゅうその軽めの圧を維持する。(最も重要な点はダウンスウィング時のフル・コックがさらなるパワーを生むことである)

 

今回、最後のショッキングな事実を伝えようと思う。ツァー・プロはバックスウィング、ダウンスウィング双方ともアマチュアより早い。嘘ではない。プロたちの動作は、リラックスしスローダウンしようと自分に云い聞かせるアマチュアより早いのだ。クラブがスウィングをスタートしてからバックスウィングのトップまで、ツァー・プロの平均は0.80秒で、アマチュアの平均は0.91秒である。ダウンスウィングの開始からインパクトまでプロの平均は0.29秒、アマチュアは0.38秒である。プロたちがもっと印象的なのは、上体の回転の度合いは似ているのに(プロは88°、アマは84°)プロたちの身体はインパクトでターゲットに対し遥かにオープンになる(26°対14°)という事実である。その意味するところは、プロたちはダウンスウィングの速度が24%も早いだけでなく、16°も多くターゲット方向に回転しているということだ。

 

この凄いクラブヘッド・スピードは、意図的に最大の腕のスピードを上げようという努力ではなく、急速な上体の回転から来ている。プロたちの充分に捻転した上体に蓄えられたパワーは早い回転を生み、彼らの腕とクラブは急速な身体の回転に同期して流れるように動く。

アマチュアが『あまりにも早くスウィングしちゃった』と云う時、実際のところは腕が上体の回転と同期することなく、クラブを早漏気味に引き下ろしたというに過ぎない。

次に説明する『回転木馬ドリル』によって、上体のフル・ターンを練習し、身体の回転に同期して腕を動かすべきだ。手首と腕をリラックスさせ、手首の自由なアンコックがインパクトで最大のスピードを生むようにさせる。この『回転木馬ドリル』によって、効率的な上体の回転の影響下にあるスウィングに伴うパワフルなアンコックを感じ取ることが出来る。

【回転木馬ドリル】

・ステップNo.1

上体の回転と自然な手首のアンコックによって生成される凄まじいクラブヘッド・スピードを感じるには、通常のセットアップでスタートし、次いで背筋を伸ばして立ち、クラブシャフトが地面に水平になるように腕を胸の前に突き出す。そのまま可能な限り後方(ターゲットと逆方向)に捻転し、手首をフルにコックする。クラブを水平にしたまま身体を出来るだけ早く逆転させる。身体の逆転につれ、遠心力が自然に手首をアンコックする。

・ステップNo.2

上と同じバックスウィングをするが、そこで『ワン、ツー』と二つ数える。数えながら上体の回転は充分であるか、腕はリラックスしているかをチェックする。これは身体の逆転をスピードアップし、ダウンスウィングで最大のコックを作り出す」

(October 12, 2016)

スクウェアに振り抜くインパクト

これは「パー3ではスクウェアに打とう」(tips_169.html)の続編です。あちらでは主としてパー3でのインパクト体勢について述べたのですが、その後、ドライヴァーからパターまで、同じ体勢を取ろうと努力しています。

何故狙った通りボールが飛ばないのか?それは、私のスウィングが円弧を描いているせいだと思われました。インパクトで腰がオープンになるのは、これは下半身主導でラグを達成するために欠かせない動きです。しかし、インパクトで頭も上体も左を向くと、多くの場合フックスピンがかかって左へ、あるいはスライススピンがかかって右へ行きがち。写真のPaula Creamer(ポーラ・クリーマー)のようにクラブをターゲットラインにスクウェアに振り抜けば、サイドスピンは掛からない理屈です。

もちろんこれはスウィングの一瞬を捉えた映像であって、プロもアマもこの一瞬後はクラブと手・腕・上体を円弧を描きながら左後方へ廻します。しかし、あのBen Hogan(ベン・ホーガン)でさえ、インパクトの瞬間を長引かせようと努力したのです。バックスウィングのトップでプロネイト(凹に)した左手首を、インパクトでスーピネイト(凸に)したのがそれです。下手っぴな私でも、スクウェアなインパクト・ゾーンを長引かせようとしたっていい筈です。

われわれはバックスウィングでターゲットに背を向けるのが恐い。ターゲットに向かい合わないと不安でたまらない。だから、インパクトでも身体をいち早くターゲット方向に向けたくなる。私の深層心理はそういう感じだったでしょう。写真のように顔も上体もターゲットを無視するかのように正面を向いたままのスウィングは恐いのです。

私は、バックスウィングでターゲットに背中を向ける恐怖は既に克服しています。となれば、インパクトまでその努力を継続出来ない筈はありません。行動開始。ある日のラウンドでティーからグリーンまで試してみました。左肩をターゲットに向けたままオープンにしないように我慢し、肩の線と平行にクラブを振り抜く。この日、長いクラブも短いクラブも、方向性はほぼ完璧でした。スクウェアなインパクト大成功。

 

私は「ラグをマスターする練習」(10/12)の、「(ダウンスウィングの開始は)トップから手・腕・クラブを腰の高さまで落下させる」をマスターしようと試みていますが、特にフェアウェイ・ウッド、ハイブリッド、アイアンなどで、その「落下」を僅かでも実現させると、スクウェアに振り抜くインパクトも達成し易いように思います。「落下」は円運動とは無縁の動きなので、スクウェアなインパクトと絶妙に連動出来るのでしょう。

パッティングでのスクウェアなインパクト志向は、ルックアップを防いでくれるため、ルックアップが肩をオープンにするのを防いでくれます。これは以前からの努力目標でしたし、出来るだけやっているつもりでしたが、残念ながら毎回必ず実行出来ていたわけではありません。ですが、ティーからピッチ・ショットまでスクウェアに振り抜く動作を習慣にし続けると、パッティング・ストロークでも同じことが自然に出来るようになります。これはありがたい副産物でした。

(October 23, 2016)

花模様でパット

細貝隆志さん(http://putt-aiming.sports.coocan.jp/)が自費出版された『パット・エイミング教本』(tips_124.html)には「あなたはもう迷わない!パットの狙いにはちゃんと法則があった」という副題がついています。"aiming"(エイミング、狙うこと)に的を絞った技術書です。

[pattern]

左の図を細貝さんは「花模様」と呼んでいます。カップ(白い丸)に入るパットの軌跡を数多く描くと、図のような模様になるそうです。グリーンの傾斜の強弱次第で、軌跡のカーヴの度合いが変わります(図はきつい傾斜の例)。「どの方向から打つ場合も狙いポイント(赤い丸)は一つ」というのが細貝さんの発見です。どの地点からでも赤丸を狙えば、傾斜の影響でボールはカップ(白丸)に沈む…という法則を表しています。

実は先日、この図にそっくりのきつい傾斜のパー3のグリーンにワンオンさせました。ボールはカップの右横3メートルへ。図は12時から6時方向に下っているという想定ですが、私が乗せたグリーンは図を少し右回転させたように、1時から7時方向への急な下りとなっています。ボール位置からカップへは上りで、カップの直前から急な下りになるという、非常に過酷なライン。他のチーム・メンバーが寄せている合間を縫って、カップの向こう側へ廻って読んでみました。細貝さんの花模様を脳裏に描き、カップに入る軌道を視覚化。私の場合は図の6時の垂直の線から右へ六本目のラインに相当する軌道に思えたので、狙いポイントをカップの約25センチ上と決めました。

ボールの背後へ廻って再度読んでみました。時々、これら二つの地点で読みの変更を迫られることもあるのですが、今回は全く変わらず。この間に他の三人は全員パットに失敗。このグリーンに慣れている筈なのに、みな傾斜を甘く見てアマ・サイドに外し、いずれもごろんごろんと数メートル下へ。

私は「みんなが失敗してるんだから、おれが失敗しても責められる謂れはない」と、別に意気込むことなくアドレス(以前は「皆が失敗した以上、自分が頑張らねば…」と緊張したものでした)。予定通りカップの25センチ上を狙い、最後にカップを一瞥、(距離は3メートルだが、上りだから3.3メートルぐらいとしてパットしよう)と決断しました。方向はもう全く心配せず、バックストロークの長さだけに神経を集中。私は頭を動かさず肩をオープンにすることもなく、完璧にスクウェアにストロークを実施。他の三人が驚き、私も驚いた。ボールは、カップの右上からど真ん中へ転げ込んだのです。

細貝さんが助けてくれたバーディでした。感謝。

【参考】『パット・エイミング教本』は http://www.amazon.co.jp、http://bookweb.kinokuniya.co.jp、http://www.tsutaya.co.jp、http://books.rakuten.co.jp、http://www.hmv.co.jp…など、多くのオンライン書店が扱っています。

(October 23, 2016)

ラインを反対側から見ることの重要性

私の仲間たちのほとんどは、ボールの後ろにしゃがんでラインを読むなどということをしません。ましてや、カップの向こう側に廻って読むなんて問題外。ラインの低い方の側から勾配をチェックする人も皆無。ま、常連としてどのグリーンの傾向も熟知しているという(過剰な?)自信のせいかも知れませんが、カップの位置は日々(とは云えなくても、少なくとも十日に一度は)変わるのですから、直感だけに頼るのは危険な筈。

私が一緒に廻るほとんどのゴルファーは、自分が最もピンに近く(といっても3メートルとか5メートルですが)寄せた場合、「へへ、どんなもんだい」とグリーンの端に突っ立って仲間の寄せを見守るだけで、ラインを読み始めたりしません。私には時間を浪費する彼らが馬鹿に見えます。

私はみんなが寄せる合間に、彼らの邪魔にならないようにしながら、先ずカップの後ろからボール方向を見て、ブレイクを読みます。本当は先ずボール後方から読み、その後でカップの後ろに廻りたいところですが、それでは仲間を待たせることになってしまいます。どうせボールの後方へはパットする前に廻るので、先にカップの後ろに廻るわけです。

[Line]

「花模様でパット」(このページ上)もNo.4(175ヤード)パー3で、カップの後ろからの読みでバーディが得られたケース。その後のラウンドの同じホール、今度はカップはかなり奥の右に切られていました。私が先ずカップの左2メートルにワンオン。別の男が右1.5メートルにワンオン。私は2オンさせる男と、10メートル以上のパットをする男との合間に、カップの後ろに廻って、ボール二個分カップの上からなだらかなカーヴ【註】でカップインするボールを視覚化。やや下りなのでスピードに注意。またもやバーディ。

【註】『パット・エイミング教本』(tips_124.html)には、右図のA→Bのラインをはじめいくつかの「ラインの一般的な形」が掲載されていますが、これらのイメージは視覚化にとても役立ちます。

本日はNo.8(300ヤード)パー4で、ピンの上1.5メートルに2オン。他の連中が寄せてる間に、カップの下から読みました。左に切れる下りですが、このグリーンは遅いと分っているので、上からだとブレイクはボール一個分左を狙えばよいと判断。もう一人私より遠くへ2オンした男がバーディ・パットに失敗。ボール後方からラインを視覚化し、「パターを照準器として精密にラインを狙う方法」(tips_161.html)で狙いを定めた私は、オーヴァーすることだけを恐れて強過ぎず弱過ぎず、頭を残してしっかりストローク。バーディ。

もちろん、8〜10メートルもあるパットではラグ・パットをするので、カップの後ろに廻ったりしません。また、時間のない時は普通にボール後方にしゃがんで読むだけにします。しかし、二方向から読むのはかなり強力です。時によって、ブレイクが反対に見えることもありますが、その際はボール後方からの読みを優先します。

(October 26, 2016)

ピッチングにピッチングウェッジは使わない

 

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)によるピッチングの極意。

'The Only Golf Lesson You'll Ever Need'
by Hank Haney with John Huggan (HarperCollins, 1999, $25.00)

「私が考えるピッチングの定義は、《通常、芝の上からサンドウェッジで打たれる短いショット》というものだ。典型的なピッチ・ショットは90%空中を飛び、地面を10%転がる。

奇妙なことに、ピッチングウェッジでは絶対にピッチ・ショットをしない。このクラブの命名は間違っている。ピッチングウェッジはフル・ショットかチッピングのためのもので、ピッチ・ショットをするためのものではないのだ。地面が固く風の強いスコットランド辺りでは、ピッチングウェッジでピッチ・エンド・ランをするだろうが、それは長いチッピングであってピッチングには該当しないとも云える。

いずれにせよ、真のピッチングではサンドウェッジを用いる。そのリーディングエッジは砂に潜り、底部のバウンスは砂の中でヘッドを滑らす役目をする。あなたがクラブフェースをスクウェアにしてボールを打つと、ボールは高く上がらず、ヘッドで地面を掘る傾向が出てしまう。だから、バンカー・ショットと同じようにフェースを寝せてオープンにし、それからグリップを固める。こうすれば、ロフトを増し、クラブヘッドはボールの下をスライドする。

オープンにしたフェースだとボールを右に打ってしまうんじゃ…などと想像して怖がってはいけない。実際には、フェースをオープンにすればするほど、ボールの下を打つことが可能になる。あなたのボールとの接触点は、ややボールの内側だろうが、大部分ボールの下側であって、ボールを空中に舞い上がらせる。

クラブフェースをオープンにしたら、それに合わせて身体もオープンにする。ボール位置はスタンスの前方にするが、体重は左右の足に均等。

スウィングの勢いは、主に両腕で作られるが、コックも重要である。ピッチングは掃くようなスウィングであり、大きなディヴォットを取ったりしない。ボールの下でクラブヘッドを滑らすだけだ。ピッチングの下手なゴルファーは、ボールを宙に浮かべようと手を使い過ぎる。その仕事はクラブのロフトが担当するのだから、あなたがやる必要はない。

スウィングは両肩を結ぶ線に沿って開始するべきであって、爪先を結ぶ線に沿ってではない。肩は普通両足ほどオープンではない筈だ。真に高あ〜いロブ・ショットを打つ時だけ、肩も両足と同じようにオープンにし、爪先を結ぶ線に沿ってスウィングする。

 

[square]

バックスウィングで最も重要なのは、シャフトが地面およびターゲット・ライン双方に平行になる時点だ(左図)。この時、クラブのトゥは上向きでなくてはならない。右手首はどちらかと云えばフラットであるべきだ(もし、右手首を後方に折ると、クラブは身体の後方に廻り、フェースをクローズにしがちになり、地面を掘る結果となってしまう)。

ピッチングのアドレスでは、少なくとも僅かにクラブフェースをオープンにし、スウィングの間じゅうオープンにし続ける。さりながら、クラブフェースをオープンにし過ぎて害があるわけではない。フェースをオープンにするプレイヤーは普通ピッチングが上手で、フェースをクローズにする人は苦労が絶えない。

ピッチングに問題があるゴルファーは、多くの場合フル・スウィングのスタート時点でも問題を抱えている筈だ。ピッチングの最初の部分は、実際にはフル・スウィングの開始と全く同じなのである。フル・スウィングでは、初期の過ちを途中で修正するチャンスがあるが、スウィング幅の短いピッチングでは、そんな風に修正をする時間の余裕がない。だから、ピッチングはあなたのスウィングの第一段階の弱点を曝け出すものだと云える。

ボールを高く上げたい時は、スタンスを広げ、膝を折り、股関節から屈む。重心を下げるため、ボールから離れて立つ。これらの変更は、アドレスで両手を低くする効果がある。高いボールを打ちたければ、両手を下げる。すると、クラブの物理的ロフトにさらにロフトを加えることになる。

忘れてはいけないこと:両手を下げ、ロフトを増すことは飛距離が減ることを意味する。手を高く構えた少ないロフトの時と同じ距離を打ちたければ、スウィング・スピードを上げなくてはならない

(November 02, 2016)

ワン・バウンドして急停止するピッチング

 

距離は30ヤードだが、ピンは手前に切られており、普通にピッチングをしたのではボールは着地後ピンを大幅にオーヴァーしてしまう。インストラクターJim Murphy(ジム・マーフィ)が教えてくれる、ボールを急停止させるショット。'Golf Magazine'誌編纂のショートゲーム大全より。

'Golf Magazine: The Best Short Game Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2009, $32.00)

「ボールを急停止させるには、クラブヘッドのスピードと、インパクトでボールをヘッドと地面で押し潰す動きとの二つが重要である。多くのアマチュアは、フルスウィングでボール押し潰すのが苦手だ。だが、スタンスの工夫一つでそれを自動的に達成することが可能になる。

1) サンドウェッジのフェースを数度オープンにする。急速なスウィングをするので、ロフトを増やさないとボールが飛び過ぎてしまう。

2) ボール位置は左爪先の前方で、全体重を左足にかける。これがボールを地面で押し潰すのを助けてくれる。この左足体重を維持するため、右足は爪先で立つ。この状態で、右腰の高さがトップのバックスウィングをし、体重を左脚に保ち続ける。

3) ダウンスウィングは、腕だけではなく身体でもクラブを動かす。身体の左サイド全体でクラブを引っ張り下ろすように。これは、ボールをクリーンに打つショットではなく、ボールに向かって加速し、いくばくかのディヴォットを取るべきショットなのだ。

4) インパクトの間加速し続け、ターゲットの左へ振り抜く。ボールを押し潰すのが主眼なので、腰の高さでフィニッシュする。クラブヘッドと胸がターゲットの左を指していれば、このショットを正しく遂行したと云える。

ボールが急停止するので、攻撃的な着地点を選び、楽なバーディを得るように」

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芝がふかふかのコースでもなく、ProV1を使ってもいない者に「ワン・バウンドで急停止」は絵に描いた餅に思われます。しかし、私のコースではバンカー越えで2バウンドあるいは2バウンド半の急停止でもありがたいホールがいくつかあるので、何とかこの技を習得したいと思いました。

 

コースへ出て実際にやってみました。No. 14(440ヤード)パー5が私の仇敵のホールです。バンカー越えで横長のグリーンのため、普通の軌道でオンしたボールは全て奥へ転げて崖下に転落してしまいます。最初は、右爪先で立って左足体重にすることだけ印象にあって、他のポイントはうろ覚えだったため、当然ながらうまく行きませんでした。で、数日後、上の青色のポイント全てをメモして出直しました。

56°のサンドウェッジが64°ウェッジになったかのように、ボールが高く上がります。予想通り、私のコースの地面と私のボールではワン・バウンドで急停止とはいきません。短い2バウンド半の後40〜50センチほど転がる感じ。同じことを60°ウェッジでやってみましたが、これでは30ヤード飛ばず、バンカーに捉まってしまいます。

しかし、30ヤードの時だけしか使えないショットというのは不便極まりない。必ず30ヤード残るとは限りませんからね。私のアイアン・セットはほぼ10ヤード刻みに打てるので、上の方法でギャップ・ウェッジなら40ヤード、ピッチングウェッジだと50ヤード…として使えるのではないかと考えました。練習してみるとギャップ・ウェッジによる40ヤードはうまく行きましたが、ピッチングウェッジは駄目でした。シャンクしたり、ショートしたり。Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)は「ピッチングウェッジでピッチショットするな」と云っていますが、それが正しいのかも知れません。

30ヤード、40ヤード、いずれも五発ずつ打って一発だけ成功という感じでした。これでは実戦には恐くて使えない感じ。しかし、その日の本番のラウンドで、このホールの二打目が実際に残り30ヤードになってしまいました。「えーい、おれも男だ、やってみよう!」普通30ヤードのショットにサンドウェッジなど使わないのですが、練習した通りを実践しました。このショットで大事なのは《身体の左サイド全体でクラブを引っ張り下ろす》ことです。これがオープンなフェースの角度を保ち、ボールを地面とクラブで押し潰し、ボールにバックスピンを与えます。私のボールは高あ〜く上がり、奥目のピンの手前に着地し、ころころと転げました。(オーヴァーか?)と鳥肌立てる私。"Bite!"(止まれ!)とチームの一人の叫び。その叫びが通じたのか、ボールはピンの左上約1メートルで停止。あと1メートル転がっていたら崖下でした。「ラインを反対側から見ることの重要性」(10/26)を実行した私のパットは、読みもストロークも申し分なく、難なくバーディ。

いやぁ!、ゴルフってほんっとに面白いもんですね〜(水野晴郎調)。

(November 02, 2016)

ドライヴァーをスローモーションで打つ

 

[Love III]

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)の登場以前、PGAツァー随一の飛ばし屋だったDavis Love III(デイヴィス・ラヴ三世、右図)が、インストラクターだった父Davis Love II(デイヴィス・ラヴ二世、1935〜1988)から教えられた練習法。Bob Toski(ボブ・トスキ)とDavis Love IIの共著より。

'How to Feel a Real Golf Swing'
by Bob Toski and Davis Love, Jr. with Robert Carney (NYT Special Services, Inc., 1988, 1997, $14.00)

「練習場に赴いた際、何発かスローモーションでボールを打ってほしい。これは世界トップ・クラスのアスリートたちが、テクニックを磨くために用いる方法だ。短距離走の金メダリストCarl Lewis(カール・ルイス)は、そのほぼ完璧なスタイルを改良するために、いまだに半分の速度で走ることをする。

ゴルフでは、スローモーションはあなたが最高のパワーを身につける鍵となろう。Davis Love IIIがまだ十代の頃、彼は父Davis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世)にボールを遠くに打つ方法を尋ねた。父は息子に、ドライヴァーを手にスローモーションでフル・スウィングし、なおかつボールが50ヤードを越えないこと…と命じた。若い息子は50ヤードのドライヴをソリッドに真っ直ぐ打つことが出来た。彼は次第に100ヤードに打つようになったが、依然としてスローモーションの制約は同じだった。同じ方法で、50ヤード刻みの練習をしたDavis Love IIIは300ヤードに達した。

現在、彼は必要とあらば350ヤード打つことが出来、PGAツァーの飛距離ランクのトップである。スローモーションによるスウィングは、クラブフェースでボールを“見つける”ことと、スウィングの強さをコントロールすることを教えてくれる。それはまた速度をも教えてくれる。練習する時は常に数回のスローモーションのスウィングを含めるように」

【参考】「Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)のスローモーション・ドリル」(tips_1.html)

(November 06, 2016)

右足で地面を蹴って飛距離増

 

スウィングスピードを増す三つの鍵。

'3 moves to add more speed to your swing'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2016)

「1) ダウンスウィングを右足内側の端で地面を押して開始せよ。短距離走者がスターティング・ブロックを蹴って飛び出すように。それは下半身をターゲットに向かって押しやり、クラブは最高のスピードに達する。右の踵をターゲットと反対方向に廻すことだけはしないように。それはスウィングの基盤を失うことを意味する。

2) バックスウィングのトップからは、腰はターゲット方向に廻すものの、肩は後方に留めることで肩と腰のギャップを増すべきである。実際のところ、腰が肩を廻してアクションに引き摺り込むまで、肩を動かすべきではない。これはあなたの大きな打撃用筋肉をストレッチし、肩が腰に追いつこうとしつつインパクトへ向かい、エクストラのスピードの爆発を生む。

3) ドライヴァーではボールを上昇角度で打つのだが、それでもなおインパクトへは両手をクラブヘッドに先行させる必要がある。クラブがヒッティング・ゾーンに近づくにつれ、手袋の甲側にあるロゴがターゲットに面するように努める。これが理想的な高い発射角度と低いスピン率を生むFLW(フラット・レフト・リスト、平らな左手首)を形成する」

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私は長く下半身主導のダウンスウィングを志向して来ましたが、その動作のスタート(きっかけ)は左膝をターゲット方向に動かすことでした。それを上の「右足内側の端を蹴る」と比較すると、後者のパワーに完全に負けているのは歴然としています。これからは右足で蹴ることを決意をしました。

 

(November 06, 2016)

三世紀前のゴルフ・インストラクション

Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)の父親Davis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世)は、Bob Toski(ボブ・トスキ)と共著の本も出しているほどで、ゴルフの世界ではコーチの第一人者として知られていました。しかし、惜しくも1988年に航空機事故で他界。この本はその父親が遺したノートを土台に、Davis Love IIIが自分の経験も加えて一冊の本にしたもの。

'Every Shot I Take'
by Davis Love III (Simon & Schuster, 1997, $21.00)

「インストラクターたちの多くはゴルフ本の凄いコレクションを持っている。私の父には熱望しながらも手に入らない一冊のインストラクション本があり、それは一部ゴルフ界で狂信的地位を築いていたものだ。それは17世紀のスコットランド人Thomas Kincade(トーマス・キンケイド)による日記の集成であった。【註】その『キンケイドの日記』は'Golf in the Making'という本に翻刻されたとはいえ、多分多くには知られていないものだろう。

【編註】'Wikipedia'によればThomas Kincade(1661〜1726)は、父がスコットランドのEdinburgh(エディンバラ)の名誉市民でもあった外科医で、その息子も医者になるべく勉強に励んでいた。彼は日記に様々なことを書いていて、化学、神学、馬の品種改良、鍛冶屋の万力の作り方、弓術、ビリヤード、そしてゴルフ…と多岐にわたっていた。

その日記は1986年の'Golf Digest'誌のあるコラムの題材となり、父はそのコラムを切り抜いて保存していて、父が亡くなった時、他の書類の間に挟まれていた。私は父が何故それを大事に取っておいたか理解出来る。Thomas Kincadeはおよそ三世紀前にゴルフ・スウィングに関して深い洞察を示しているのだが、それは現在もちっとも変わっていないからだ。彼は次のように書いている…。

『ボールを打つのでなく、クラブヘッドがボールと接触した後もなお加速し続ける感覚を得るように打ち抜かなくてはならない。これが飛距離を得る秘訣である。この感覚を完全にするには、可能な限りイーズィに打つ練習をし、徐々にスウィングの強さを増すが、各段階でその強さが習性となるまで練習することだ。それにかける時間は無駄にはならない。各段階を完全なものにすることは、ハーフ・スウィング、ピッチング、チッピングをも習得させてくれる。最も容易な段階は、パッティングを完全なものにするのを助けてくれることだ。各段階で強さを増す際、ポスチャーや回転軸を変えてはならない』

数世紀経っても、私の父は同じことを教えていた」

(November 06, 2016)


アライメントは基本中の基本

これはDavis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)の亡父でインストラクターだったDavis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世)が遺したノートに、息子Davis Love IIIが自分の経験を加えて出版した本。

'Every Shot I Take'
by Davis Love III (Simon & Schuster, 1997, $21.00)

「私の父は、プロ・ゴルファーの方が一般ゴルファーよりもスウィングの基本に時間をかけていることを発見し、面白がっていた。彼はそんな筈はないと思っていたのだ。彼にとって、基本中の基本の一つはアライメント(ターゲットに対し身体を揃えること)だった。

もしあなたが正しく狙わなければ、ストレートに打つことは不可能以外の何ものでもない。事実、不適切なアライメントで打たれたストレートなショットは、ターゲットラインから逸れてしまう。どんなスウィングをする前にも、最終ステップとしてあなたの肩、腰、両脚・両足がターゲットラインに正しく揃っているかどうか確認すべきだ。頭を廻し顎を6時から9時に動かすだけで、ターゲットが即座に視野に入ればOK。もし、ターゲットを見るためにあなたが頭をひねったり傾けたりしなければならないとしたら、あなたのアライメントはどこかが狂っている」

(November 06, 2016)


顎の真下からの脱出

バンカーの顎に近いところからの脱出には、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)の「顎の下から脱出する」(tips_84.html)が役立っていたのですが、先日「顎に近い」どころではなく、「顎の直下」でボールが止まってしまい、上のtipを利用しても顎で弾かれてコロコロと戻って来てしまいました。そこで仕入れたのが次のtip。これは奇跡的に窮地から脱出出来ます。筆者はインストラクターのDarell Kestner(ダレル・ケストナー)。

'Golf Magazine: How to Hit Every Shot'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2008)

「1) クラブフェースをオープンにする

ボールを真っ直ぐ上に上げなければいけないので、それには90°のロフトが必要だ。ロブ・ウェッジがあるなら、それを使う。【鍵】フェースのグルーヴ(溝)が空を向くぐらいオープンにすること。左足を顎の上に掛け、腰と肩を傾斜と平行にする。両手はボールの後方にすべきで、その結果シャフトの角度は僅かに傾斜から離れる。【註】

【編註】この「その結果、傾斜から離れる」"so that shaft angles slightly away from the slope"という表現はちと曖昧です。記事添付の写真では、シャフトは傾斜角度に直角ではなく、ほぼ背骨の角度に沿っています。

2) 前腕を回転させる

目玉の場合は急激な縦の軌道が望ましいが、それではボールを顎に激突させるだけである。ここでは浅い横の軌道が必要だ。鍵】バックスウィングでは、クラブを身体に巻き付けるように、手と前腕をインサイドに引く。 肩をフルに廻す。ロフトを増しているので、望んだキャリーを得るには、通常の倍のクラブヘッド・スピードが必要である

3) リリース

 

ヒールを先に、次にトゥを砂の下に入れてスライドさせる。【鍵】クラブが砂に突入する時、右手を僅かにクラブから離す。 こうすることで、土手との衝突で右手首を痛めることを防ぐ。それはまた、ボールを真っ直ぐ上げるために、フェースを確実にオープンにし続ける。

ダウンスウィングは、池に小石を投げて水切りをする時の再現をする。こうすれば、右腕は左腕の下になり、右掌とクラブフェースは空を向いて最大のロフトを形成する」

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出ます。ただし、60°ウェッジで普通のバンカーショットのように打ったのでは、約1.5メートルしか飛びません。もっと距離が欲しければ、上の説明のように「通常の倍のクラブヘッド・スピード」が必要です。手首を痛めるのを恐れつつ倍のスピードでスウィングしてみました。何と、60°ウェッジを90°ウェッジにしているのに顎の下から10〜12メートル飛び、ピン傍に寄りました。素晴らしいtip。

(November 13, 2016)

砂に足を埋めることの意味

 

単に身体の安定のためだけに足を砂に埋めるのではない。'Golf Magazine'誌編纂のショートゲーム大全から、バンカー・ショットで見過ごされている重要なコツ。執筆はインストラクターのMark Hackett(マーク・ハケット)。

'Golf Magazine: The Best Short Game Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2009, $32.00)

「あなたが大方のゴルファーと同じなら、両足で砂を掘るのを忘れる筈だ。あなたは足をもぞもぞ動かして砂の中で快適に立ったかも知れないが、足で砂を掘ることはしなかったに違いない。

砂に足を埋めれば埋めるほど、スウィング弧の最低点がバンカー表面から低くなって行く。これはボールの背後の砂にクラブを突入させ、ボールの真下を振り抜き、クラブがボールの前方の砂から脱出することを助けてくれる。足を砂に埋めさえすれば、ウェッジをどのように操作すべきかなどと心配する必要は無くなる。

一旦足を埋めれば。あなたがやるべきことはスウィングすることだけだ。あなたは常に完璧な量の砂を取ることが出来る」

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私が住んでいる南部一帯は、赤土の地域です。一流ゴルフ場ならバンカーに本当の砂を購入して入れているでしょうが、私がプレイしている市営ゴルフ場は、赤土を篩(ふる)いに掛けて粒子を細かくしただけのものをバンカーに入れています。これは雨や散水によって締まって固くなるため、われわれがバンカーに足を踏み入れても、スパイクの痕がつくだけで足跡がつかないことも多い。ということは、砂に足を埋めるにはかなりの力で足を動かさなくてはならず、汗をかいてしまうような重労働(?)なのです。

もうお分かりのように、私は多くの場合、足を砂に埋める手間を省いていました。上のtipを読んで、それが私のバンカーショットを難しくして来た原因の一つであろうと悟りました。で、心を入れ替えて足を埋めるように努力しています。上の理屈が解ってみると、「必ず砂を取ろう!」などと自分に無理強いしなくても、足を埋めれば自動的に砂を取ることになり、コトが簡単に運びます。

(November 13, 2016)

バンカー・ショット、四つの必須ポイント

Greg Norman(グレッグ・ノーマン)が説く、バンカー・ショットを放つ際の基本事項。

'Shark Attack!'
by Greg Norman with George Peper (Simon & Schuster, 1988, $12.95)

1) 良い足場を築け

両足で砂をしっかり踏みつける。これはがっしりしたスタンスと良いバランスを生み出す。この動作はまた砂の構造と密度を探る方法でもある。ルールはバンカー内でクラブを地面につけることを禁じているので、スタンスをとりながらライについて学ぶしかない。

【編註1】Jack Nicklsus(ジャック・ニクラス)の後期のコーチだったJim Flick(ジム・フリック)は、「爪先から先に砂に埋めよ」と云っています。「拇指球(ぼしきゅう、親指の下の丸い膨らみ)に体重を乗せて上体を前傾させると、クラブがボールの下をスライドするのを助けてくれる。踵側を砂に埋めたのでは過度にフラットなスウィングになってしまう」そうです。

【編註2】砂に足を埋めるのはいいのですが、砂を掘ったり掻き寄せたりして傾斜を平らにするなど自分に有利な足場を作るのは禁止されており、二打の罰を受けます。2014年の全英女子オープンで韓国のプロSun-Ju Ahn(サンジュ・アン、【中】安 宣柱、【日】アン・ソンジュ)は砂を掻き寄せて2ペナを課されました。

2) 1インチ(約2.5センチ)クラブを短く持て

砂に両足を埋め込んだ分、両手がボールに近くなってしまうので、グリップをスライドさせてクラブを短くする必要がある。でないと、ボールの遥か後方を深く掘ることになってしまう。

【編註】インストラクターMike McGetrick(マイク・マゲトリック)は、「あなたが2インチ(5センチ)両足を砂に埋めたら、自然の成り行きで2インチ後方の砂にクラブを突入させることになる」と云っています。《足を埋めた分だけクラブを短く持つ》と覚えておきましょう。

3) スタンスをオープンにせよ

ほとんどのバンカー・ショットは、ボールへ急降下する攻撃を必要とする。両足、両膝、腰、そして肩がターゲットのかなり左を向くオープンなアライメントは、この型のインパクトを容易にしてくれる。異なるショットには異なるオープンな角度が必要だが、バンカー・ショットの90%はオープンなスタンスで遂行されると云ってよい。

4) ボールを見てはならない

ボール後方1〜1.5インチ(約2.5〜4センチ)を見つめること。【註】そこがインパクト地点だからだ。バンカー・ショットではボールを打つ必要はないので、ボールを見るべき理由は全くない。クラブの厳密な侵入地点は状況によって異なるが、それがボールの天辺でないことは確かである」

【編註】人によって1インチ(約2.5センチ)から6インチ(約15センチ)までと、さまざまです。「砂への突入ポイント」(tips_153.html)を参照のこと。

(November 13, 2016)


バンカーで下半身を静止させる方法

Corey Pavin(コリィ・ペイヴン、1959〜)は、U.S.オープン1995の優勝者で、2010年のRyder Cupのキャプテンも務めました。ロング・ヒッターではないが、ショット・メーキングの名人と云われています。

'Corey Pavin's Shotmaking'
by Corey Pavin with Guy Yocom (NYT Special Services, Inc., 1996, $14.00)

「チップやピッチをする時と同じく、バンカーでも足・脚を大きく動かしたりしてはいけない。それは危険な連鎖反応を引き起こす。脚が動けば上体が動き、頭まで動いてしまう。そういう動きは、ボールの背後の砂の正確な位置にクラブを突入させようとする意図を妨げるものだ。バンカー・ショットはほぼ完全に上体・肩・腕・手で遂行されるべきである。

先ず、ドライヴァーを打つ時のようにワイドなスタンスをとる。この大きく離した両足はスウィングの間下半身を動かすのを困難にする。この後、さらに下半身を静止させるには次の二つの方法がある。

1) 右膝をターゲット方向に曲げる

これはバンカー名人Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)が用いて成功しているテクニックだ。右膝をターゲット方向に曲げ(内側に押し込み)、スウィングの間じゅうそのまま維持すると、バックスウィングで身体は右に横移動しなくなる。インパクトにかけ、右脚、上体、頭は、アドレス時の体勢のまま留まる。

2) 右足を大きく開く

既に左足はオープンになっている筈なので、右足を大きく開くと両足は鏡像のように対称形になる。この右足の位置を、膝を柔軟にして形成する。こうするとダウンスウィングで身体を右に横移動させるのは非常に難しくなる。身体はボールの真上に留まり、クリーンなショットが達成出来る」

 

(November 13, 2016)


Patrick Reed(パトリック・リード)の 攻撃的パッティング

 

PGAツァー入り四年目にして四勝を挙げ、2014年の米欧対抗Ryder Cup(ライダー・カップ)においてアメリカ勢の中で一人気を吐いて一躍人気者となった新鋭Patrick Reed(パトリック・リード、当時24歳)。二年後、2016年のRyder Cupのシングルスでも、強豪Rory Mckilroy(ロリィ・マカロイ)を破り、アメリカ・チームの優勝に貢献しました。彼は「長短全てのパットを沈めるつもりになれ、それが3パットを回避し、バーディ・チャンスを生む」…と主張します。

'I've got the secret to more birdies'
by Patrick Reed with Michael Chwasky ('Golf Magazine,' October 2015)

「私はかなり長い距離であろうと、カップに寄せて満足するタイプではない。私はどんなパットも沈めたい。それが私にとってスコアを良くする鍵である。グリーンはスコアの埋め合わせをするのに最適の場所であり、基準ストローク数より減らしたいと思うなら攻撃精神が不可欠だ。

攻撃的であることと無謀であることとの間には一線を画すべきであり、どのパットでも1.5〜2メートルもオーヴァーするようなのは、スコアを滅茶滅茶にするものでしかない。私が『攻撃的であれ』と云う時、それはラインと強さを見定めたら、ボールがカップに落下する様(さま)を見る以外の全ての想念を排除せよという意味だ。

 

どのパットも沈めるという攻撃精神を心構えとする第一歩は、ロングパットを気楽に感じることだ。10〜12メートルのパットの場合、あなたにとっては1メートルに寄せられればハッピーなものかも知れないが、私にすればそれは失敗以外の何ものでもない。1メートルの円内に寄せよという方針には問題がある。少しでも逸れれば、簡単にカップから1.8〜2メートルも離れてしまいがちだ。練習グリーンで10〜12メートルの距離を、どのボールもカップで息絶えるように打ってみてほしい。この方法だと、ミスしたとしても残るのは60〜90センチの楽なパットである。3パットは珍しくもない高くつくミスであるが、このドリルによってスコアを急速に改善することが出来る。

ロングパットの練習として、3〜4メートルに数個のボールを散らばらせる。この距離はバーディやパーを得る鍵であるとともに、『入れて当然』と看做される距離でもある。前の練習と同じ攻撃精神でこの距離に取り組んでほしい。グリーン上でのあなたのお経の文句を忘れてはいけない。それは『どのパットも沈めるぞ!』である」

(November 20, 2016)

パッティング・アドレスとパターのロフトとの相性

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)によるアドレス体勢とパターのロフトとの相性診断。

'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, $30.00, 2005)

「パターフェースに備わっているロフトと、アドレスおよびインパクトでの手の位置とをマッチさせるのは昨今のトレンドなのに、ロー・ハンデの人々でさえそのトレンドに乗り遅れている人がいるのには驚かされる。

パターを選ぶ時、ロフトに関しては次の大まかな基準を参考にされよ。

1) 両手をボールより前に出し、実質的にパターのロフトを減らす傾向がある人は、もっとロフトを増す必要がある。4°〜6°の間で選ぶように。

2) パター・シャフトを垂直にする人は3°〜4°のロフトのパターが最適である。

3) あなたがややオーヴァーな上昇軌道のインパクトを迎えるタイプであれば、パター本来のロフトより実効ロフトを増しているので、それを相殺するため約1°〜2°のロフトのパターを選ぶべきだ。

4) 遅いグリーンのコースでは、芝に埋まっているボールを先ず弾き出し、それから転がさなくてはならないので、ロフトを増す必要がある。

 

5) 極端に固く早いグリーンのコースでは、ボールを芝から弾き出す必要がないので、ロフトは少なくてよい」

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…と云われても、パターにロフトの数字が刻印されているわけではないので、Internetでメーカーのサイトやデータベースなどでスペックを調べないといけません。パター・デザイナーの大御所Scotty Cameron(スコッティ・キャメロン)は、「最適のロフトは4°だ」と云っているそうですが、上のようなゴルファー個々のパッティング・スタイルを無視して「最適のロフト」を云々することは出来ないでしょう。

ちなみに、私は(2)のパターを垂直にしようとするスタイルですが、古強者のOdyssey(オディスィ)製 Rossie II(ロズィー・トゥー)のロフトが3°であることは、Jim McLeanの基準に合致しています。なお、控えのパターGuerin Rife(ゲリン・ライフ)製 2 Bar(トゥー・バー)マレットのロフトは1°ですが、私のコースは固く早いグリーンに該当するので、これでも問題無いようです。

(November 20, 2016)

不調なパッティングのリカヴァリー作戦

 

'Golf Magazine's Handbook of Putting'
by editors of 'Golf Magazine' (Harper & Row, 1959)

「パッティングにはフィーリングが不可欠だ。それがあなたに備わっている間は、誰もあなたに助言する必要などない。あなたは至福の境にあり、全て世はことも無しである。ところで、あなたのそのフィーリングが薄れ始め、だがまだ完全に去ったわけではないと感じられた時、どうやっていいフィーリングを取り戻すか?多くのよいゴルファーは練習グリーンに急行し、次の四つのどれかを以下の順序で行う。

1. 右手を左手よりシャフトの方に5センチ下げる。これは右手のフィーリングを取り戻してくれる。

2. ボール位置を変える。1インチ(約2.5センチ)ターゲット方向へ動かすとストロークに自由な感覚が得られる。また、ボール全体でなく、ボールのどこか一点を見つめることに注意。針に糸を通す時、針全体を見たりせず、針の目を見る筈だ。

3. パターを換えてみる。プレイヤーの中には“死が二人を分つまで”同じパターを使う人もいるが、ツァー・プロにもわれわれ同様パターを換えることでスランプを脱しようとする人がいる。多くのゴルファーは軽いパター、重いパター両方を持っているもので、グリーンの重さに合わせることが出来る。

4. 新しいスタンスを試してみる。多分あなたのスタンスが近過ぎるか遠過ぎるかも知れないからだ。右足を少し下げてみると、腕の動きが楽になったりする。かなり多くのインストラクターが、長いパットには広いスタンス、短いパットには狭いスタンスを勧める」

 

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僭越ですが、私からもいくつかお試し候補を。パッティング・スランプに陥った重症の際の手当も含みます。

5. グリップ圧を変えてみる。【参照】「パッティングを音で改善する」(tips_173.html)

6. ストロークのリズムとテンポを変えてみる。【参照】「自分固有のテンポでパットせよ」(tips_163.html)

7. パッティング・ストロークで"Fixed Left Wrist"(フィックスト・レフト・リスト、固定した左手首)を試してみる。【参照】「パットでもFLW」(tips_159.html)

8. スタンス幅を広くしてみる。【参照】「スタンス一つで、あっと云う間にパット巧者になれる法【実話】」(tips_163.html)

9. パター・ハンドルの太さを変えてみる。【参照】「ハンドルの太さがパット軌道を変える」(tips_173.html)

10. ストレート・ストロークの人は「円弧型ストローク」を、「円弧型ストローク」の人はストレート・ストロークを試してみる。【参照】「アーク・パッティング vs. ストレート・パッティング【理論篇】」(tips_145.html)

11. パターの持ち方を変えてみる。【参照】「3(スリー)ジョイント・ストローク™」(tips_169.html)

12. 手首でポンと弾くようなポップ・ストロークを試してみる。手首で弾いている人は、手・腕を殺して肩でストロークしてみる。【参照】「Brandt Snedeker(ブラント・スネデカー)のパッティング」(tips_149.html)

13. スタンダードな長さのパター(33〜35インチ)を使っている人はロング・パターを、ロング・パターを使っている人はスタンダードな長さのパターを試してみる。Champions Tour(チャンピオンズ・ツァー)のBernhard Langer(ベルンハード・ランガー)は、アンカーリングせずにロング・パターを使って2016年の賞金王となりました。

(November 20, 2016)

ハイブリッドはフックするように出来ている

 

Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)の兄弟で、共にインストラクターであるBill(ビル)とCraig(クレイグ)によるハイブリッドの傾向と対策。ハイブリッドのフックに悩んでいる方は必読です。

'Rip it right down the middle'
by Bill Harmon and Craig Harmon ('Golf Magazine,' August 2014)

「どうしてハイブリッドでフックするのか?その理由は、ハイブリッドがそういう風に設計されているからだ。ドライヴァーとハイブリッドをそれぞれアドレスしてみると解るが、ハイブリッドのトゥはドライヴァーよりずっと地面から浮いている。言葉を替えれば、ハイブリッドのライ角がドライヴァーよりアップライトであり、それはフックを生じるようにデザインされていることを示す(スライスする人、大喜び)。

Champions Tour(チャンピオンズ・ツァー)プロのJay Haas(ジェイ・ハース)が初めてハイブリッドをバッグに入れたのは今から15年前である。彼はハイブリッドによってフックを量産した。しかし、ハイブリッドはロング・アイアンよりボールを上げるのに効果的だったので、彼はクラブのスペックを変えてしまった。あなたもレンチがあれば同じことが可能である。

【編註】ウッドやハイブリッドにはライ角を変えられないものがあるので、レンチを振り回す前にプロのクラブ・フィッターに相談すべきです。

フックを生じるのは、スウィングの多くの部分を正しく行った結果である。さほど恐れる必要はない。ティーからハイブリッドを打つ場合は右を狙えば済むことだ。あるいは左ドッグレッグのホールにさしかかるまで、待ってればいい。

Sam Snead(サム・スニード)はフック防止として三つの方策を持っていたが、それらが役に立たない時は、単純に右を狙ったものだ。しかし、次のような対策も試みられるとよい。

a) スウィングのトップから左腕でハードにクラブを引っ張り下ろす。これはインパクトにかけて両手をクラブヘッドよりかなり先行させるため、クラブフェースをオープンにしてくれる。

b) ハイブリッドはドライヴァーとは異なるので、ボールを左爪先前方ではなくスタンス後方に置くべきだ。そうすればクラブフェースがクローズになる前にボールを打てることになる」

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鏡の前でアドレスしてみてびっくり!上の記事の通り、トゥがかなり上がっています。

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市営ゴルフ場のNo. 4(パー3)は175ヤードとしてプレイする時と、ベラボーに後退して190ヤード前後から打たされることがあります。長い時は3番ウッドで真っ直ぐ打てるのに、距離が短い時にハイブリッド(24°)を使うとフックが多発するのに悩んでいました。アップライトにスウィングしたり、フラットにしたり、果てはパンチ・ショットをしたり…と、様々な工夫をしましたが、いずれも解決策足り得ませんでした。それが何てこった!ハイブリッドでパー3のグリーンに乗せられないのは、私のスウィングの問題ではなく、ハイブリッドというクラブの構造のせいだったとは!orz

私は、上の二つの対策に追加すべきもう一つの方法があると思いました。

c) アドレスで両手を上げる。こうするとトゥは上がらず、ライ角を正常に戻すことが出来ます。なお、両手を上げるアドレスはフェードを打つコツの一つであり、別に異常な手段ではありません。手首がアーチ状隆起を呈する(=弓なりになる)と、手の動きが制限され腕と肩に全権を委ねるので手首を返す動きが出来なくなるのです。私の「3(スリー)ジョイント・ストローク」(tips_189.html)はこの原理を応用しています。

以上のa、b、cを、数発ずつですが試してみました。結果、以下の通り。

a) 全部10ヤードほど右へ。
b) 全部30ヤードほど左へ。
c) 全部グリーンへ真っ直ぐ。

対策に関しては、PGAプロ(インストラクター)のハーモン兄弟より私の方が上手(うわて)でした(^-^)。Tips漁りも捨てたもんじゃありませんね。これで長年の懸案が解決しました。この解明直後のラウンド、このホールで手首を隆起させて放った24°ハイブリッドのショットは、狙った地点へまっしぐらに向かって仲間を驚嘆させましたが、15ヤードもピンをオーヴァーしてしまいました。次のラウンドでは24°ハイブリッドを5センチ短く持って打ったのですが、真正面からオンしたものの15ヤード以上ショート。方向性が解決したと思ったら、今度は距離で悩むことに…(^^;;。この次は1.25センチ短く持つことにします。

【おことわり】画像はmitchellgolf.comとi.ebayimg.comにリンクして表示させて頂いています。

(November 27, 2016)

なぜ、人はターゲットの右を向くのか?

 

女性インストラクターJane Horn(ジェイン・ホーン)の、生徒たちを長く観察した末の苦言。

'Power Golf for Women'
by Jane Horn (Citadel Press, 1999, $16.95)

「誰しも、ターゲットのとてつもなく右の方を向いて打つ人を見たことがある筈だ。そういう人がちゃんとターゲットに向かって打てるのに驚嘆する。しかし、滅多にそうはうまく行かず、ボールは狙った方向(真っ直ぐ右)へ向かうか、あるいは潜在意識がボールをターゲットに向かわせようとして、真っ直ぐ左方へと飛ばすのがオチである。右を狙うのは初心者と女性に共通する病気である。その理由を説明しよう。

右を狙う傾向は、多くの場合、飛距離増を望む欲望と密接な関連がある。右を狙うのは、パワーを生み出そうとするあなたの身体の自然なあり方なのだ。身体が右方を狙うと、それは腕のスウィングに大きなテコの作用を作り出す。これはあなたが木樵(きこり)ならとても役に立つが、ことゴルフ・スウィングだといつもパワフルな効果を挙げるとは限らない。あなたは潜在意識を再教育し、ゴルフは木を伐(き)るのとは違うと理解させねばならない。

右を狙ってたまにはボールを遠くへ運べるかも知れないが、それはあなたの基本のゴルフ・スウィングにとって望ましいものではない。ゴルフは一貫性のゲームである。一つのよいショットが出たからといって、20個の悪いショットがあってはよいゲームとは云えないのだ」

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有名な線路の比喩があります。ターゲットラインを線路の右のレールとすれば、スタンス・ライン(両爪先、腰、肩の向き)は線路の左のレールでなければならない。左右のレールは平行であるべきで、二つが交わってはならないという喩えです。この比喩を知らないと、ついスタンス・ラインをターゲットに揃えてしまい、右を向き過ぎる結果になることもあると思われます。

(November 27, 2016)

左腕を上げてアライメント・チェック

インストラクターMark Arnold(マーク・アーノルド)のアイデア。

'The Best Golf Tips Ever'
edited by Nick Wright (Contemporary Books, 2003, $24.95)

「ボールの横に立ちながら、両足と肩が実際にどこを狙っているかを見るのは難しいので、アライメントの確認は困難である。あなたの狙いをダブルチェックする方法は、アドレスした後左手をクラブから外して自分の身体の横に真っ直ぐ上げることだ。アライメントが正しければ、あなたの左手は意図したターゲットに平行な方向を指している筈だ。

【編註】上の記事の線路の比喩を参照。

不幸にも、ほとんどのゴルファーは上半身であまりにも右を狙う。この場合、上げた左腕はターゲットそのものを指すか、その右を向いているかどちらかである」

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Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)は「頭を廻し顎を6時から9時に動かすだけで、ターゲットが即座に視野に入ればOK」と云っています。私はこちらの方法をとっています。

(November 27, 2016)

ティーアップは常に左側に

 

ティーアップする場所については、「障害物(池やバンカーなど)が待っている側にティーアップし、障害物から遠ざかる方向に打て」というのが定説ですが、'One Move'(ワン・ムーヴ)のインストラクターCarl Lohren(カール・ローレン)は異説を唱えます。なお、「左肩からバックスウィングをスタートせよ」というのは彼の持論で、この記事はそれを活かすための方法論の一つとも云えます。

'One Move to Better Golf'
by Carl Lohren with Larry Dennis (Golf Digest, Inc., 1975)

「可能なら、常にティー・グラウンドの左側にティー・アップすべきだ。そうすれば、ターゲットへ向かって振り抜く感覚が得られ、左肩でスタートする動きをプログラムし、左サイドによるダウンスウィングを誘発出来る。

もし、ティー・グラウンドの真ん中や右側にティー・アップすると、いとも簡単にターゲットから遠ざかる回転をしがちになる。これは本能的に左肩によるスタートの動きを妨害する。それはまた、右サイドの活動過多を招き、ボールをフェアウェイ中央に向かわせる身体の回転をさせがちになる」

【参考】「'One Move'(ワン・ムーヴ)」(tips_4.html)

 

(November 27, 2016)

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