March 10, 2022
●Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)推奨のグリップ
Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)は、PGAツァーで四勝したプロで、現在はThe Golf Channel(ゴルフ・チャネル)のメインの解説者。
彼は下記の本で古今の名人たちのスウィング各部の共通項を抽出して、それらの重要性についてわれわれの注意を喚起し、忘れ去られたテクニックにはその復権を試みています。ゴルファーならプロ・アマ問わず誰しも『名誉の殿堂』入りしている名人たちの技を継承すべきである…という彼の趣旨にガッテンです。
'The Anatomy of Greatness: Lessons from the Best Swing in History'
by Brandel Chamblee (Simon & Schuster, 2016, $30.00)
「Ben Hogan(ベン・ホーガン)の'Five lessons'(邦訳『モダン・ゴルフ』)は、一般大衆に誤解を与えた本であった。彼は自分の病的なフックを防ぐためウィーク・グリップにしたのだが、これはインパクトでクラブフェースをオープンにしてスライスを生むため、フックを患っている人にしか役に立たない代物である。フックなどと縁のない一般ゴルファーは、ストロング・グリップを採用すべきだ。
・左手
人差し指の第二関節から掌の下方の膨らみの下にかけて握る(写真のLeadbetter‘s leftと同じ)。Vの字は右肩を指す。間違って完全に掌で握ると手首の動きの幅を失い、スウィングのトップでクラブの安定性を損なう。
親指はハンドル中央の右寄りに添える。ハンドルの真上に当てると、クラブの重さに負け、手首を凸型にし易い(フックを生む)。
・右手
右手も対称的に先端は人差し指の第二関節に当てるが、後端は小指の付け根に当てる(写真のLeadbetter‘s rightと同じ)。ほぼ指で握ることになる。これが世界的に成功したプロたちのグリップである。
右手の親指はハンドルの真上ではなく、そのやや左側を押さえる。右手のVの字も右肩を指す。
【編註】 上のようにグリップすると、右の写真のようになります。これはBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のグリップです。
・グリップ・プレッシャー
スウィング・スピード、ヘッド・スピードはリラックスした状態から生じる。上に述べた正しいグリップをしていれば、自ずと正しいグリップ圧が備わりイーズィにスウィング出来るようになる筈だ」
【参照】
・Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)の 左踵を上げてスウィング(tips_169.html)
・アドレス時の背中の角度(改訂版)(2/01)
・ツァー・プロはオープン・スタンスを好む(3/01)
(March 10, 2022)
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のヴィデオを見直してみました。図の左の"Top"でお分かりのように、彼はターゲットに完全に背を向け、左肩はボール後方を指しています。肩・胸・腹・腰・脚の全ては、アドレス時から90°も右に廻されてターゲットと逆方向を向いています。
Bobby Jonesの場合は、身体の捻転を助けるために左踵を上げていると云っていいでしょう。左踵を上げないと、ここまで腰は廻りません。彼のスウィングは下半身だけでなく胴体全部を逆転させるパワーでボールを打っている感じです。
これはわれわれ素人が腕の力で打とうとするのと正反対です。「ゴルフは大きな筋肉で打て」と云われますが、Bobby Jonesのスウィングはその見本です。自由の利く小手先で打つとボールは右へ行ったり左へ行ったりしますが、大きな筋肉で打った彼のボールは常に正確にターゲットに向かって飛んだのです。
同じく左踵を上げるスウィングをするBen Crenshaw(ベン・クレンショー)のヴィデオも見てみました。スローモーションで見て判ったのですが、彼は腰の捻転を助けるために左踵を上げているわけではありません。腰の回転がほぼ完了する時点で、やおら左踵を上げているだけなのです。
写真で一目瞭然ですが、完全にターゲットに背を向けているものの、腰は約40°ぐらいしか廻していません。Ben Crenshawは熱心なBobby Jones研究家であり彼を尊敬している人でもありますが、下半身の捻転の度合いはBobby Jonesを模倣していないのです。
Ben Crenshawの体重は腰の右への回転開始と同時に右足に移っていますから、体重移動のために左踵を上げるわけではない。左踵を上げるのは極限まで腰を廻すためでもない。とすると、彼の場合、恩師Harvey Penick(ハーヴィィ・ピーニック)が唱える"Magic move"(ダウンスウィング開始は、左踵を地面に下ろすのと腕を引き下げるのを同時に行う)を実行するための切っ掛けとして左踵を上げているに過ぎないと云えます。
なぜ左踵を上げるメソッドが廃れてしまったのか。理由は色々あると思いますが、その一つは見た目が雄々しくないということではないでしょうか?両足とも大地から離さず踏ん張ってのスウィングに較べると、左踵を上げるスウィングはなよなよした感じで、何となく女々しい。特にBobby Jonesのバックスウィングはスタンスも狭く両膝がくっつくようなバックスウィングで、ちっとも雄々しく見えません。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のトップと較べるとその差は顕著です。
しかし、私は女々しく見えようが何だろうがなり振り構わず左踵を上げることにしました。Bobby Jonesほど極端ではなく、どちらかと云えばBen Crenshaw程度の上げ方ですが。別にファン・クラブがあるわけでもないので、雄々しく見えなくたっていいのです^^。リズムとテンポさえよければ、ピン傍につくショットが生まれるので、ほくほくしています。 【おことわり:Tiger Woodsの画像はhttp://australiangolfdigest.com.au/にリンクして表示させて頂いています】 (March 10, 2022)
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