June 20, 2022
●2秒でスウィングせよ
17年もかけて100人以上の男女ツァー・プロのスウィングを撮影・分析し、それらの最大公約数をまとめた本のエッセンスを紹介するシリーズのパート9。
'Swing Like a Pro'
by Dr. Ralph Mann and Fred Griffin (Broadway, 1998)
「われわれの研究で発見された驚くべき新事実の一つは、スウィング全体がいかに急速なものかということである。長い間、スウィングというものは長く、ゆったり、そして慎重なものであるべきだと云われて来た。しかし、プロたちのスウィングは平均するとアドレスからインパクトまではたったの1秒なのだ。フォロースルーにプラス1秒。全体で計2秒しかかからない。
プロたちのスウィングを分析すると、インパクトに達するまでの時間は、最も遅い人の場合でも最も速い人よりたった1/2秒長いだけだった。
一般ゴルファーの問題点は、生まれつき身に備わったテンポを見つけられないことだ。彼らはスローモーションでクラブを動かしてコントロールしようとする。この範疇のゴルファーには、プロがスウィング全体を完了しても、まだバックスウィングの1/3にも達していないという現象が珍しくない。 【形態模写ドリル】 模範としたいプロのヴィデオをテープ(あるいはDVD)に録画する。いくつか異なるアングルからのショットが得られればベスト。【編註:あなたの体型に似たプロが望ましい。YouTubeにも沢山ヴィデオが溢れています】 |
【メトロノーム・ドリル】
メトロノームを2秒にセットする。練習場で9番アイアンを手に、通常のアドレスをする。目を閉じ、2秒のビートに耳を澄ます。最初のビートでスウィングを開始し、二拍目でフィニッシュ。もし、そのビートがあなたの自然な感覚とズレていれば、調節する。だが、1.5秒より速くしたり、2.5秒より遅くしないこと。
【編註】https://www.youtube.com/watch?v=gSmf7W3DUjs このサイトは1秒に一回音と光を出します。一拍目でトップ、二拍目でダウンスウィングで、「2秒でスウィング」を練習出来ます。iPhone用には'Smart Metronome & Tuner'というのがあり、60にセットすると1秒ごとに音を出します。練習場で使うのにもってこいです。
快適なテンポを見つけたら、目を開けてボール無しでスウィングする。そのテンポを飲み込むまでに時間がかかるかも知れない。だが最終的にはそのテンポに慣れるだろう。
そのテンポに慣れたらボールを打つ。最初はメトロノームの音を聞きながら、次はメトロノーム無しで。何回か練習したら、そのテンポが自然に感じられるようになる筈だ。
9番アイアンで快適に打てるようになったら、長いクラブに移る。だが、何も変えてはいけない。どのクラブでも同じテンポで打つこと。
常に2秒で練習を開始するが、その日の気分でインターヴァルを調節してみる。もし、同じ成果が得られたら、あなたは自分のテンポを発見したのだ。われわれの経験から云って、あなたのスウィングが向上したら、テンポも早まっている筈だ。
どうすれば良いスウィング・テンポを構築出来るかは、次の四つの基本動作の遂行如何にかかっている。
1) テイクアウェイでの右への体重移動(Shift)
2) クラブシャフトが地面と平行になった時点で右サイドへ回転(Turn)
3) 切り返しで左への体重移動(Shift)
4) 体重移動と共に左サイドへ回転(Turn)
これらが正しく遂行出来れば、切れ目なく流れるようにスウィングすることが容易になる。"Shift"そして"Turn"と声を出して唱えながら練習するとよい。(1)に集中してボールを10個打ち、次いで(2)に集中してさらに10個打つ。全体では"Shift-Turn-Shift-Turn"となる。この練習によってタイミングが急速に改善されることだろう」
この記事は目一杯の力で打つというよりも、速いテンポで打つことが飛距離を伸ばす秘訣であることを教えてくれます。私は長い間1-2-3(ワン・トゥー・スリー)というゆっくりの三拍子でスウィングしていたので、「2秒でスウィングする」というのは大変なチャレンジです。しかし、試みに1-2(ワン・トゥー)と早く振ってみたらベラボーに飛んだので(当社比)驚きました。常にその恩恵に与りたいと思い、只今スウィング・テンポを改造中です。
【シリーズ目次】
・'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)[本の紹介]
・ニュートラル・グリップはなぜいけないのか?(tips_203.html)
・アップライトにアドレスすべき理由(tips_203.html)
・アドレスで決まるショットの成否(tips_203.html)
・正しいバックスウィングの手順(tips_203.html)
・スウィングのトップで為すべきこと(tips_203.html)
・プロ的切り返しをすべし(tips_203.html)
・ダウンの開始で右肘を引き下ろせ(06/04)
・ 飛距離に必要な角度は45°である(06/12)
(June 12, 2022)
●長いショットはスコーンと、短いショットはバシッと打つ
ある日のラウンドで、上の見出しのような方針でプレイしてみました。
・長いショットはスコーンと打つ
ドライヴァーのように出来るだけ遠くへ打ちたいショットだと、われわれは力を振り絞ってバシーッと打とうとします。しかし、目一杯の力で打とうとすると、身体は強ばり、インパクトでボールを見ることすら忘れ、暴力的な勢いを得ようとします。これがうまく行くとしたら奇跡です。 強打・猛打ではなく、小気味のよいスコーンという快打を打とうとすると、スウィートスポットで打ったお蔭でボールは意外に飛ぶものです。より遠くへは飛ばないまでも、大きな失敗は生じません。 ドライヴァー・ショットはそれだけで完結するものではなく、次なる第二打への布石に過ぎません。どっちみち、われわれには400ヤードは打てないのです。距離が増してもせいぜい5ヤードか10ヤードでしょう。ドラコンでもない限り、5ヤードや10ヤードの差はどうでもいいことであって、第二打のクラブが短くなるか長くなるかだけの違いです。そうと分れば、フェアウェイの真ん中にスコーンと第一打を放つのが賢明というものでしょう。 ・短いショットはバシッと打つ 短いショットだとトップやホームランを恐れ、われわれはつい穏やかで撫でるようなショットをしがちです。しかし、ピッチ・ショットやチップ・ショットを成功させるには、スピンをかけてボールを宙に浮かべねばなりません。スピンはヒットダウンして、クラブフェースのグルーヴ(溝)でボールの表層を噛みながら駆け上がらせる必要があります。撫でるようなスウィングだとグルーヴはボールを噛まずスピンがかかりませんし、ボールは期待した軌道を描いて飛ばず、必要な距離も得られません。 |
短いショットこそバシッと打つべきなのです。もちろん、ボールと地面の接点にクラブのリーディングエッジを打ち込むか、ボールを押し潰す努力が必要です。それなくしてはダフってチョロしたり、トップしてホームランになる恐れがあります。"eye-hand coordination"(アイ=ハンド・コーディネーション、目と腕の協調作業)をベースにした集中力による精緻なテクニックが必要です。
《長いショットはスコーンと、短いショットはバシッと打つ》というのは逆説的めいているかも知れませんが、これはゴルフをする上で非常に重要な心構えではないかと思います。
これを実践した初日、全てがうまく行ったわけではありませんが、ドライヴァー、ハイブリッドによるショット(長いショット)の多くはミスはなく、どちらかと云えば成功でした。短いショットをバシッとは打つとスピンがかかり過ぎてややショート気味になります。
(June 20, 2022)
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