'Golf Magazine's Handbook of Putting'
by the editors of Golf Magazine (Harper & Row, 1959)
「プロ・サイドとアマ・サイドという言葉を御存知だろう。プロがミスするのはカップの上側である(転げ込む可能性が高いからだ)。それに引き換え、アマチュアの多くはサイドヒルのパットをカップの下に外す。この、転げ込む可能性ゼロの側をアマ・サイドと呼ぶ。しかし、これはパットにおける大罪とは云えない。常に上りのパットをショートし、下りでオーヴァーするゴルファーはゴマンといて、こっちの方が罪が重い。
グリーンを読むには、地形の起伏を見極めることだ。もし完璧に平らに見えるようなら、そのグリーンはどこか一方に傾斜している。上りか下りかは、歩いてみれば足の感覚から知ることが出来る。歩いて得られる感覚によってグリーンの早さをも知ることが出来る。スポンジのようにソフトであれば固いグリーンより当然遅い。
ブレイクを見極める際に迷った場合には、いくつかの手段がある。Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)その他のプロはカップの縁を点検する、もしどこか一方の縁の芝がぼろぼろになっていれば、多くのボールが当たって壊れたためなので、そちらが低い方と考えられる。【編註:マナーの悪い連中がパターヘッドでボールをほじくり出してカップの縁を壊すこともあるので、これは万能とは云えません】 カップの一方が他方より低く見えれば、グリーンはそちらに傾斜していると考えて良い。 ブレイクを見極める最もよい方法の一つは、ラインの横の低い側からライン全体を観察することだ。 左右どちらにもブレイクしているように見える場合、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)などは周囲の地形(山や丘陵など)を参考にする。グリーンもそれらと同じ傾斜であると考えてよいからだ。 ほとんどのプロはスクヮット(しゃがみ込み)の姿勢でラインを読むのがベストであると感じている。直立したままではパットの全行程の地形の本当の姿を見て取ることは出来ない。 ゴルファーがグリーンのブレイクを見定めたら、個々の状況に対する対応を決めるのが急務である。濃く、あまり刈り込まれていないグリーンや湿ったグリーンは通常よりブレイクが少ないし、びしょ濡れの表面は普通の半分しかブレイクしない。 |
アマチュアがアマ・サイドにミスする原因の一つは次のようなものだ。大方のゴルファーはブレイクをカップの中心から見積もる。例えば6インチ(約15センチ)のブレイクと読んだ場合、彼らにはたった4インチ(約10センチ)しか見込んでいないのだ。何故なら、カップの中心からブレイク側の縁迄は2インチ(約5.4センチ)なので、残りは4インチ(約10センチ)しかない。だから、彼らがパットに成功するのは読み間違いを犯した時か、意図したよりも強く打った時でしかない。プロ・サイドに転がすには、ブレイクがある側のカップの端から計測すべきである。
短いパット(1.5メートル以内)では、ブレイクがあるとしてもカップの外側を狙うのではなく内側を狙うこと。カップの直径は4.25インチ(約10.8センチ)なので、カップ中央を狙えば両側に2インチ(約5.4センチ)ずつブレイクの余裕があることになる。もちろん、急なサイドヒルや見た目にも大きなブレイクがある場合に、このルールは当てはまらない。しかし、ラインと強さの双方の推測に心を乱すよりは、カップの真ん中を狙うことで強さだけに集中する方が賢明である。短いパットでは与えられた力によってボールは真っ直ぐ進むものだ。《短いパットではカップの外を狙ってはならない!》
アップヒルの真っ直ぐなラインのパットでは、どんなタイプのグリーンであれ右にプッシュし易い。これは急速なフォワード・ストロークによって、ややオープン・フェースのインパクトを迎えるせいである。これに抗するため、プロの多くはアップヒルのパットではボールを左爪先の前方にし、体重の大半を右足にかけ、通常のスクウェアなスタンスをとる。
急なダウンヒルの場合、プロの多くは体重を左足にかける。彼らが体重を右足にかけたり、左右均等にしたりしたら、フォワード・ストロークで地面を引っ掻いてしまうだろう。彼らのボール位置はスタンス中央、ややハンド・ファーストの構えで、傾斜に沿ってパターを上げ下げする。
ダウンヒルで逆目の場合、ボールの転がりが遅くなり、弱く打たれるためブレイクも増える。アップヒルでは強く打たれるため、ブレイクは減少する。
真っ直ぐなダウンヒルでは、ゴルファーは左へプルする傾向がある。一般的に、ダウンヒルだとそっと打とうとするため、アップヒルと反対にパターフェースをクローズにしがちだからだ。この傾向に対抗するには、ボール位置をスタンス中央の前方にする。これなら両手が返ろうとする前にストローク出来る。《アップヒルのボール位置は左足爪先の前、ダウンヒルではほぼ中央》と覚えればよい。
サイドヒルの扱いには学習が必要だ。サイドヒルでは、あなたが考えるよりもずっと多く“ボロウ”(註参照)しなければならない。パットの勢いが失われるにつれ、重力によって下方に引かれる度合いが増す。石を投げると最初は上昇軌道で忠実に飛ぶものの、その後急速に垂直に落下する。パッティングにおいても同じで、このボロウの判断は一種の技であり、練習と経験を通して開発され洗練さるべきものである。
【編註】"borrow"は、傾斜による下降の度合いと釣り合いを取るために斜面上方に打ち出すこと。"borrow"の語源は「借りる」ですが、ゴルフ用語では次のようなイメージになります。花壇の中の遠くの方の花にホースで水を与える場合、ホースをかなり上に向けないと遠くの花まで水は届きません。重力が水を手前に落してしまうからです。その重力の作用を考慮し、花に届くようにホースをかなり上向きに狙う行為が"borrow"です。パッティングでもサイドヒルでは相当上を狙うことになる場面が少なくありません。
ダブル・ブレイクは厄介である。《二つのブレイクがある場合、第二のブレイクは最初のブレイクよりシャープに曲がる》と覚えておく。何故かと云うと、最初のブレイクではパターで打たれた力が地形の影響より勝っているが、二番目のブレイクでは既に勢いを失っているためだ。ラインを読む際、 先ず最初のブレイクだけに集中し、どこから第二のブレイクが影響を与え始めるかを見極める。カップまで届かせる全体の距離を念頭に置いて推測すること。
盛り上がっている二段グリーンの上のカップにパットするのも難しいものの一つ。このテのパットに直面した時に必要なのは、ボールを是が非でも上の台地に到達させることである。でないと、ボールは元の場所に戻って来てしまう。台地に乗せ、勢いによってカップ近くに寄せる。2パットなら御の字と考えること」
(July 04, 2011)
'Swing Thoughts'
edited by Don Wade (Contemporary Books Inc., 1993, $12.95)
この本はPGAツァー、Championsツァー、LPGAツァーのプレイヤー数十人が、彼らをトーナメント優勝(あるいは準優勝)へと導いてくれた留意事項(swing thought、swing key)について語ったものです。「フル・スウィング篇」と「ショートゲーム篇」、「コース戦略篇」の三部に分かれていて、「フル・スウィング篇」には71人のプロが登場しますが、その18%に当たる13人が期せずして同じテーマで書いています。何だと思います?スウィングのテンポです。タイミングについて書かれたものも含めれば約20%になります。
誰もが「プレッシャーのもとでは、ついスウィングのテンポが早くなってしまう」と告白し、いかにそれをスローダウンするかに苦労しているようです。
「・Andy North(アンディ・ノース)1978年と1985年のU.S.オープン優勝者。
トーナメントでプレイする時の私の最大の関心事はテンポである。私はメンタルなイメージはメトロノームであることを発見した。自分の腕がスローな「one ? two」のリズムを、自分に可能な最も遅いテンポでスムーズにスウィングするよう務める。
もう一つ役立つ想念は、自分のスウィングをヴィデオ・テープを再生するように、ほぼ静止した画像を一齣ずつ送りながら視覚化することだ。私は自分のスウィングが実際に静止画像の連続であるかのように、テイクアウェイからダウンスウィングまでスウィングする。何故なら、それはテンポを確立する助けとなり、特にトップでの切り返しのタイミングに役立つ。
・Tom Weiskopf(トム・ワイスコフ)1973年全英オープン優勝、五つのメイジャーで二位。
優勝がかかったプレッシャー下ではスウィングだけでなく全てがスピードアップしがちになる。だから懸命にテンポに集中しなくてはならない。私は意図的に全てをスローダウンする。ゆっくり歩き、クラブをのろのろと引き抜き、決断さえゆっくり時間をかける。慌てる必要は全くないのだ。
・Scott Hoch(スコット・ホウク)PGAツァーとChampionsツァー計14勝。
私はとかく急いでプレイしがちで、それがスウィングに影響することがある(特にドライヴァーに)。幸運にも、私は効果的な鍵を発見した。ボールに向かってセットアップしたら、ターゲットに最後の一瞥をくれ、自分にこう云う、『ゆっくり引け』と。これは(特にプレッシャー下では)簡単に出来ることではない。しかし、私はスウィングの最初の3フィート(約90センチ)が鍵であると感じている」
・Sandy Lyle(サンディ・ライル)1985年全英オープンと1988年マスターズ優勝の英国プロ。
私は父からゴルフの手ほどきをされたのだが、父は(特にプレッシャーを感じる場面での)テンポの重要性を強調し、常々『ゴルフは(クウィック・テンポではなく)ワルツを踊るようにプレイさるべきである』と云っていた。プレイする時、私は何事もゆっくり実行するよう務める。充分時間をかけてコースに着き、ショットとショットの間も急がず、決断するのも慌てない。これは特に苦境に立った時に顕著だ。そういう場合、落ち着いた健全な精神が必要なのだが、せかせかしていては困難である。
【参照】「スウィング・キイ大全集・前篇/後篇」(tips_48.html)
(July 08, 2011)
'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)と全英オープン(1976)に優勝、Mastersで三度(1971, 1975, 1981)二位タイ、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。
「ゴルフ・スウィングのミスのほとんどは、バックスウィングからダウンスウィングへの方向転換の際に起る。多くのゴルファーのバックスウィングは正しいように見えるのだが、切り返しの時点で挫折してしまう。その原因はテンポにある。
早いバックスウィングのゴルファーに『ゆっくりバックスウィングせよ』と云っても無駄である。彼に、バッグからクラブをゆっくり引き抜き、ボールに向かってゆっくり歩き、ゆっくりティーアップし、両足をゆっくり開き、ゆっくりワッグルし、ゆっくりフォワードプレスするように指導すれば、彼も初めてゆっくりバックスウィング出来るだろう。周囲の目を気にしたり、ミスを恐れて早いバックスウィングをしてはならない。私が思うに、よいテンポの構築の50%はアドレスの前に完了している。プレショット・ルーティーンを慌てず実行すること。
スウィングの最適なテンポを見つける方法をお教えしよう。
練習場でウォーミング・アップを済ませた後、目一杯の早さでスウィングしてボールの飛距離を記憶する。次からは、一打毎に目一杯ではなく多少テンポを遅くしながら打ち、飛距離が落ちたかどうか確認する。もし、ある一打で飛距離が減ったら、その前の一打のスウィングがあなたのスウィングのテンポの限度である。そこを越えたら暴走だと考えること。
私はある年のツァー・プロ対象のドラコン・トーナメントに出場した。私は他のプロたちが渾身の力を振り絞ってボールをぶっ叩き、最大限飛距離を稼ごうとする姿を想像していた。Lee Trevino(リー・トレヴィノ)もJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)もハードに打ってはいたが、しかしそれはいつもツァーで見せるスウィングと何ら変わらなかった。言葉を換えれば、プロたちは常に目一杯ハードに打っているので、観ている者にはことさら努力しているように見えないということもあるだろう。
私は断言する、スウィング・テンポの限界以下でプレイする時、あなたは最大飛距離とソリッドなショットを手にすることが出来るのだ、と」
(July 08, 2011)
パッティング・コーチMarius Filmalter(マリウス・フィルマルター)が提唱するポイントいくつかのまとめ。
'5 new rules for your stroke' 「1. ストローク速度 [旧] ボールに向かって加速せよ あなたの脳はストロークが最高速度に達した際に、本能的にパターフェースをスクウェアにするように仕組まれている。インパクトまでに最高速度になっていないと(=あなたが加速を続けると)、パターフェースはスクウェアにはならない。 パット名人たちはフォワードストロークの初期にじわじわと(一気にではない)加速し、その後そのスピードを保つ。インパクトでは加速しない。インパクトで加速させない秘訣は、バックストロークとフォワードストロークの長さを同一にすることだ。 次の実験をせよ。ボールはすり抜けるもののパターヘッドは停止させてしまう間隔でティーを二本刺す。そのティーのすぐ手前にボールを置いてストロークする。パターヘッドはインパクト直後すぐ(二本のティーによって)停止するが、インパクト直前に正しく最高速度になっていれば、ボールは望んだところへ到達する。 【編註:最近のツァー・プロたちのストロークを見ていると、インパクト直後にパターを止めています。早いグリーンのせいもあるでしょうが、上の実験にそっくりに見えます】 |
2) アライメント
[旧] 身体をターゲットラインにスクウェアにせよ
[新] 前腕部がスクウェアなら、下半身の構えは(オープンだろうがクローズだろうが)どうだっていい
パットする時の下半身は(フルスウィングのようには)動かないので、方向性に影響を与えることはない。しかし、肩、腕、上体の向きは方向性に影響する。両方の前腕部をターゲットラインに平行に揃えれば、望んだ方向に打ち出せる。
正しくアドレスする方法はこうだ。ターゲットラインにスクウェアに立ち、パターを地面と平行にして両手で持つ。両肘は胸郭に軽く接触させる。その状態を保ったまま股関節から上体を折り、同時に両膝を緩めながらパターを地面に下ろす。この手続きは約4秒で済む。その後、お好みでスタンスをオープンにするなり、クローズにすればよい。
【編註:肩がターゲットラインにスクウェアなら、胸郭に接した前腕部もスクウェアになる理屈です】
3) ストローク軌道
[旧] 常にパターをストレートに動かせ
[新] インサイド→ストレートの軌道で動かせ
ストレート・パッティングはバックストロークでパターを上昇させねばならず、右肘が浮いてしまうためスウィートスポットで打つことが出来なくなり、しかも下降軌道でボールを打つことになる。
バックストロークとフォワードストロークはパターを円弧のように(インサイドに引き、同じ円弧軌道でインサイドからボールに向かって戻す)のが望ましい。ただし、インパクト・エリア(10センチ前後)からはスクウェア軌道でボールを打つ。
完全な円弧型ストロークだと、フェースがスクウェアにターゲットに向くのはごく僅かな瞬間でしかないので奨められない。
【編註:インサイド→スクウェアのストロークは、全盛期のArnold Palmer(アーノルド・パーマー)、Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)、そしてBen Crenshaw(ベン・クレンショー)などがやっていた方法で、別に目新しいものではありません】
4) ボールとの接触
[旧] 左手首を平らにしてボールを打て
[新] リラックスさせた手首によって、インパクトではロフトを増せ
『手首を平らに伸ばし続けろ』とよく云われるが、私の調査によればパット名人たちはそうはしていない。硬直した手は緊張を生み出しフィーリングを失わせる。彼らは手首を緩め、パターヘッドの重みに呼応して手首を甲側に折る。
パターヘッドを弾(はじ)き上げるのはお奨め出来ないが、ツァー・プロたちの多くはパターのロフトを活かして上昇軌道で打っている。
【編註:手首を緩めると方向が乱れる恐れがあります。現在ツァー・プロの多くが使っているロング・パターやベリィ・パターは手首を曲げないためのもので、これらの場合ロフトを増やしたりは出来ません。これについてMarius Filmalterがどう考えているのかは不明。The Mastersに一回、U.S. Openに二回優勝しているBilly Casper(ビリィ・キャスパー、1931〜)はボールにオーヴァー・スピンを与えるため、フェースを僅かに伏せ目にしていました。つまり、彼はインパクトでロフトを減らしていたのです!】
5) パターの選択【略】」
以上のように、全てMarius Filmalterの創意工夫というわけではなく、膨大な観察記録を元に「多くのツァー・プロがこうしているから、あなたもこうしなさい」と云っている感じです。「国民の大多数が『食べれる』と云っているのだから、【文法的に正しいとはいえ】『食べられる』なんて云いなさんな」という論理に似ています。
私が「なるほど」と思ったのは、「上体がスクウェアなら下半身のアライメントはどうでもよい」と「アドレスで両肘は胸郭に軽く接触させる」の二つでした。
私は三月のある日のラウンドで、アウトを合計10パット(インは14パットで8オーヴァー)、四月のラウンドでアウトを合計12パットで済ませたことがありますが、それは…
1) フォローを出さない【上の1とごく僅かに合致】
2) アライメントは足も前腕部もスクウェア【上の2と半分合致】
3) バックストロークでパターヘッドを上昇させる完全なストレート・パッティング【上の3の逆】
4) 手首は緩めず下降気味のインパクト【上の4の逆】
…というメソッドでした。記憶が薄れていますが、この時私はかなり屈み込むポスチャーをしていたので、両肘は胸郭に軽く接していたと思います。
【参照】
・「インサイド→スクウェアのパッティング」(tips_105.html)
・「インパクトの研究(パット篇)」(tips_112.html)
(July 13, 2011)
これは「インパクトの研究」シリーズの一つではありません。2005年に紹介した「ディヴォットを取れ!」正篇(tips_95.html)の続きです。最近、この記事を読み返してみて「どれだけ読者に理解して貰えただろうか?」と不安になりました。ディヴォットを取る位置だけは図解しましたが、レイト・ヒットのためのドリルにも写真をつけるべきでした。
'The Secret of Golf'
edited by George Peper (Workman Publishing, 2005, $18.95)
最近紹介を再開した「インパクトの研究」シリーズはBobby Clampett(ボビィ・クランペット)のディヴォットを取れというメソッドですが、それは元をただせばHomer Kelley(ホーマー・ケリィ、1907〜1983)著の'The Golfing Machine'に全て書かれていることです。こちら「ディヴォットを取れ!」正篇のPGAインストラクターPaul Bertholy(ポール・バーソリィ、1915〜1998)が'The Golfing Machine'の影響を受けていたかどうかは定かでありませんが、かなり似通った趣旨です。Paul Bertholyは"Any golf swing that does not cut a post-hit divot with an iron is a fake."(ボールを打った後ディヴォットを取らないアイアンのスウィングは、全てまやかしに過ぎない)と断言します。
Paul Bertholyは亡くなる前、直弟子のDoug Ferreri(ダグ・フェレリ)に草稿を渡し、Doug Ferreriがそれを'Golf Swing Construction 101―The Bertholy Method Revisited'として出版しました。別ウィンドウで次のサイトを開いてみて下さい。
http://www.paulbertholy.com/paulbertholy/Meet_Doug_Ferreri.html
ここにはダウン・スイングの写真しか載っていませんが、この画像を利用してドリルの説明をします。
・黄金のドリル・パートA
1) 左手一本でアドレスする。
2) 右手は、左から二番目の写真と同じ位置・形でクラブを待ち受ける。
3) バックスウィングを開始し左手が右太股に到達したら、左手から30センチ離れたシャフト部分を右手で握る。
4) そのままトップに向かう。上体を充分捻転すること。
5) 一番左の写真のように、ボール目掛けて垂直にダウンスウィング。【これがレイト・ヒットの形】
6) 右手が右太股を過ぎると同時に、左から二番目の写真のように右手を離す。
7) ボールのターゲット方向約20〜30cmの地面を抉る。【左から三番目の写真】
7) インパクトを終えるまで、右手はアドレス時の位置・形を保持する。【同上】
8) クラブを握った左掌は上向きとなり、腰の高さでフィニッシュ。【一番右の写真】
9) ディヴォット跡を少なくとも10秒間見つめる。
…以上を、通常の1/10のスピードで行なう。慣れて来たら、次第に通常の速度の25%まで早める(それ以上は不可)。
・黄金のドリル・パートB
パートAに習熟するまではパート2に移行すべきではない。パートAでは手が腰の高さでフィニッシュしたが、今度は大きなフォロースルーを取る。右手はあくまでもパートAのフィニッシュの位置・形を保持する。
・黄金のドリル・パートC
ここに至って、初めて普通のグリップでクラブを握ってフル・スウィングする。
Paul Bertholyは次のように云っています。
「・ダウンスウィングはベルトの下(=下半身)から開始すること。左膝がターゲット方向に曲げられ、体重移動と共にSam Snead(サム・スニード)のスクヮット(しゃがみ込み)姿勢を形成する。
【編註:「ベルトの下から開始する」は下半身主導のダウンスウィングであり、「左膝がターゲット方向に曲げられ」は、最近の私のテーマである《ダウンスウィングの開始は左膝をターゲット方向に送ること》と、ぴったり一致します】
・それに続くのは、確固とした左腕、フラットな左手首、曲げられた右肘、コックされたままの(というか、さらにコックを強めた)右手首などの、スウィングのかなめ石である。この動きが実行されれば、クラブヘッドは依然としてゴルファーの頭の左にある筈だ。この動作は“打とうとする衝動”を排除してくれ、素晴らしいコントロールと飛距離を生むレイト・ヒットの第一段階となる。アマチュアからプロまで全てのゴルファーの最大の敵は“打とうとする衝動”であり、それがベルトの下からではなく上体でダウンスウィングを開始させしまう原因だ。黄金のドリルは、その恐ろしい過ちを防ぐために考案された最も効果的なシステムである」
【参考】
・「ディヴォットを取れ!」(tips_95.html)
・「下半身主導のスウィング」(tips_129.html)
(July 28, 2011)
'Golf Magazine's Handbook of Putting'
by the editors of Golf Magazine (Harper & Row, 1959)
「3パットの多くは、ラインをミスするよりも最初のパットを強く打ち過ぎたか、いい加減に打たれた結果である。ベントであれバミューダであれ、芝目は一定していないのが普通なので、ボールの速度が落ちるカップ周辺をつぶさに調べるべきだ。
ロング・パットには二種類の強さが必要である。一つはブレイクの頂点を越せる強さで、もう一つはカップ迄の残りの距離を転がす強さである。パットの名手は30フィート(約9メートル)の距離を20フィート(約6メートル)と10フィート(約3メートル)に分けて強さを考える。注意すべきことは、40フィート(約12メートル)のパットの強さは、20フィート(約6メートル)の二倍の強さではないということだ。一旦全てを決意したら二度とラインを見ないこと。でないと、やろうとしたことを全て失ってしまう。距離だけに集中すること。
ロング・パットを遂行するには二つの流派がある。「ネヴァーアップ、ネヴァーイン派」がその一つ。Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ、1902〜1971)は次のように云っている。『ネヴァーアップ、ネヴァーインという主張は、私には理に叶っているとは思えない。ラインが正しくてもショートしたボールが入るわけはないのは当然だが、カップを通り越したボールも入る筈がない。私には、たとえボールが入らない場合でも、カップの傍かカップを一寸過ぎたところで止まる強さを想定して打つのが得策だと思われる。カップ内の向こう側の壁にボールを打ちつける方法だと、たった1インチ(約2.5センチ)のターゲットしかないが、カップ近くで止まるボールには転げ込む四つの入り口(前後左右)がある』 これに対しCary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ、1921〜1998)は次のように主張する。『距離の長短に関わらず、どのパットも抛り込む気になるべきだ。カップ近くに寄せるようなパットでは、絶対に入る筈がない。大胆にパットすると返しのパットの距離も長くなるのは事実である。大抵のゴルファーは返しのパットに臆病になる。しかし、短い返しのパットではブレイクは無視出来るし、ラインは数秒前に見たばかりだ。同じラインで自信を持って打てばよい。芝目が逆になることだけに注意するように。順目でパットしたら、返しのパットは逆目になる』 あなたがロング・パットをしょっちゅうショートしていて、『ネヴァーアップ、ネヴァーイン派』になりたいのであれば簡単な公式がある。それは《3メートルにつき30センチ多めに打つ》という方法だ。例えば、カップから6メートルのところにボールがあるなら、カップの60センチ向こうを狙い、9メートルのパットならカップの90センチ向こうを狙う。12メートル以上の距離になったら、カップの周りに洗濯盥(だらい)の円を視覚化し、その中に転がすことに集中する。 |
重要なこと:ボールがカップの横を通過しても、がっくりしてボールから目を逸らしたりしてはならない。ボールが停止するまでじっくり見守ること。返しのパットのラインの重要な情報を見損なわないように。
こういう大胆なパッティングを慎むべきなのは、早いグリーンでの下りのパットだ。こういう場合は、打つ前にグリーンの表面、早さ、傾斜、芝目などをよく調べること。そして、バーディを狙うか、寄せて容易いパーを得るかを決断する。このテのパットでは、一般的に云ってカップの距離で停止する強さで打つのが賢いやり方だ。幸運にもカップインすることもあり得る。逸れたとしてもカップの真下だから、返しのパットは易しい上りのパットになる。全ては状況次第であるが、バーディ・チャンスをボギーにだけはしないこと。
もう一つの流派は『ラグ・パット派』である。この一派であることを自認するプロFrank Beard(フランク・ビアド、1939〜)は次のように云う。『「ネヴァーアップ、ネヴァーイン派」は、ボールをストレートにカップの向こう側の壁にぶち当てねばならない。この方式は横から転げ込む可能性をゼロにしてしまう。入らなければ5フイート(約1.5メートル)もオーヴァーし、その長い返しのパットをミスする危険も孕んでいる。私のメソッドだとカップの手前に届かせる強さに集中すればよい。これは、高くつく3パットを未然に防いでくれる』
『ラグ・パット派』には二つのセクトがある。その一つのグループは、カップの周りに直径6フィート(約1.8メートル)の円を視覚化し、その中にボールを送り届けることを考える。もう一つのグループはカップの中でボールが息絶えるように打つ。ミスしても、次のパットはタップインである」
(August 01, 2011)
この記事の筆者Johnny Miller(ジョニィ・ミラー、1947〜)は、U.S.オープンと全英オープンの優勝を含めてPGAツァーで25勝し、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者となっています。
'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)
「私はゴルフ・スウィングはすべからく自然に行なわれるべきだと考える。
上手なゴルファーがいいラウンドをしている際、左腕が自然に伸びていると感じるものである。しかし、意識的に左腕を身体から離そうとするのは間違いだ。右腕が自然に機能する範囲内で左腕を自然に伸ばせば充分なのである。右腕を引き上げる動きが左腕の伸張を誘発する。肩を回転させれば、それもまたスウィング弧の拡張をもたらす。肩の回転が不充分な状態でストップした時だけ、左腕が折れてしまう。
意図的にスウィング弧を拡張せよと唱える人たちは、バックスウィングの最後迄手首のコックを遅らせるべきだと主張する。私に云わせればこれは不自然で、いったん不自然なことを始めると、その辻褄を合わせるのに凄く手間がかかるものだ。
正しい拡張とはこうだ:右腕が引き上げられれば左腕が伸びる。それが両手の間に自然の梃子の作用を作り出す。それはまた(拡張論者たちが『腰の高さまでにコックしてはならない』と云うのとは反対に)早期のコックを誘発する。
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)やGary Player(ゲアリ・プレイヤー)は拡張派であり、コック時期を遅らせている。これは彼らが意図して習得したものであって、リラックスした自然な動きではないと私は考える。あなたが彼らの真似をする前に考慮すべきなのは、彼らがいかに強靭な身体を持ち、才能もあり、練習量も想像を絶するものであるかということだ」
【参照】「早めのコック」(tips_4.html)
(August 07, 2011)
'The Putting Prescription'
by Dr. Craig L. Farnsworth (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $24.95)
元検眼医で各種スポーツにおける眼の能力を発展させる方面の第一人者となり、現在はPGAツァー・プロにパッティングを指導しているDr. Craig L. Farnsworth(クレイグ・L・ファーンズワース博士)の、'See It & Sink It'(1997)に続く二冊目の本。彼は“パット・ドクター”を自称しています。今回の本は内容も濃く、パッティングの全ての側面が網羅されており、Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)の'Putting Bible'を凌ぐ出来映えとなっています。原題'The Putting Prescription'(パットのための処方箋)は、全ての記事を医師による処方箋に見立てている洒落。
Craig L. Farnsworthは、ストレート・ストロークより円弧型ストロークの方が優っていると主張します。以下は彼の理論をまとめたものです。
「なぜ、円弧型ストロークをすべきか?これまで教えられていたターゲットラインに終始スクウェアな「ストレート↔ストレート(英語では"straight-back, straight-thorough")のメソッド」を実行するには、手・腕による小細工の必要性がある上、不自然に肩を上下させる動作によって首や頭が動き易いという弊害もある。パターフェースを終始スクウェアに保とうとすると、バックストロークでフェースを伏せ目(あるいはクローズ)にし、フォワードストロークではオープンにしなければならない。
PGAツァー・プレイヤーやトップクラスのアマチュアを指導している経験から、私は理想的なストロークはバックでパターフェースをオープンに、インパクトでスクウェア、フォローでクローズになるストロークだという結論に達した。これはフル・スウィングの小型版とも云うべき軌道であり、言葉を換えればパッティング軌道は(ストレートではなく)円弧であるということだ。
【編註】円弧とは云っても、そのカーヴは円と云うよりほぼ直線に近いものです。写真の練習器具を御覧下さい。30cmのバックストロークでも、ターゲット・ラインからたった5mmインサイドになる程度です。
上のストロークをマスターするには"Trunk Rotation drill"(胴体回転ドリル)という良い練習法がある。直立し、両肘を身体につけたままパターを腰の高さに上げ、地面と平行に構える。その状態で水平にバックストロークとフォワードストロークの動作を行なう。バックではパターフェースがオープンになり、インパクトでスクウェア、フォローでクローズになる。それが自然で正しい動きである。
両肘は胴の両脇にくっつけるのではなく、身体の輪郭より内側に接するようにする。私が好ましいと考える位置は《左肘は胸の前、右肘は脇の近く》である。言葉を換えれば、左肘は右肘ほど折られないということだ。両腕はテンションを生じない範囲で出来るだけ近づける。
左腕が胸に接し続ければ、右サイド(右腕、右肩そして背中)はフォワードストロークでボールにパワーを与えることが出来る。これはこの『パット・ドクターのストローク』の鍵である。
両肘を身体に付けている限り、ストローク軌道のカーヴ(インサイド↔インサイド)について考える必要はない。胸の動きにつれ、パターヘッドは自然にカーヴする。小細工は一切必要としない。
実際のストロークでは上のドリルの動きを再現するようにパットする。慣れるまで、上のドリルをプレショット・ルーティーンとして用いるとよい。
【留意点】
・肘を身体に接触させた両腕が肩を引っ張り、胸を廻す。
・両腕と肩で形成される三角形を維持すること。腕や肘、手首を独立して動かさないように。
・肩を(上下ではなく)終始地面と平行に動かすこと。【重要】
・きついグリップは緊張を生じるので不可。
・頭を動かしたりスウェイしたりしないこと。
・フィニッシュはアドレス位置をほんの少し越えるだけにすること。3メートルのパットの場合、両手は左脚の中心を越えるべきではない。
・10〜12メートルのパットでもない限り、バックストロークは自分の身体の幅の外に出さないこと。
・2メートル以内のパットでは、ほんの少し腕と肩を廻すだけでよい。
両肘を身体に接したままパットする練習法がある。タオル(あるいはヘッド・カヴァー)を横に伸ばし、両脇の下に挟んでパットする。ヘッド・カヴァーが一つの場合は、ターゲット方向の脇の下に挟む。ターゲット方向の腕が(チキン・ウィングのように)浮き易いからだ」
Craig L. Farnsworthはストローク開始の切っ掛けとして、よく行なわれるフォワード・プレスよりも、地面をとんとんとパターヘッドで叩くことを推奨します。これは両肘を身体に密着させていることを確認する動作としても最適です。往々にして両肘が身体から離れがちになるので。
フォローを短く止めるというと、昔の手首でパチン!と弾くメソッドを想起しますが、Craig L. Farnsworthのメソッドはそれと同じではありません。彼のは手や手首の勝手な動きを封じ、大きな筋肉に主導権を握らせるシステムですから、昔の方式とは完全に異なります。最近のPGAツァーのTV中継を見ていれば判ることですが、ほとんどのプロが短いフォローをしています。
円弧型ストロークには、ヒール近くにシャフトがあるパターが向いています。このタイプのパターを水平に指で支えると、ヒールよりトゥの方が下になります。スウィング・ドアの開閉のようなストロークに適しているわけです。
【お断り】Dr. Craig L. Farnsworthは「両肘を胸に接触させ、腕や手を使うな」と云っているだけで、「胸でパットする」とは云っておりません。しかし、彼のメソッドは結果的には「胸でパットする」ことになるという解釈で、見出しとして採用した次第です。
(August 10, 2011)
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)、全英オープン(1976)に優勝、Mastersで三度(1971, 1975, 1981)二位タイ、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。
'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)
「バックスウィングの最終段階は次のような状態である。
・体重は右足の若干内側で、右膝が定位置からずれない程度に、可能な限り腰を廻す。
・肩は最大限廻され、両手とクラブは右肩の上方に位置している。
・クラブヘッドは矢のようにターゲットを差している。
・右腕と手は投手のワインドアップのように振りかぶり、曲げられている。
・左手首はアドレスした時の角度を保っている。
私はこのスウィングのトップで、一瞬の間(ま)を置くことを奨めたい。アマチュア時代、私は練習場に行くと、スウィングのトップで1秒か2秒静止し、それからダウンスウィングに移ったものだ。それ以後、私は多少のトップの間を置くようにしている。現在ではその間(ま)は以前よりやや短くなっているだろうが、この間(ま)によってどんなタフな状況下でもテンポが崩壊することはないと自信を持って云える。
身体の各部分は、同時にではなくバラバラにバックスウィングを完了するということを理解すべきだ。捻転は順を追ってなされ、膝と腰は肩より先にバックスウィングを完了し、肩は腕よりも先にバックスウィングを終える。手首のコックはバックスウィングの初期に形成されているが、トップでもう少しコックされる。この手首の追加のコックは、両手がバックスウィングを完了させる際にクラブヘッドが引かれることと、ダウンスウィングをリードする左サイドの引く動きによって起る。シャフトの方向変換は、手首に最高のコック状態をもたらす。
両手とクラブがバックスウィングを完了させた時、左脚がダウンスウィングを開始する。左側に向かう左脚主導の引き下ろす動きが、手に感じられる以前にタイムラグがある。このタイムラグが一瞬の間(ま)として感じるべきものだ。これはスウィングの方向転換の証しとして非常に重要なものである」
「Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)の切り返し」(このページ)に続く。
(August 13, 2011)
当サイトにはスウィングの「トップで間(ま)を置け」というtipが沢山ありますが、以下のは現在のTiger Woods(タイガー・ウッズ)のコーチSean Foley(ショーン・フォリィ)による最新版。Tigerが絶不調なので、Sean Foleyもいつ馘になるか分かりませんが。
'Stop at the top'
by Sean Foley ('Golf Digest,' September 2011)
「私が一緒に仕事をしているJustin Rose(ジャスティン・ローズ)とTiger Woods(タイガー・ウッズ)の二人は、時折スムーズな方向転換のタイミングを待たずに"violent transition"(粗っぽい切り返し)をする。彼らの目標は徐々にダウンスウィングの速度を増し、インパクトで最速にすることだ。しかし、切り返しが粗っぽくなると、インパクトでクラブフェースをスクウェアにすることが困難になる。
アマチュアの多くも、貧弱な切り返しで苦労している。あまりにも急速なテイクアウェイをし、ダウンスウィングを始める前にバックスウィングをきちんと完了させないのが原因である。
あなたが同じことで悩んでいるのなら、私がJustin RoseとTiger Woodsに勧めているドリルが役に立つと思う。次の練習の際、スウィングのトップに達したらダウンスウィングに移る前に一秒だけ間(ま)を置いてほしい。
私が『練習の際』と云ったのは、あなたが早い切り返しをするタイプなら、このドリルはかなり風変わりで、慣れるまでに時間がかかるだろうからだ。しかし、間(ま)を置いた後では思い切りハードにダウンスウィングすることが可能だから、ボールは勢いよくクラブフェースから跳ねて飛んで行く筈だ」
【参考】
・「Tommy Armourのトップの間(ま)」(tips_4.html)
・「“トップの間(ま)”賛否両論」(tips_2.html)
・「積極的躊躇」(tips_2.html)
・「“トップの間(ま)”検事側の証人」(tips_25.html)
・「Leadbetter(レッドベター)のトップの間」(tips_40.html)
・「トップの間(ま)・新しい視点」(tips_78.html)
・「テンポとトップの間(ま)」(tips_78.html)
・「トップの間(ま)の正体」(tips_82.html)
・「究極のトップの間(ま)」(tips_100.html)
・「パットでもトップの間(ま)」(tips_65.html)
(August 13, 2011)
Dr. Craig L. Farnsworth(クレイグ・L・ファーンズワース博士)推奨の「円弧型ストローク」は、彼の発明ではありません。ずっと以前からあるパッティング技法の一つです(末尾のリンク参照)。しかし、"Trunk Rotation drill"(胴体回転ドリル)は彼の発明です。
Craig L. Farnsworth以前に円弧型ストロークを説いたインストラクターStan Utley(スタン・アトリィ)は、「アドレスでは、両肘が“ソフト”な状態で胸郭(胸椎・肋骨・胸骨などが形成する籠状の骨格)に接していることを意識するようにしている」と云っているだけで、両肘を身体につけることをさほど強調していません。
'The Putting Prescription'
by Dr. Craig L. Farnsworth (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $24.95)
「・フォワードストロークは短かめであるべきで、理想的には(バックストロークをストローク全体の60%とした時)40%が適切である。昔のメソッドは『短いバックストロークで、長めのフォワードストロークというものだったが、これは慌てふためいた手主導の切り返しを生み出してしまう。60:40の比率だと、そういうせわしなくハードに打つような結果にはならない。慣性に任せればよいのだ。
・グリップ圧は、アドレスからインパクトまで常に一定に保つように。それが腕、肩、背中を一体にして動かしている証しとなる。
・プルしたとしたら、手を使って方向をコントロールしたせいだ。
・多くのインストラクターが腕一本だけによるパッティング・ドリルを推奨するが、そのほとんどは間違っている。それは腕を使ったストロークに化けてしまい、特に左腕一本での練習は左肘を身体から離す結果になり易い。腕一本による練習をするなら、右手だけで右肘を胸につけたままストロークすべきだ」
私は"Trunk Rotation drill"(胴体回転ドリル)を忠実に実行し、ある日のラウンドを終始このメソッドで通してみました。しかし、僅かにプッシュすることが多く、パット総数も31と、目覚ましい成果には繋がりませんでした。
その翌日、練習だけのためにコースへ行った私は(なんせ片道10分ですからね)、練習グリーンで右手一本だけのパッティングを試しました。やはりプッシュします。かと云って、意図的にフェースをクローズにするのは、このメソッドの趣旨に反します。円弧型ストロークは小手先で軌道をコントロールせず、大きな筋肉を使うメソッドだからです。
私は一時間ほどの練習で、やっとコツを掴みました。それは《左膝を動かさない》ということです。パターヘッドを意識的にインサイドに引こうとすると、左膝を右に捻りたくなります。それを堪えてぐっと踏ん張らねばなりません。左膝を捩ってしまうと、フォワードストローク開始の動きは左膝をターゲット方向に逆回転させることだけになってしまい、胸(=左肩)のターゲット方向への回転が不足してしまうのです。結果は当然プッシュ。ですから、どうあっても左膝を動かしてはなりません。
頭を動かさず左膝も動かさないというと、何かがんじがらめで難しいようですが、Dave Stockton(デイヴ・ストックトン)流の「乗馬風アドレス」(大きく足を開いて踏ん張る)をすれば膝は動きません。頭だけに注意すればいいのです。
Craig L. Farnsworthは「(10〜12メートルのパットでもない限り)バックストロークでパターヘッドは自分の身体の幅の外に出さないこと」と云っていますが、私の場合、3メートルぐらいでもバックでパターヘッドは身体の外に出ます。そうでないとカップに届きません。
最近引っ張りだこと噂のパッティング・コーチMarius Filmalter(マリウス・フィルマルター)は、「完全な円弧型ストロークだと、フェースがスクウェアにターゲットに向くのはごく僅かな瞬間でしかないので奨められない」と云い、「インパクト以降はターゲットに向かってストレートにパターヘッドを出せ」と主張します。しかし、Craig L. Farnsworthは最初から最後まで円(回転)運動に徹すべきであって、無理に方向を制御すべきではないという立場です。私も意図的にターゲットにパターヘッドを向かわせると、手首に力が篭って、タイミングによっては方向が左右に乱れるような気がします。
【参考】
・「インサイド←→インサイド・ストロークの探求・証言篇」(tips_98.html)
・「インサイド←→インサイド・ストロークの草分け」(tips_98.html)
・「パットでも'One Move'」(tips_70.html)
・「Stan Utleyのアーク(弧)パッティング」(tips_103.html)
(August 16, 2011)
“パット・ドクター”Dr. Craig L. Farnsworth(クレイグ・ファーンズワース博士)の「胸でパットする」に、バックストローク:フォワードストロークは60:40の比率にすべし」とあります。以下の記事は偶然かどうか、全く同じ趣旨です。
'Longer back, shorter through'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' September 2011)
「大概のゴルファーは、パターヘッドがボールに衝突する際のエネルギーのロスに斟酌しない。衝突はパターの勢いを減ずるので、多くの場合、ゴルファーに距離の不足を補うための過剰な加速をさせる原因となる。不幸にも、この突然のスピード変更は、さらに貧弱な距離のコントロールを招く。
完璧なスピードでオンラインのパットをするためのスムーズな加速を生むには、長いバックストロークと短いフォワードストロークをすべきだ。その比率は約60:40である。これはインパクトでのエネルギーのロスを帳消しにし、インパクトでパターヘッドが捩じれたり持ち上がったりすることのない、穏やかな加速を生み出す。
インパクトに向かって過剰な加速をすると、早過ぎるタイミングでパターヘッドを浮き上がらせてしまい、ボールとの貧弱なコンタクトを生む。正しい転がりと距離のコントロールのためには、ボールを打つまで地面すれすれの低いストロークをすべきである。
次のドリルを勧める。ライン上の左目の下にコインを置く。そのコインを掃くようにストロークする。コインを打てなかったら、あなたのストローク軌道の最低点への到達のタイミングが早過ぎ、パターを持ち上げ過ぎている」
(August 16, 2011)
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)、全英オープン(1976)に優勝、Mastersで三度(1971, 1975, 1981)二位タイ、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。 'Pure Golf' 「ダウウィンスウィングは左膝の動きによって開始する。もっと正確に云うと、左膝がターゲット方向に横に動く。 バックスウィングでは体重を右足に移動させねばならなかった。ダウンスウィングに移る際、その体重を左に移さねばならない。左膝が左に引かれ、右膝は右足をプッシュして左サイドへの動きを加勢する。 この点をよく理解して貰いたい。ダウンスウィングを開始するのは左膝である。腰ではない。有名なインストラクターを含む多くのレッスン・プロが『腰の横移動がダウンスウィングを主導する』と主張して止まない。これは駄法螺である。実際のところ、脚の動きなしに腰を動かすことなど不可能である。もし腰を横移動させたりしたら、頭も横移動してしまう。すると、インパクトまでに上半身全体がボールの前方(ターゲット方向)に移ってしまい、後方にあるボールを打つというミッション・インポッシブルを遂行せねばならなくなる。 バックスウィングのトップで右に動いていた左膝は、左足に体重を戻すためダウンスウィングの最初の動きとして、左に大きな横移動として動く。この横移動は、腰ではなく、膝で行なわれる。 膝の動きが上体の連鎖反応を引き起こす。左膝の横移動が左腰を引く。その腰の回転が左背中の捩られていた筋肉を緩め、身体の左側面と腕をボールに向かって引っ張り下ろし始める。この左腕の引くアクションは、左利きのテニス・プレイヤーのバックハンドに似ている(軌道だけは異なるが)。 左サイドの引くアクションが上体(胴、肩、腕、手首、そしてクラブ)をワン・ピースとして引き下ろす。それら各部は、単に左側へ引き下ろされるだけで一切何も行なわない。それらはトップで形成されたままの形を保っている。手首はコックされたままで、右腕は依然として投手のワインドアップの形に曲げられている」 「Johnny Millerのダウンスウィング」に続く。 |
【参考】「Johnny Millerのトップの間(ま)」(このページ) (August 19, 2011)
●Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)のダウンスウィング
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)、全英オープン(1976)に優勝、Mastersで三度(1971, 1975, 1981)二位タイ、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。
'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)
「頭は、ダウンスウィング時にターゲット方向に流れてはいけない。身体がボールの前に行ってしまっては、パワーを与えることが出来なくなってしまう。ダウンスウィングで捻転を解く間、頭はボールの背後にあるように感じること。
多くの人々が『ダウンスウィングは全て左サイドで遂行され、右サイドは何もしないか受動的である』と云う。何たるたわごと!ゴルフは左右両サイドのゲームであり、右腕の梃子が原動力である。左腕だけでボールを打っても飛ぶわけがない。私はバックスウィングのトップで形成された右腕と右手首の角度を"release of angles"(角度の解放)と呼んでいる。この"release of angles"こそがパワーの源泉だ。
私がインパクトの瞬間に近づく時、両サイドで努力する。左サイドは引き、右サイドは"release of angles"をするのだが、私の意志は両サイドがクラブ全体をフィニッシュへと向かわせることにある。右腕の角度はインパクトを過ぎるまで完全には解放されない。これによって本当の飛距離が得られる。
私はインパクトを感じることが出来る。私はアドレス時に作った左手甲と右手の平による想像上の“壁”を、インパクトに戻していることを感じる。その理由は、私のグリップがスクウェアだからだ。過度にストロング・グリップだったりウィークだったりすると、インパクトを感じ取ることは難しい。
インパクトを1メートルほど過ぎたところで右手が真っ直ぐ伸びる。両手が完全に真っ直ぐになるのはこの時だけである。クラブがターゲットを指すまで、長く拡張された両腕は勝手に飛んで行くように見える。あなたがフォロースルーでこの状態を作り出せないとしたら、身体の左右どちらかのサイドがちゃんと働いていないのだ。
あなたがフラットなスウィング・プレーンのゴルファーであれば、アップライトに立ち、両手を高く上げ、Ben Hogan(ベン・ホーガン)のように両肩が水平なフィニッシュになるだろう。あなたがアップライトなスウィング・プレーンの持主なら、左肩が右より高いフィニッシュになるはずだ。
Ben Hogan(ベン・ホーガン)が云っていたことだが、フォロースルーの最後では一切のテンションを感じるべきではない。リラックスし、左足の上で完全なバランスを保つフィニッシュが望ましい」
【参考】
・「Johnny Millerのトップの間(ま)」(このページ)
・「Johnny Millerのダウンスウィング」(このページ)
(August 26, 2011)
1981年U.S.オープンに二位タイに入り、ツァーで六勝を挙げたGeorge Burns III(ジョージ・バーンズ三世)の留意事項。
'Point the end of the club at the ball and the divot'
by George Burns III ('Swing Thoughts' edited by Don Wade, Contemporary books Inc., 1993, $12.95)
「私はプロ生活の最初から、プレッシャー下における大きなフックを防止する必要があった。多くのプロ同様、終盤の熱気が高まるにつれスウィングが早くなる傾向もあった。
1985年のあるトーナメントの際、私はインストラクターJim Flick(ジム・フリック)が教えてくれた練習法によって、フックとテンポを改善した。その方法とは、
1) バックスウィングで手が右腰の高さになった時に、グリップエンドがボールを差すようにする
2) ダウンスウィングで手が右腰の高さに戻った時に、グリップエンドがボールを差すようにする
3) インパクト後、手が左腰の高さになった時に、グリップエンドがディヴォットを差すようにする
…というものだった。
この方法によって私のフックは消滅した。同時にスウィング幅も大きく広がった。この週、私は55のグリーンにアプローチ・ショットを乗せることが出来た。【1ラウンドにつき平均14のパーオン】 これほど多くパーオンさせられれば、優勝出来ない方がおかしい」
(August 31, 2011)
Ben Hogan(ベン・ホーガン)は、「おれは、ボール位置を変えて打てるほど器用じゃない」と云ったそうです。とすると、私などがボール位置を変えて打つなんてのはおこがましいのですが、それが成功しているのですから書き留めておく必要大ありなのです。
通常、私のドライヴァーのボール位置は左爪先の前方です。ローンチ・アングルを高くせよという情報が飛び交った頃は、左爪先前方より左側でした。しかし、ポップアップが恐いのと、 TaylorMadeの主任技術担当役員が「高くティーアップする戦術は、ドライヴァーを下降中にボールと接触させるスウィング(これは一般ゴルファーには望ましくない)をする人だけが採用すべきだ」と云っているのを読んで以降、昔そうであったようにボールの20%程度だけがクラウンの上に出ている感じに戻しました。【参照:「低くティーアップすべき理由」(tips_128.html)】
ついでに記録しておくと【このサイトは『日記』ですのでね】、現在の私はドライヴァーのヘッドをボールの10センチほど後方で構えています。左爪先前方のボール、低めのティーアップ、10センチ後方のヘッド…で、ストレートで私の貧弱な体格としてはまあ満足出来る距離にボールを運んでいます。
ところで、私のコースのNo.16とNo.18のフェアウェイは右側が高く、しかも固い地盤になっています。そのため、ティー・ショットが右に着地すれば30〜50ヤードはエクストラのランが得られます。左に向かったティー・ショットにランのサーヴィスはなく、No.18の場合など谷底へ転がってしまうため、二打目で右側より40ヤードは余計に飛ばさないといけなくなります。
で、上の二つのホールのティー・ショットでは、私はボール位置を(爪先ではなく)左足踵から10センチ右の前方にし、グリップも絶対にストロングにならないように注意します。この二点の留意事項を守れば、ボールは狙い通りフェアウェイ右に向かいます。
上の手法をNo.11(パー4)でも使い始めました。ここはブラインドの右ドッグレッグで、着地点の左に堀、右に林という難物が待ち構えています。フッカーである私は堀に近い危険地帯か、それを避けようとして木々でスタイミーになる地点にティー・ショットを運ぶことが多い。ここでもボール位置を左足踵から10センチ右の前方にし、ウィーク・グリップで、フェアウェイ中央のやや右の安全地帯にボールを運ぶようにしました。これも役立っています。
私はフック系なので、故意に左を狙うということは先ずありません。黙っていると左に行っちゃうので。
(August 31, 2011)
'Golf Magazine's Handbook of Putting'
by the editors of Golf Magazine (Harper & Row, 1959)
「大抵のゴルファーは3メートル以下のパットを沈めて当然と考える。この距離は普通パーを射止めるかボギーに堕すかと相場が決まっていて、パーなら成功、ボギーなら失敗なのだ。しかし、それがバーディ・チャンスであれば緊張は高まる。いずれにしてもショート・パットは重要である。 しかし、パットの重要性によって痺れてはならない。ショート・パットの多くは次の二つのどっちかによって失敗する。充分時間をかけなかったか、時間をかけ過ぎたかのどちらかである。その中間でパットすべきだ。 多くのゴルファーは1.5〜2メートルのパットに怯(ひる)んでしまう。彼らは自信を持ってしっかり打つのではなく、ボールの舵を取ろうとする。これを防ぐには、カップの位置をしっかりと心の目に焼き付けることだ。そのメンタルな映像に向かって身体でパットする。少しの練習で、このような試煉のパットを確固たる意思で打てるようになる。インパクトでぐずぐずにならないしっかりしたストロークが出来るようになる。 もし、あなたがショート・パットに苦しんでいるのであれば、ストローク法を若干変えるべきだろう。実際のところ、ロング・パットとショート・パットに同じストローク法を用いることが困難だと感じているプレイヤーは少なくない。距離が短くなるにつれ、バックストロークも短くなり、ストローク弧も短くなる。ストローク弧が短くなればパターヘッドに加えられる強さも減り、同時にフェースをスクウェアに保とうとする遠心力も弱まる。長めのパットでは遠心力を指先で感じることが出来、それを指針にスムーズなストロークが可能である。しかし、ショート・パットではその指針が得られないので、ラインから逸れ、捻るような、ギクシャクしたストロークになり易い。あなたは、ショート・パットで捻ったりギクシャクしないで済む動作を開発すべきだ。 その一つの解決法は『タップ・パット』である。これは手首の梃子を用いて、手だけで実行される。フォワード・ストロークはインパクト後、すぐ停止する。この方式の特徴はストロークの短い半径、短い弧である。それゆえ、しっかり打ててクラブヘッドの動きも手に感じることが出来、捻ったりギクシャクするストロークにはならない。警告しておくが、この方法を2メートル以上の距離で試みないように。 ショート・パットでは、グリーン表面の状態、傾斜、芝目などを調べた後、ボールの後ろからラインを視覚化する。そしてボールのターゲット方向15〜20センチのところに中間目標を見つけ、そこを通過するように打つ」 |
(September 04, 2011)
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)、全英オープン(1976)に優勝、Mastersで三度(1971, 1975, 1981)二位タイ、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。
'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)
「1) ワン・ピース・テイクアウェイ
ワン・ピースで全てを一体に動かすことの重要性は、左サイド全体を動作させることにあり、その結果地面にしっかり根を生やした右脚によってスウィングが可能になることだ。アドレスで右脚の位置を正しく設定しておけば、以後それについて考える必要はない。
2) 早期コック
早期にコックするとレイト・アンコックに繋がる。いずれにしても手首のコックはどこかの時点で行なわれなくてはならないが、それが左手の角度に影響を与えてはならない。さもないと、クラブフェースのスクウェアな角度が維持出来なくなってしまう。早期コックは単に自然であるだけでなく、クラブが目の前にあり比較的ゆっくり動いている間にコックする方が、バックスウィングの最終段階でコックするより簡単である。
3) 右腕と右手首の折れ具合
投手のワインドアップ(振りかぶり)に見られる右腕と右手首の角度は、ゴルフにも不可欠のものだ。その右手のセッティングは、クラブシャフトを右肩の突端の真上に位置させる。これは正しいプレーンでスウィングすることを確実にしてくれる。
4) 膝でダウンスウィング
ダウンスウィングの最初の動きを膝で行なうことは、様々な利点がある。左膝をターゲット方向に引くことは体重を左足に移動させ、地面にしっかり植え付けられた左脚の上に体重を確立する。その動きは同時に、腰を左に向けてスウィング空間を作り出す。その動きはまた、捻転された左サイドを逆転させ、左サイドと左腕による引くアクションを開始し、左手甲によるバックハンドのヒッティングへと継続する。それはまた、右サイドと依然としてコックされている右腕を、ヒッティング・ゾーンへと引っ張り下ろす。ずっと保たれて来た右腕と右手首の角度は、そのヒッティング・ゾーンでやっと解放される。右膝の推進力はパワーを増し、左サイドを追い出す役目をする。
5) "release of angles"(右腕・右手首の角度の解放)
ゴルフ・スウィングが右腕と右手で強打するものであることは間違いない。ただし、身体の左サイドが引き下ろす動きをスタートさせることが条件である。その後なら、トップで形成された右腕と右手首の角度を目一杯解き放ってよい。これらを連続した動作として行なうことを肝に銘じておくこと」
(September 07, 2011)
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)、全英オープン(1976)に優勝、Mastersで三度(1971, 1975, 1981)二位タイ、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。
'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)
「パットに失敗した時、私は『しゃあんめえ』と云って、次のティーに向かったりしない。私はなぜミスしたのか知りたい。もし、私のストロークがまずかったのなら、グリーンの端で数分間ストローク法を復習する。しかし、ラインのどこかに私が気づかない何かがあったのなら、私はそれを見つけ出さずにはおかない。それを発見しないと平静ではいられないのだ。それによって知識を増やし、その次に何をチェックすればよいかを知ることが出来る。
パットをミスすると、大好きだったおもちゃを盗まれた子供のように憤然とグリーンを出て行く輩がいるものだ。こういう男はミスの原因など知ろうともしない。その結果、この男は残りのラウンドの間ずっとパットを不成功に終らせ、自らを滅入らせてしまう。
覚えておいて欲しいのは、完璧なグリーンにおける3メートルのパットを、パッティング・マシーンでさえ60%しか成功させられないということだ。ミスの原因が常にストロークにあるとは限らず、それは芝目のせいかも知れない。振り返ってチェックすることをしなければ、絶対に理由を知ることはなく、上達もあり得ないだろう。ラインを見直すには数秒しか必要としない。次回、あなたは過去に焼き付けたイメージによって、考慮すべき点を思い出す筈だ。
グリーンは一見ビリヤード台のように真っ平らに見えるが、常に隠れた障害物があるものだ。それはあなたがしゃがみ込んでじっくり観察しない限り見つからない。それが、パッティング・マシーンが十回のうち四回しかパットを成功させられない理由である」
(September 07, 2011)
それはDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)でした。当サイトで2006年3月に「胸でパットする」として紹介していたのを、完全に忘れていました。
David Leadbetterの記事は2005年12月発行の'Golf Digest'誌に掲載されています。Dr. Craig L. Farnsworth(クレイグ・L・ファーンズワース博士)の本は2009年出版ですから、どっちが先かは明白です。
David Leadbetterは次のように書いています。
「正しくボールを転がすには、胸・肩・手・腕の組み合わせによる動きでパターをコントロールすることを学ぶべきである。両掌が向かい合うような形で軽いグリップをし、両方の肘を胸郭(肋骨等で籠状になった胸部の骨格)にくっつける。短めのバックストロークをしながら、両肩が振り子運動をする最中、両手・両腕は胸にくっついたまま両肩と一体となって動くようにする。
この方法を練習するには、胸郭と二の腕の間にヘッドカヴァーを一個ずつ挟むとよい。これは両手だけの単独行動を防止し、胸・両肩と両手・両腕とが共同作業をすることを教えてくれる」
「両方の肘を胸郭にくっつける」のですから、Craig L. Farnsworthの本と全く同じメソッドです。
なお、ヘッドカヴァーではなく、ウェッジを胸に渡して両腋に挟んでも同じ効果が得られます。
(September 11, 2011)
次のような本を購入しました。大判の美麗な写真付きで、十人のパッティング・コーチそれぞれが売り物の分野について各13〜23頁にわたって講義をします。その要点だけですが、Golf.comサイトで無料ヴィデオが公開されています。御用とお急ぎでない方は、ぜひ御覧下さい。
'Golf Magazine's The Best Putting Instruction Book Ever!'
Edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2010, $32.00)
1. 正しいパターの選び方とカスタマイズ法 David Edel(デイヴィッド・エデル)
2. 完璧なスタンスの構築法 Dr. David Write(デイヴィッド・ライト博士)
3. ストローク・テンポの調整法 Mike Adams(マイク・アダムズ)
4. 円弧型ストロークをマスターする Stan Utley(スタン・アトリィ)
5. ブラッシュ・ストロークをマスターする Maggie Will(マギー・ウィル)
6. プロのようにグリーンを読む方法 Mark Sweeney(マーク・スウィーニィ)
7. 正しい狙い方 Mike Hamilton(マイク・ハミルトン)
8. ロング/ベリィ・パターの使い方 Scott Munroe(スコット・マンロー)
9. 上達のためのパット練習法 Dr. Craig Farnsworth(クレイグ・ファーンズワース博士)
10. パットの欠陥治療法 Marius Filmalter(マリウス・フィルマルター)
このうち、Dr. David Writeはスウィングのさまざまなtipで、Stan Utleyは円弧型ストロークの伝道者として、Mark Sweeneyはゴルフ・チャネルでお馴染みのAim Point(エイム・ポイント)の開発者として、Dr. Craig Farnsworthは視覚とパットの権威、および「胸でパットする」の提唱者として、Marius Filmalterは最近ツァー・プロに引っ張りだこのコーチとして、それぞれ当サイトで紹介していますので、御存知かと思います。
(2)の「完璧なスタンスの構築法」のヴィデオは必見です。
http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2028780,00.html
これは「正しいスタンス幅の決め方」(tips_126.html)で紹介したものと同じですが、ヴィデオで見ると一目瞭然です。
http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2028781,00.html
パターのグリップサイズによって、身体が勝手にオープンなアライメントになったりクローズになったりするという驚くべき発見。手に合ったサイズのグリップでないとスクウェアに立てないそうです。
(5)の「ブラッシュ・ストロークをマスターする」の筆者は、LPGAツァーで三勝を挙げたプロですが、何故か三度とも風の強いラウンドでパットに成功して優勝したのだそうです。その時のポスチャーやストローク法から、ブラッシュ・ストロークなるメソッド【「刷毛のように地面を撫でるようなストローク」の意】を確立してコーチしています。彼女は「ストレート・ストローク(垂直振り子)も円弧型ストローク(水平振り子)も、毎回完璧なボール位置でインパクトを迎えない限り、ボールとの正しい接触が得られず、正確なストロークを期待するのは非常に難しい」と主張します。そして、
・屈み込むようなポスチャー【Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の感じ】
・広めのスタンスで、ボール位置は左足の近く
・体重の80%は左足に
・左肩を下げるバックストローク
・右肩を下げ、右肘のピストン運動のパワーでフォワード・ストローク
・左手首を折らぬため、左肘をチキン・ウィングのようにターゲットに向けて突き出す
…という方法を提唱します。
「ブラッシュ・ストローク」のデモは http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2029407,00.html で見られます。これを試してみましたが、基本はストレート・ストロークで、インパクト・ゾーンを長く保つ工夫に過ぎないと感じました。手首を折りたくないのであれば、Bernhard Langer(ベルンハード・ランガー)の「脈拍チェック型パッティング」(tips_126.html)の方が簡単です。
(6)の「プロのようにグリーンを読む方法」の一部は当サイトの「芝目は無視して傾斜だけ読め」(tips_128.html)と、「続・芝目は無視して傾斜だけ読め」(同上)で紹介しました。'Aim Point'の開発者Mark Sweeneyは"Zero Line"(ゼロ・ライン)という概念を提唱します。それは勾配の頂点と真下の、ボールが全くブレイクしないラインを結んだ線ですが、"Zero Line"は一本とは限りません。一方に傾斜している単純なグリーンでは一本ですが、馬の鞍のように周囲が盛り上がっているグリーンでは"Zero Line"が二本になります。山のように中央部が盛り上がっているグリーンでも"Zero Line"が二本になります。
その"Zero Line"の測定法ですが、Mark Sweeneyはグリーンを歩いてみて、足で「勾配が上り始める地点」、「下り始める地点」を感じ取ります。すると《"Zero Line"の右へのパットは左にブレイクし、"Zero Line"の左へのパットは右にブレイクする》という公式が導き出されます。Mark Sweeneyがこの理論を初めてコースで試したところ、3メートル以上のパット(ツァー・プロたちが苦労するパットの25%に当たる領域で)八回のうち六回も成功させたそうです(=75%の成功率)。現在の彼は、昔は稀だった6メートルのパットを1ラウンドで数回は成功させていると自慢しています。
a) http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2029411,00.html
グリーンの排水設備方向の最低地点(複数の場合もある)と、最高地点を"Anchor Point"(錨ポイント)として見極める。
b) http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2029427,00.html
"Zero Line"は最高の"Anchor Point"と最低の"Anchor Point"を結ぶ線で、ブレイクはほとんどなくストレートに狙えばよい。
c) http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2029429,00.html
"Planar"(平面)型グリーンでは、一方が高く一方が低い。このタイプでは"Zero Line"は一本である。真ん中が高い"Crown"(冠)型グリーンには上ってから下る"Zero Line"と、頂点の尾根道の"Zero Line"の二本が"X"の字のように交わる。真ん中が凹んでいる"Saddles"(鞍)型グリーンも同様である。
d) http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2029431,00.html
グリーン上を歩いて最低の"Anchor Point"を感じ取る。
f) http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,2029432,00.html
彼が開発したブレイク早見表'Aim Chart'(エイム・チャート)の使い方。
私が購入した本には'Aim Chart'のStimp値8の図版が掲載されています。次のサイトに'Aim Chart'と同じような図版(円グラフのようなもの)が出ていますが、これはStimp値10の例です。http://puttingzone.com/vector.html 【このサイトには興味深い図版が満載です】
ホール毎のStimp値の見当をつけないと'Aim Chart'は適切に使えないようです。
(September 17, 2011)
週刊朝日百科『坂田信弘の最新100レッスン』(2003年4月発行のムック)のNo. 8に、インストラクター内藤雄士氏の『体幹を使ったパッティングのススメ』という記事がありました。これは「胸でパットする」とは云っていないものの、基本的には同じ趣旨です。
内藤氏は「パターのような小さいショットほど体幹、すなわち体の中心を使って打たなければならない」とし、普通のパターでもベリィ・パターのようにストロークすべきだと主張します。
ベリィ・パターはグリップエンドをお臍かみぞおちに当てて、手は両側からグリップを支えるだけで、手首を全く使わずにおなかを廻して打ちます。内藤氏は「グリップエンドの延長線がおなかを貫通して背中側に突き抜けているところをイメージし、その線を中心におなかを捩る感じ」と説明しています。「お腹でパットする」ですね。
氏は、David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)やCraig L. Farnsworth(クレイグ・L・ファーンズワース)のように、「肘を胸郭につけろ」とは云っていないものの、云ってみれば「胸と両手で出来る三角形を崩すな」という意味では考え方は全く同じです。肘に注目するか、グリップエンドに注目するかの違い。
氏は、同じ記事の中で興味深いことを述べています。理想的なパッティングは「体をスッと起こして高く構え、その上でおなか(体の中心)を捩ってストロークする」のだそうですが、「体の調子が悪いと体幹が弱くなるので、前屈みの姿勢になり易い」そうです。立つのは「円弧型ストローク」に相応しく、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のように屈むのはストレート・ストロークに相応しいので、身体の調子とは関係ない場合もあるわけですが。
(September 24, 2011)
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